ジェフユナイテッド千葉U-18DF南波将人は左足に自信あり
たった1回のプレーで、見る者を魅了してしまう選手がいる。そのケースは千差万別ではあるが、刹那に見えた輝きが継続的に発揮され始めた時、気付けばもう戦うステージを駆け上がっていることは往々にして起こることだ。
「自分はメンタルがあまりないのが欠点で……。でも、少しずつ試合に出ていくにつれて、自信が出てきた感じはあります」。
今はまだ間違いなく蕾の段階。ただ、ジェフユナイテッド千葉U-18(千葉)の左サイドで経験を重ねつつあるDF南波将人(2年=三郷ジュニアユースFC出身)の自信と能力が最大限にマッチすれば、輝き続ける選手になる可能性は決して低くない。
2022プーマカップ群馬2日目。前橋育英高(群馬)との大会ラストマッチ。ベンチスタートだった28番は、左ウイングの位置で後半からピッチへ登場すると、「もともとサイドバックをやらせてもらっているんですけど、アーリークロスが持ち味だと思うので、そういう面での左足には自信があります」と語る左足で、チームのチャンスをクリエイトしていく。
1-1で迎えた後半9分。アグレッシブな姿勢が結果を引き寄せる。「1対1だったら仕掛けるというところに今シーズンは自分で目標を設定していて、スペースが前にあったのは自分でも見えていたので、裏を一発で取れたことが大きかったと思います」。
カウンターからシンプルな縦突破を図ると、マーカーを鮮やかに剥がして独走。前方を走るFWアジズブライアン瑛汰(2年)へ丁寧なラストパスを通し、逆転ゴールを演出してみせる。「自分は縦突破に強みがあると思うので、そこは意識してできたと思いますし、ブライアンへのアシストも、パスを入れる前にコースが見えていたので、ああいうゴールに繋がったと思います」。冷静なアシスト。チームメイトに笑顔が広がる。
終了間際には、アシスト以上に才気を感じるプレーが飛び出す。ペナルティエリアのやや外で獲得したFK。スポットに立った南波は、直接ゴールを狙う雰囲気の助走から一転、左サイドへ絶妙のパスを送り込む。受けたMF合田謙信(2年)のシュートはクロスバーを叩いたものの、“アシスト未遂”となった左足のキックには、シンプルかつ最高のメッセージと、ワンプレーで周囲を黙らせてしまうような狂気が潜んでいた。
中学時代は三郷ジュニアユースFCでプレー。埼玉県内の強豪からも声が掛かっていたが、「やっぱりJクラブというところで、自分もプロを目指しているので、1回練習に参加させていただいて、そこでジェフに行く決断をしました」とのこと。Jクラブへと身を投じる決断を下した。
「去年は一応Aチームにいたんですけど、サブでした。試合に出た時に全力を出せるかとか、決め切る力とかが足りなかったと思いますし、自分はクロスが持ち味ではあるんですけど、シュートも意識しながらドリブルできないと通用しないなという課題がありました」。課題を見つめつつ、指揮官のフィードバックには大きな信頼を寄せている。
「朝岡さんは自分に何ができていないかということも細かく教えてくれますし、個人のことだけで話すのではなくて、チーム全体のことを考えてアドバイスをくれるので、そこはありがたいです。最初はちょっと怖かったですけど(笑)」。最後は少し声が小さくなったが、その分析力はなかなかのもの。サッカーを考える力はきっちり備えているようだ。
今年の目標を問うと、こういう答えが返ってくる。「最初は自信がなくて、マイナス気味に行っていたんですけど、最近の試合ではウイングで結果を残せているので、自分の中では毎試合裏を取ることを目標にしていて、というところです。自分もまだレギュラー争いをしている状況なので、レギュラーとしてちゃんとチームの勝利に貢献できるようにすることと、去年はできなかった県リーグ優勝に、プリンス昇格に貢献できるような選手になりたいと思います」。
朝岡隆蔵監督もその左足の力は認めている。あとはさらなる自信を積み上げて、本来の実力をピッチで出し続けるだけ。南波の2022年にどこで自信と実力の“化学反応”が起きるかは、注視していく必要がありそうだ。
(取材・文 土屋雅史)
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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