桐光学園対高川学園 後半、CK時に手をつなぎ回転する「トルメンタ」を披露する西沢(左)ら高川学園の選手たち(撮影・江口和貴)
<全国高校サッカー選手権:高川学園1-0桐光学園>◇準々決勝◇4日◇等々力
奇策のセットプレーで世界が注目する高川学園(山口)が、新技で桐光学園(神奈川)を撃破した。
0-0の後半15分。右CKから3人の小さな円陣をニア、ファーサイドに形成。定番の“グルグル円陣”ではなく“回らない円陣”で動きだし。MF西沢和哉(3年)が「アドリブ」を加え、決勝点を挙げた。“グルグル円陣”はスペイン語で「嵐」を意味する「トルメンタ」の名が付くが、今回は「少しトルメンタ」で、14大会ぶりのベスト4進出を決めた。
◇ ◇ ◇
台本には「少しトルメンタ」と記されていた。0-0の後半15分。右CK。ニア、ファーサイドに、小さな円陣が形成された。2つのサークルは、3人ずつの構成。いつも通り“グルグル”回ると思いきや、すぐさま散らばった。
演者が「アドリブ」を加えた。途中出場のMF西沢は、1人だけファーに残っていた。「意外にニアが空いていないと思った。残っていたら、流れてくるかな」。現場の空気感を大事にした。シナリオでは、ニアがファーに流れ、スペースを空け、ファーの3人が流れ込む予定だった。“アクション”が始まると、ファーからニアに走り込んだのは3人の内、2人だけだった。
西沢が、脚本を書き換え、筋書きのないドラマを完成させた。相手のクリアボールは、西沢のもとへ。押し込むだけだった。“グルグル円陣”の正式名称は、スペイン語で「嵐」を意味する「トルメンタ」。回転しない今回は「少しトルメンタ」と笑う西沢は、3回戦の対仙台育英(宮城)でも、途中出場から決勝ゴールをマークした“千両役者”。江本監督も「持っているやつ」と笑った。
表の役者が西沢なら、陰の立役者はベンチ外のチームキャプテン。ニア、ファーサイドに円陣を配置する“新技”は、大会直前に故障したDF奥野が、試合前日に練り出した作品。アドリブ加えた西沢との共同プロデュースで、14大会ぶりのベスト4進出を決めた。ゲームキャプテンのMF北は「仲の良さがセットプレーにもつながっている」とうなずいた。
全員が主役の高川学園。1回戦で世界中の関心を集めた「トルメンタ」は、FW中山のアイデア。3回戦で披露した4人が1列に並ぶ「列車」はチーム全員の作品。初戦から4試合連続でセットプレーから得点をマークする“演劇軍団”。試合前に、江本監督が「奥野を国立に連れて行こう」とゲキを飛ばした通り、聖地の舞台に立つ。8日の準決勝の相手は、前回準Vの青森山田。国立の大舞台でも、嵐の演技を構成し、拍手喝采を浴びる。【栗田尚樹】
◆トルメンタ 高川学園が、セットプレーの際に駆使する奇策。中で待つ数人が円陣をつくり、グルグルと回転しながら動きだす。円陣の人数は、さまざま。手をつなぐ時もある。山口県大会前に、FW中山桂吾(3年)が「マークが付きにくい」と考案。部室前のボードに貼ってあった磁石の形からヒントを得た。スペイン語で「嵐」「旋風」を意味する言葉が語源。選手が運営する高川学園サッカー部の公式ツイッターで、正式にこの名が発表された。
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10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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