夏の屈辱から意識改革… 名門・東福岡、選手たちがチーム再建を議論!理想封印で守備力向上、覇権奪回へ意欲
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プレミアリーグで結果を残せず、総体予選も敗退…

 

 

 ショッキングな夏の敗戦から約4か月。復活を期す“赤い彗星”が覇権奪回に向け、牙を研いでいる。

 

 2014年に17年ぶりとなるインターハイ優勝を成し遂げ、翌年の夏も連覇を果たした東福岡。同年の冬には高校サッカー選手権も制し、その名を全国に轟かせた。しかし、以降は思うように結果を残せていない。攻守にタレントを揃えながらも、全国大会では早期敗退も珍しくなかった。2019年の秋には、荒木遼太郎(鹿島)を擁したチームが、福岡県決勝で筑陽学園に敗戦。2012年度以来となる予選敗退で選手権出場を逃し、2013年1月の新人戦から継続していた県内の無敗記録も途切れてしまった。

 

 その中で迎えた昨季は選手権でベスト16に勝ち残ったが、今季は春先から苦戦。九州新人戦ではベスト4に入ったものの、3月中旬のサニックス杯では全国の強豪に力負けする試合が目立った。シーズン開幕後もU-18高円宮杯プレミアリーグWESTで下位に低迷。2011年のリーグ創設以来初めてとなる降格が現実味を帯びてしまう。

 

 そして、迎えた夏のインターハイ予選。不安定な戦いぶりは改善されず、守備陣が耐え切れない。準々決勝の筑紫台戦では何度も相手に背後を突かれ、前線から連動して守るシーンもほとんどなかった。2点を奪われた延長前半時点で1-3。そこからセットプレーで同点に追い付いてPK戦で勝利したが、準決勝で飯塚に0-2で敗戦。2013年から一度も逃していなかったインターハイ出場を果たせず、久しぶりに静かな夏を送ることになった。

 

 名門校にとって、これ以上の負けは許されない――。夏の屈辱が選手たちの意識を変えるきっかけとなる。

 

 インターハイで敗れた後、選手たちは改善に着手する。今まではスタッフ任せで能動的な振る舞いが多かったが、主体性を持って取り組むようになった。自分たちの意思でミーティングを開き、課題だった守備のやり方を議論。その成果をキャプテンのDF段上直樹(3年)はこう話す。

 

「今年は個々のレベルが低い。なので、崩すことよりもショートカウンターでシンプルに点を取ることに取り組んでいる。自分たちがやりたいサッカーはあるけど、東福岡でプレーするのであれば勝ちにこだわらないといけない。そこはチームで話し合って、納得した上で戦い方を決めました。自分たちで目指す方向性を決めたので、覚悟を決めてやっている」

 

 もちろん、攻撃的に戦いたいという想いはある。しかし、そうした理想を一旦封印し、守備の整備からチームの立て直しを図った。

 

見違えるような守備の強度でショートカウンターにも威力

 

 選手たちの覚悟は、結果となって現われた。1勝1分5敗だったプレミアリーグでは、再開した10月以降は1勝2分。大量失点を喫する試合も減り、ここぞという場面でも堪えられるようになった。

 

 10月17日に行なわれたプレミアリーグWEST・15節の京都U-18戦は2-2で終わったものの、今までとは見違えるような守備の強度を披露。高い位置からMF楢﨑海碧(3年)やFW佐川玲史(3年)がプレッシャーを掛け、それに合わせて中盤の選手が連動する。コースを限定しながら相手を追い込み、ボールを奪ったら素早くショートカウンターを仕掛けた。

 

 そうしたスタイルに加えて、セットプレーからゴールが奪えるようになったのも好材料。京都戦のゴールはいずれもCKとFKからだった。上向きつつあるチーム状況に、選手たちも手応えを掴んでいる。

 

「守備の意識が高まり、ショートカウンターも狙えるようになった。セットプレーも上手くいっていると思う」(楢﨑)

 

「自分たちは流れの中からなかなか点が取れていないけど、その分CKからゴールを奪えている。プレミアリーグでも通用することが分かったのは大きい」(段上)

 

「インターハイの時と比べると、練習からコミュニケーションが増えた。最近は守備がフィットし、前線からのプレスも連動してハマる場面が多くなったと思う」(GK須田純弥/2年)

 

 今週末からスタートする選手権予選。「勝点は積み重ねていますが、自信になるだけのものがまだない」と森重潤也監督は課題を口にするが、「(京都戦は)勝ち切りたかったけど、緊張感がある試合の中で次に向けて戦えている」と夏からの成長を感じている。

 

 苦しかった夏を乗り越え、ようやくチームがひとつになってきた。赤い彗星は王座奪還を目指し、着実に歩みを進めている。

 

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

 

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