2年生主体のチームで注目を集める左利きの大型サイドバック
インターハイ予選で10年ぶりの全国大会出場を手にした帝京が、その勢いそのままにプリンスリーグ関東でも上位を相手に躍動を見せた。7月3日に行なわれたプリンス関東8節、ホームに桐生一を迎えると、19分に先制点を許すが、前半のうちに同点に追いつき、後半に逆転弾を挙げて2-1の勝利を掴み取った。
2年生主体のチームである今年の帝京。その中でも注目を集めるのが、昨年U-16日本代表にも選出された左サイドバック・入江羚介だ。希少価値の高い左利きの左SBで、181cmと高さも魅力だ。ただし、FC東京U-15むさし時代までは高さを売りにしておらず、足もとの技術を磨き上げて、多彩なアプローチでビルドアップに関わるプレーを意識的に学んだ。そして、高校に入ってから急激に伸びたことで、そこに高さが加わった。
豊富な運動量と高性能な左足を生かしながら、左サイドで躍動をする彼は、この試合でも重要な働きを見せた。
「相手は縦に速いサッカーをしてくるからこそ、全体のアップダウンが激しくなると体力的にキツくなる。そこで僕が左サイドでどれだけボールを収めて、攻撃のテンポを作り出せるかがポイントだと日比威監督(91年度全国高校選手権の優勝メンバー)も言ってくれたので、なるべくボールを呼び込んでゲームメイクすることを意識した」
こう語るように、全体のボールの動きを見ながら、彼は左サイドに張り出したり、ボランチのポジションまで中に絞ったりと、高い位置でかつフリーでボールを受けられるポジションを常に模索。ボールを受けたらキープしたり、横パスをちらつかせながら、テンポダウンを図りつつ、機を見た縦パスやスルーパスで桐生一の守備ブロックに亀裂を入れていった。
そして、1-1で迎えた65分、右サイドをMF福地亮介がドリブルで突破をすると、ペナルティエリア内で10番を背負うトップ下の伊藤聡太に繋ぐ。「こぼれてくると思って入り込んだ」と入江はその流れを見て、一気にペナルティエリア内左に潜り込むと、伊藤のシュートを桐生一GK竹田大希が弾いたこぼれ球が飛んできた。
冷静に胸で得意の左足で蹴れる場所にボールを落とすと、「カバーに入っていたDFがこっちに向かってきていたし、GKも戻りながら反応をしていたので、下に打ったら弾かれると思った」と、迷わずニア上を目掛けて左足を振り抜いた。ボールは狙い通りゴール上に突き刺さり、帝京に勝点3をもたらす決勝弾を叩き出した。
「インターハイ東京代表としての自覚もあります」名門復活への想いも
「今、中学時代にコツコツとやってきたことが生きています。もともとキック力に自信があって、強く蹴ることを意識していたのですが、左サイドバックになって大振りだと相手にも読まれるし、GKも反応する。サイドバックとしてビルドアップに関わる時は、なるべく膝下のシャープなスイングと身体の向きなどと合わせて、相手を細かい部分から騙していかないと上でも通用しないと思ったので、3年間ずっと意識的に取り組んできたことが大きいと思っています」
小学校時代はFWや左サイドハーフをやっていたが、FC東京U-15むさし加入直後から左サイドバックにコンバート。自分の持ち味がより生きる天職を知ったことで、彼は多くの技術を吸収し、多彩なビルドアップのアプローチという武器を手にした。それがベースにあるからこそ、フィジカルがついてきた今、自分をより高めることができている。
カナリア軍団が誇る左サイドバックのゲームメーカー。個性的な選手が揃うチームの頭脳にもなっている彼の目には、自身の成長だけでなく、名門復活にも向けられている。
「インターハイ東京代表としての自覚もあります。帝京という歴史あるチームの中で、10年ぶりの全国大会。『古豪』と言われたり、注目されている中で、個人的にはどれくらい通用するかを試しながら、チームとしてはチャレンジャー精神を持って、一つひとつ勝っていきたいと思います」
取材・文●安藤隆人
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10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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