石川と鈴木の2トップは全国的に見るとトップレベルの破壊力を誇る
来季の湘南入りが内定している阪南大高FW鈴木。写真:安藤隆人
インターハイに引き続き、選手権も大阪代表の座を掴んでみせた阪南大高。湘南ベルマーレ入りが内定しているエースストライカー・鈴木章斗を擁する今年のチームは、全体的に非常に安定しているという印象を受ける。
183cmのGK山形慈温、181cmの櫻本亜依万と183cmの西田祐悟のCBコンビ、ボランチの櫻井文陽、そして鈴木と石川己純の2トップとセンターラインが非常に強固で、この屋台骨が軸となって攻守両面で強度の高いプレーを見せる。
「今年の学年は技術のある選手が揃っている代なので、そこにどういう強さ、勝負を決め切れる部分を植え付けるかを意識してきました」
こう語るのは濵田豪監督。監督就任22年目を迎える濵田監督にとって、今年は手応えのあるチームだった。櫻井、鈴木、石川、左MF田中大翔を筆頭に足もとの技術に長けた選手が揃い、かつシンプルに縦に速いサッカーも展開できるキック精度とパワーを持った選手も揃っている。濵田監督はこの2つを組織として融合させた。
左の保田成琉と右の今西一志の2年生両サイドバックは抜群のキックの精度を持ち、ボランチラインに入って攻撃の組み立てに加わるなど、サイドと中央からの組み立てで相手の守備の的を絞らせないようにしている。
石川と鈴木の2トップも全国的に見るとトップレベルの破壊力を誇る。鈴木はガンバ大阪ジュニアユース出身で、もともとはサイドからガンガン仕掛けるサイドハーフだったが、高校に来てFWにコンバート。フィジカルの強さが生かされ、ポストプレーヤーとしての才能が開花した。さらにドライブをしながら縦パスに抜け出す動きや、足もとに収めてから得意のドリブルを繰り出せるようになり、チャンスメーカーからフィニッシャーまで幅広くこなすストライカーとなったことで、プロへの道が拓かれた。
石川はヴィッセル神戸U-15出身でイマジネーション溢れるプレーが持ち味。鈴木の動きによって出来たスペースを見逃さず、そこに入り込んで2列目以降の動きをパスで引き出したり、自ら仕留めたりすることも可能だ。
手堅いサッカーも出来れば、クリエイティブなサッカーも出来る。柔と剛を兼ね備えた彼らは、インターハイ本戦では3回戦まで進み、神村学園を相手に3-4で敗れたものの破壊力ある攻撃を披露した。
初戦で勢いがつけば、全チームが持つ『打倒・青森山田』の急先鋒となるかもしれない
プリンスリーグ関西でも上位をひた走り、17試合消化で2位が確定。プレミアリーグ参入戦進出も決めた。内容もリーグ最多の36ゴールを叩き込み、失点もリーグ2位。さらに9試合もの完封勝利を飾ったように、最後まで崩れずに勝ち切れている。選手権予選では5試合で14得点・1失点という数字で勝ち切って、6年ぶり2度目の出場を手にした。
プリンスリーグ関西16節の大阪桐蔭との一戦でも立ち上がりはサイドを有効的に使った攻撃で2点を先行すると、一度は同点に追いつかれるも鈴木と石川の2トップの前への推進力を生かして、シンプルなロングボールでラインを押し下げてから、櫻井と稲垣大耀ら2列目が連動して空いたスペースを有効活用し、2点を奪って4-2で勝ち切った。
「いいサッカーをしている手応えはあります」と鈴木が口にしたように、全国でも十分に上位を狙えるチームに仕上がっている阪南大高。選手権では3回戦まで進めばインターハイ王者の青森山田と激突する可能性がある。初戦で勢いがつけば、全チームが持つ『打倒・青森山田』の急先鋒となるかもしれないだけに、今後の彼らの戦いぶりからは目が離せない。
取材・文●安藤隆人
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10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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