7月の代表活動に参加した高体連所属選手は8名
今夏のブレイクも期待される流経大柏の2年生ボランチ堀川大夢。写真:松尾祐希
昨年度の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)は新型コロナウイルスの感染拡大により、史上初めて中止となった。
あれから1年。
今夏は2年ぶりにインターハイが行なわれる。高校生にとって待ちに待った檜舞台。大学進学やプロ入りを目指す3年生にとって重要であるのはもちろん、下級生にとってもJクラブのスカウトに名前を覚えてもらう上でターニングポイントになる大会だ。
インターハイをきっかけに飛躍した選手は数え切れないほどいる。近年では2018年度に1年次から注目を集めていた西川潤(当時桐光学園、現C大阪)が、2年生ながらチームを準優勝に導く活躍を見せ、自身の評価を揺るぎないモノとした。今年のインターハイで誰がブレイクを果たすのか。まだ見ぬ逸材の台頭から目が離せない。
7月5日から8日まで千葉県内で行なわれたU-16代表候補合宿にも、今夏の全国舞台で飛躍を目指す、高体連のチームで研鑽を続ける注目株たちが参加している。
今回の合宿で高体連のチームから選出されたのは8名。そのうちMF宮原勇太(興国/1年)、MF篠田翼(昌平/2年)、FW小田晄平(昌平/1年)はチームが予選で敗退しており、夏の檜舞台に立つことはできない。また、静岡学園のFW神田奏真(1年)はメンバー入りを果たせるかは不透明。そうした条件を当てはめると、今回招集された選手で本大会でブレイクの可能性があるのはMF堀川大夢(流経大柏/2年)、DF櫻井稜(鹿島学園/2年)、DF根岸優汰(東海大相模/1年)、GK中村圭佑(静岡学園/1年)の4選手だ。
U-16代表候補合宿でも30m走でチームトップの数値を記録した、鹿島学園、2年生SB櫻井稜。写真:松尾祐希
早生まれでU-16代表に入る資格を持つ堀川はC大阪U-15出身のボランチだ。チームではFWで起用される場合もあるが、豊富な運動量を武器に下級生ながらトップチームに定着。今季のプレミアリーグでは途中出場が多いものの、流れを変える切り札として期待をかけられている。5月のU-16代表候補合宿に続く参加となった今回の代表活動では、存在感を発揮した。7日に行なわれた市立船橋(1●2)との練習試合では強烈なミドルシュートを決め、成長の跡を示した。
追加招集で今回のU-16代表候補合宿に参加した櫻井はスピードが持ち味のサイドバックだ。今回の活動で初めて日の丸を背負ったが、合宿中の30m走ではチームトップの数値を叩き出すなど脚力は世代トップクラス。7日に行なわれた千葉U-18(2●3)との練習試合では持ち味を発揮できない時間帯もあったが、スピードを生かした攻撃参加でチャンスに絡む場面も何度かあった。森山佳郎監督も「櫻井は自分の武器を見せてくれた。今後はできることを増やしていってほしい。武器を持った選手なので楽しみ」と話した通り、今回の活動をきっかけにできればインターハイでのブレイクも十分にあり得る。
「強烈な成長の第一歩にしてほしい」
本人も「びっくりした」と語る代表初招集となった、東海大相模の1年生DF根岸優汰。写真:松尾祐希
1年生ながら東海大相模でレギュラーを務める根岸はビルドアップ能力に長けたセンターバック。攻撃の組み立てに加わるだけではなく、質の高いロングフィードで局面を変える術も持ち合わせる。また、空中戦の強さも武器のひとつ。身長は180cmでCBとしては大柄ではないが、身体に厚みがあり、相手の攻撃を跳ね返すフィジカルも兼ね備える。合宿前に「びっくりした」と本人が話した通り、今回の活動が初の代表招集。中学時代は県選抜にも選ばれた経験がなかったものの、7日の千葉U-18戦では溌剌としたプレーで与えられたタスクを全うし、CBに加えて慣れないSBでもプレーするなど、初代表ながら持てる力を存分に発揮した。状況判断などで課題は多くあるが、夏の全国舞台を前に高いレベルを経験できたことは今後につながるはずだ。
中村はFC東京U-15むさし出身のGK。チームではセカンドGKを努めているが、ポテンシャルは一級品。静岡学園の川口修監督も高く評価している注目株はハイボールに強く、相手に競り負けないフィジカルの強さが魅力だ。7日の千葉U-18戦では冷静にプレーし、得意のハイボール処理もほとんどミスがなかった。代表で得た経験を生かせれば、今夏のインターハイで出場機会を得る可能性も0ではない。OB山ノ井拓己(現・福岡)のように1年次から活躍できれば、さらなる飛躍を目指せるタレントだ。
川口修監督も高く評価している静岡学園の1年生GK中村圭佑。写真:松尾祐希
上記の4名は中学時代に日の丸を背負った経験がなく、これからの成長が期待される選手たちだ。森山監督は言う。
「初めて代表に来ているので、本来のプレーができないのは百も承知。高体連でプレーする選手たちの成長力は常に代表に入っている選手たちとはまた違い、吸収してやろうという想いが強い。いきなり代表に選ばれた選手の成長意欲は、幼い頃から上のレベルを経験してきた選手たちにないものかもしれません」
今回の活動で世界の強者たちと戦うための基準を知り、世代トップクラスの選手たちから新たな刺激を受けたのは確かだ。
「選手たちには今回の合宿で得た経験を少しでも胸に刻んでもらい、強烈な成長の第一歩にしてほしい」とは森山監督の言葉。インターハイ開幕前に積んだ貴重な経験を活かせれば、夏が終える頃にはJクラブが興味を示す選手になっていたとしても不思議ではない。
取材・文●松尾祐希(フリーライター)
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
[4.14 プレミアリーグWEST第2節 静岡学園高 0-3 神戸U-18 時之栖スポーツセンター 時之栖Aグラウンド(人工芝)] 相手が素晴らしいチームなのはわかっている。間違いなく攻撃的に来るであろうことも、容易に想像が付く。だからこそ、自分たちも引くつもりなんて毛頭ない。アグレッシブに打ち合って、その上で勝ち切ってやる。クリムゾンレッドの若武者たちは、勇敢な決意をハッキリと携えていたのだ。 「本当にこのリーグは難しいリーグなので、正直勝ててホッとしています。それも『こういうサッカーをしようよ』ということを、自分たちがある程度しっかり出した上で結果も付いてきたので、そこが凄く喜ばしいかなと思っています」(神戸U-18・安部雄大監督)。 真っ向からぶつかって3発を叩き込み、2試合目で掴んだ初白星。14日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST第2...
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10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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