総体ベストイレブン!今大会の主役・松木玖生など青森山田から最多4名を選出。得点王に輝いた2年生FWも
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GK・DF――堅守で青森山田を苦しめた米子北から2名のDFを選出

 

 2年ぶりに開催された夏のインターハイは青森山田の16年ぶり2度目の優勝で幕を閉じた。“コロナ禍”の開催となった中で、大会は序盤から各チームが熱戦を展開。優勝候補の一角だった流経大柏や前橋育英が早々に姿を消した一方で、大迫塁と福田師王を擁する神村学園が鹿児島県勢としては7年ぶりにベスト8に勝ち上がった。その神村学園を準々決勝で撃破した米子北は粘り強い戦いで2007年度以来となる準優勝を達成。決勝では青森山田に延長終了間際の失点で敗れたものの、準決勝まで28得点・2失点の相手から今大会初めてリードを奪って土俵際まで追い詰めた。

 

 そこで本稿では高校生の真夏の祭典において、輝きを放った選手をピックアップ。ベストイレブン形式で一挙に紹介する。100回目を迎える今冬の高校サッカー選手権やプロの世界で活躍を予感させる選手たちのさらなる飛躍に期待したい。

 

――◆――◆―

 

GK
山内友登(星稜/3年)
手足の長さを生かしたセービングと思い切りの良い飛び出しが武器にゴールを守り、チームに準優勝を果たした2007年度以来となる4強入りをもたらした。クロスボールへの対応も良く、躊躇なく前に出る度胸も好印象で守備範囲も広い。準々決勝の岡山学芸館戦でも安定したプレーを披露し、守護神としての役割を全うした。

 

DF
丸山大和(青森山田/3年)
「身長が180cmない中で、すごく逞しくなってくれた」と、黒田剛監督が賛辞を送った優勝の立役者のひとりだ。青森山田らしくゴールを隠した守備と空中戦の強さで最終ラインを統率し、攻めても得意のヘディングから得点を狙う。米子北との決勝ではセットプレーで強さを発揮。後半終了間際に同点弾を奪い、延長後半のラストプレーに決勝ゴールを奪うなど、ここ一番での勝負強さが光った。

 

DF
鈴木慎之介(米子北/3年)
大宮U15出身のCBはタフな守りでチームの躍進を支えた。今大会はキャプテンとしてリーダーシップを発揮しつつ、身体を張った粘り強い守備で準優勝に貢献。打点の高いヘッドで相手の攻撃を跳ね返すだけではなく地上戦でも強さを発揮し、青森山田との決勝では今大会30得点を奪った相手と互角以上の勝負を演じた。

 

DF
海老沼慶士(米子北/3年)
正確な左足でチャンスを演出した左SBだ。機を見たオーバーラップからクロスを上げるだけではなく、セットプレーのキッカーとしても質の高いボールを入れ続けた。また、ゴール前に鋭いボールを入れる強肩の持ち主で、ロングスローの名手としても活躍。決勝の青森山田戦では攻撃面だけではなく、粘り強い守備で強力アタッカー陣に適宜対応し、攻守両面で好パフォーマンスを見せた。

 

DF
日髙華杜(大津/3年)
飛んで、走って、当たり負けもしない。兄の修杜さん(法政大4年)が走り幅跳びで熊本県の高校記録を作るなど、陸上一家で育った右SBが夏の檜舞台でポテンシャルを存分に発揮した。抜群の身体能力を生かした攻め上がりは迫力満点で、守備では身体の強さを生かした対人プレーの強さで相手のアタッカー陣をシャットアウト。今後の成長が楽しみなタレントのひとりだ。

 

MF――16年ぶりの優勝に導いたボランチのコンビは文句なしの選出

 

MF
松木玖生(青森山田/3年)  
16年ぶりに夏の日本一に輝いた青森山田において、絶対的なエースを担う10番だ。中盤の底でコンビを組む宇野とともに中盤でボールを刈り取り、攻撃では高い得点能力を見せて大会トップスコアラーとなる5得点をマークした。中学校3年次の全国中学校サッカー大会、高校1、2年次の高校サッカー選手権では準優勝に終わるなど、注目を集めながら結果を出せない現実にプレッシャーを感じていたのは間違いない。その重圧を跳ね除けてチームを優勝に導いた活躍は今大会の主役に相応しい働きぶりだった。

 

MF
宇野禅斗(青森山田/3年)
相棒の松木とともに青森山田の中盤に君臨した攻守のリンクマンだ。高い位置を取る松木の背後でリスク管理を徹底し、的確なポジショニングでセカンドボールを回収。自らも隙あらば3列目から前に飛び出し、今大会は2得点。課題だった攻撃面でも成長の跡を残したのは間違いない。米子北との決勝でもボール回しの起点となり、相手を揺さぶるボールを左右に入れてチャンスを作り出した。

 

MF
佐野航大(米子北/3年)
相手の虚を衝くスルーパスで攻撃をリードした米子北のプレーメーカーだ。パスセンスは高校年代屈指のレベルにあり、左右にボールを散らしながら、ここぞという場面では縦パスを付けて攻撃のスイッチを入れる。強烈なミドルシュートも持ち合わせており、3列目から相手の脅威になった。兄の佐野海舟(町田)とは異なり、守備面で課題を抱えていたが、今大会は球際で強さを発揮。先制点を奪った青森山田との決勝では果敢にチャレンジし、ボールを奪う場面も少なくなかった。

 

MF
玄理吾(静岡学園/3年)
相手DFからボールを隠すようにパスを受け、正確なパスでタレント揃いのアタッカー陣を操った司令塔だ。準決勝の青森山田戦では封じられたが、大会を通じて安定したパフォーマンスを披露。高川学園との2回戦では最終ラインの近くでビルドアップを助けながら、長短のパスで前線にボールを届けた。線の細さは改善の余地を残すが、冬の選手権でさらなる飛躍が期待されるタレントだ。

 

FW――準々決勝敗退ながら世代トップクラスの力を見せつけた2年生FW

 

FW
福田師王(神村学園/2年)
5ゴールを奪い、青森山田の松木とともに今大会の得点王に輝いたストライカー。空中戦の強さとゴールに向かう姿勢は高校2年生ながら世代トップクラスだ。福井商との2回戦ではハットトリックを達成し、阪南大高との3回戦では盟友・大迫塁(2年)のスルーパスに合わせ、見事な抜け出しからダメ押しゴールを奪った。続く米子北戦でもネットを揺らした一方で、チームは敗戦。冬は自らのゴールでチームを悲願の日本一に導けるか注目だ。

 

FW
渡邊星来(青森山田/3年)
今大会は2得点に留まったものの、チームへの貢献度はピカイチだった。最前線からプレスを駆け、2度追いも厭わない。身体を張ったボールキープで攻撃に時間を作り、前を向けば強引にボールを運んで危険な位置に入り込んだ。準決勝の静岡学園戦では攻守で存在感を発揮。大会前は“守備のサボり癖”があったが、最後まで献身的にプレーし、「ちょっとびっくりした」と黒田剛監督から賞賛されるほどのプレーを見せた。

 

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

 

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