サッカーW杯日本代表の出身高校は? 全国高校サッカー「優勝経験校」から4人が選出
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W杯ドイツ戦で勝ち越しゴールを決めた浅野拓磨選手は、四日市中央工業高校の出身(dot.)


2022年サッカーワールドカップカタール大会では熱戦が繰り広げられている。


今回のサッカー日本代表(以下、カタール大会日本代表)の出身高校を見ると、サッカー強豪校はそれほど多くない。なかでも意外だったのは、神奈川の公立高校から5人、うち3人は川崎市内の学校から日本代表が生まれたことだ。いずれも全国高校サッカー選手権大会には一度も出たことがない。また、関東では、東京の公立高校出身者も1人いる。次のメンバーだ。

県立新城高校(川崎市):田中碧
県立川崎北高校(同):板倉滉
川崎市立橘高校(同):三笘薫
県立金井高校(横浜市):遠藤航
県立逗葉高校(神奈川県逗子市):伊東純也
都立調布南高校(東京都調布市):相馬勇紀

田中、板倉、三苫は、川崎フロンターレの下部組織(U-12など)出身である。ここには日本代表の久保建英、東京五輪代表の三好康児も属していた。

遠藤は湘南ベルマーレユース、伊東は横浜F・マリノスジュニアユースに入団できず、横須賀シーガルズジュニアユースに在籍していた。

相馬は三菱養和SCの調布ジュニアユース、同ユース出身である。

彼らは高校で全国制覇をめざしてサッカー強豪校へ進むより、Jリーグの下部組織、ユースチームで教えを受けてプロをめざす道を選んだといっていい。ここで体力をつけ、技術を磨き、プロ入りする。やがて海外でも活躍し、日本代表入りを果たしている。

一方でカタール大会日本代表の出身校において、全国高校サッカー選手権大会の優勝経験校が4校ある。

青森山田高校(青森):柴崎岳
四日市中央工業高校(三重):浅野拓磨
山梨学院大付属高校(山梨):前田大然
東福岡高校(福岡):長友佑都

四日市中央工業高校からは、これまでワールドカップ日本代表として中西永輔(1998年フランス大会)、坪井慶介(2006年ドイツ大会)を送り出した。

全国高校サッカー選手権大会で優勝し、圧倒的な強さを誇った高校といえば、前橋育英、市立船橋、流通経済大柏、浦和南、市立浦和、帝京、星稜、富山第一、清水東、清水市立商業、藤枝東、静岡学園、野洲、広島皆実、鵬翔、滝川第二、国見、鹿児島実業などがある。だが今回、カタール大会日本代表には、これらの学校の出身者はいない。さびしい。

すこし歴史をさかのぼって、全国高校サッカー選手権大会優勝校のなかからワールドカップ日本代表になった、おもな選手を紹介しよう(優勝当時のメンバー以外も含む)。

帝京高校(東京):中田浩二
星稜高校(石川):本田圭佑
清水東高校(静岡):相馬直樹、西澤明訓、高原直泰、内田篤人
静岡市立清水商業高校(静岡):名波浩、川口能活、小野伸二 ※2003年まで清水市立商業
藤枝東高校(静岡):中山雅史、長谷部誠
野洲高校(滋賀):乾貴士
滝川第二高校(兵庫): 岡崎慎司、加地亮
国見高校(長崎):大久保嘉人
鹿児島実業高校(鹿児島):城彰二、遠藤保仁、松井大輔 

静岡が他を圧倒している。

実際、1998年フランス大会で9人(22人中)、2002年日韓大会では6人(23人中)を送り出した実績がある。

しかし、 カタール大会日本代表に静岡出身は伊藤洋輝1人しかいない。伊藤は浜松市出身でジュビロ磐田のユースからトップチームに昇格し、通信制の第一学院高校を卒業した。

静岡と並んでサッカーが盛んな埼玉の出身は、川島永嗣1人である。川島は浦和東高校出身。同校は全国高校サッカー選手権大会に出場したことはあるが、優勝経験はない。

静岡、埼玉はいずれもサッカー王国として知られていたが、これもさびしい。

今回、カタール大会日本代表を送り出した高校が、次のようなメッセージを送っている。

上田綺世が通っていた鹿島学園高校(茨城)はこう伝えた。

「本校サッカー部OB 上田綺世さん 祝・FIFAワールドカップカタール2022日本代表メンバー選出! ご活躍を祈念しております。上田綺世さんは高校3年生の時に、第95回全国高等学校サッカー選手権大会に出場し、ストライカーとしてチームの勝利に貢献しました」(同校ウェブサイト11月1日)


鎌田大地の出身、東山高校(京都)では校舎に「祝 鎌田大地選手 2014年度卒業 サッカー部OB」と書かれた横断幕が掲げられており、活躍を期待している。

「本日、鎌田大地選手(トップアスリートコース2014年度卒/現ブンデスリーガ・アイントラハト・フランクフルト所属)が、『FIFAワールドカップカタール2022』日本代表メンバーに選出されました!おめでとうございます! 大会での活躍を期待しております。関係者一同応援しております!」(同校ウェブサイト11月1日)

都立調布南高校では、相馬勇紀が日本代表に選ばれたことを祝う横断幕が掲げられ、こう伝えている。

「本校36期生の相馬勇紀選手が2022サッカーワールドカップカタール大会の日本代表に選出されました。オリンピックの時と同様に、今回も同窓会より応援の横断幕を頂きました。調南生、教職員、関係者一同、相馬選手のご活躍と日本代表チームのご健闘を心よりお祈り申し上げます。がんばれ相馬選手!がんばれ日本!!」(同校ウェブサイト11月18日)

なお、冒頭に紹介した神奈川の公立高校はOBの活躍について、ウェブサイトでの発信は見つからなかった。

サッカー強豪校でなくても世界で活躍するアスリートが身近にいる。在校生、教職員、卒業生はとても誇らしく、うれしいものだ。応援、激励のメッセージを送ってほしい。<敬称略、校名は在学当時>

(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫)


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