【選手権予選】埼玉予選、なぜ優勝候補・昌平はベスト8を前に敗退を余儀なくされたのか
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藤島監督は「チームとしての出来は良かった。やはりクオリティーの問題」

 

 第100回全国高校サッカー選手権・埼玉大会3回戦で、優勝候補の一角である昌平が武蔵越生に0-1で敗れ、ベスト8を前に姿を消した。両校は前回大会の決勝でも顔を合わせ、昌平が3-0で快勝を収め、2連覇を遂げていた。

 

 昌平は4-2-3-1のいつも通りの陣形。いずれも前回大会を経験しているボランチの平原隆暉(3年)やトップ下の荒井悠汰(2年)が中継点となってボールを握り、今季から左SBに転向した主将の篠田大輝(3年)が、豪胆に攻め上がってクロスを配給し、シュートも放った。

 

 昌平が球を保持する頻度は高く、攻勢の時間帯も前半から長かった。

 

 前半4分、左CKから大輝の弟、MF篠田翼(2年)が強烈なシュートをお見舞いしたが、相手GK関根拓郎(2年)に好捕され、10分のMF米陀大洋(3年)の一撃も、14分に荒井が放った右FKも、すべて関根に阻止された。

 

 武蔵越生はそれまでも守備ラインからのクリアパスを前線に放り込んでいたが、前半34分にまんまと決勝点につなげた。右SB高村祐冬(3年)が蹴り上げたロングキックが強風に押し戻され、快足FW伊藤稜賀(3年)がワンバウンドしたボールをCB八木大翔(3年)と競り合い、ゴール左に決勝点をたたき込んだ。

 

 先行されたとはいえ、前半の1失点なら慌てることはないのだが、この日の昌平はいつもより縦に急ぎ過ぎていたようだ。これがテンポ良く敵陣とバイタルエリアに入り込み、相手守備網を混乱させる怖さをそぎ落としたのではないか。後半も9本のシュートを打ったが、ゴールを割れずに敗れ去った。

 

 藤島崇之監督は「相手GKのビッグセーブもあったが、やはりクオリティーの問題です。チームとしての出来は良かったし、コンディションも悪くなかった。ただ、最後のところで攻撃やシュートの質に欠けました。また出直しです」と悔しさをにじませ、ため息もついた。

 

 昌平の強みはどの選手も巧みなドリブルを身に付けていることにある。ポジションによって、運ぶドリブルとマークをはがすドリブルの違いこそあれ、ドリブルとパスを上手に組み合わせて敵陣を切り裂くのが最大の特長と言える。

 

 それが特に後半途中からリズミカルなドリブルが減り、パスにしても単発になってワンツーを駆使したりする複数のパス交換が少なくなった。藤島監督は「もっと突破ということにフォーカスし、コンビネーションから(敵陣に)入っていっても良かった」と振り返る。

 

 崩しのパスが減少したことで、外からのシュートも増えて指揮官が指摘する質が悪くなった。後半36分、ゴール前で荒井が良い形から得意の左足を振り抜いた。パンチ力のある一撃が魅力なのに、シュートはバーのはるか上を超えていく“ホームラン”だった。
 
 守備に人手をかけ、神経を注ぐ武蔵越生。敵将・井上精二監督は「粘り強さと集中力がうちの持ち味」と胸を張ったように、その持久力と粘りの前に屈してしまった。

 

インターハイ予選に続き、プレスの厳しい相手を攻め切れず

 

 昌平は前回まで8年連続でベスト4以上に進んでいた。これは全国高校選手権の出場校数が現在の48校に定着した第62回大会以降では、埼玉県の新記録である。すっかり埼玉高校サッカーの盟主となった昌平が、3回戦で敗退するのは第90回大会以来、実に10年ぶりだ。

 

 トーナメント戦を勝ち抜くのは本当に難しい。6月のインターハイ予選も準決勝で優勝した正智深谷に0-1で敗れた。同じように粘り強く応対され、プレスの厳しい相手を攻め切れなかった。

 

 左腕にアームバンドを巻いた篠田大は「今年は推進力のある選手が多かったが、相手に引かれて長所が出せず、点を取れなかった。チャンスに決め切る力が足りませんでした」と涙を落としながら、無得点に終わった試合を悔やんだ。

 

取材・文●河野 正

 

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