全国の借りは全国でしか返せない。履正社MF竹腰智也は絶対的なチームの中心へ
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[7.4 高円宮杯プリンスリーグ関西第8節 履正社 2-1 興國 J-GREEN堺]

選手権で全国のレベルを改めて知ったからこそ、それをチームに還元する義務と責任も、自分の中で強く感じているという。「やっぱり悔しいという想いが一番大きくて、その悔しさをピッチの上で知っているのは僕と(廣野)大河だけなので、そういう所も経験している僕らが発信していかないといけないとは思っています」。日本一を狙った昨年のチームでも多くの経験を積んだ、履正社高が誇る中盤のキーマン。MF竹腰智也(3年=京都サンガF.C.U-15出身)が静かに燃やす炎は、とてつもなく熱い。

前半から左右に動かされ、守勢に回るチームの中で、懸命にバランスを取りながらピッチを走り続ける。「受け身になったというか、リスペクトし過ぎたというのもちょっとあります。興國は結構大阪では有名なので、意識する所はありました」。慣れない3バックということも含めて、なかなか前に出ていけない状況を感じつつ、目の前の役割を1つずつこなしていく。

後半からその左腕に、キャプテンマークが巻かれる。「今年から副キャプテンになって、ゲームキャプテンをやることも多くなったので、チームの中心としてやっていかないといけないという自覚もありますし、試合中のコーチングも今のチームがどういう状況かというのも考えながら、というのも意識しながらやっています」。4-4-2にシフトしても、やることは大きく変わらない。とにかく走って、チームをその姿勢で鼓舞し続ける。

後半42分。FW廣野大河(3年)が逆転ゴールを決めたが、竹腰は「もういつもやったら喜びに行くんですけど、守備で体力を削られて、喜びに行けんぐらい疲れていました(笑)」と正直な一言。今度はようやく手にした1点を守るため、最後の力を振り絞ると、その耳に勝利を告げるタイムアップの笛の音が届く。

「嬉しいというか、ホッとしたというのが一番強かったです。一応今は無敗ですし、絶対に勝たなあかんと思っていたので。もう途中から足が攣っていたので、気持ちでやっているみたいな感じでした。でも、そこが自分の売りなので、そこはやり続けていきたいと思っています」。90分間戦い続けた成果として、勝ち点3を手繰り寄せた瞬間、エネルギーが切れたかのように、その場に座り込む姿が印象的だった。

より上を目指す意欲は、去年のチームでプレーをともにした“先輩”から学んだ所も小さくない。「攻撃の所でもっと顔を出して、ビルドアップの時も相手が嫌がることをもっとやらないといけないというのはありますし、去年は(平岡)大陽くんも、(赤井)瞭太くんも守備の所でもガツガツ行って奪い切れていたので、自分もそういう所はもっと練習しないといけないと思っています」。特にプロ入りを勝ち獲った平岡大陽(湘南ベルマーレ)が間近で見せてくれたものは、大きな基準になったという。

「大陽くんをずっと隣で見てきて、憧れもありますし、真似している部分もあって、近くにそういう存在がいたので、今の僕も成長できてるんかなと。でも、守備の所は大陽くんより全然ダメやし、そこは練習から意識次第で変えられると思うので、もっとやらないといけないとは思っています」。あの人に少しでも近付くことができれば、自ずとその先の未来も開けることは、竹腰が一番よくわかっている。

中学時代は京都サンガF.C.U-15でプレー。U-18へと昇格できる可能性も残されていた中で、「ギリギリで上がるんやったら、中心でやりたいと思った」こともあり、進学先を模索した時に決め手となったのは、指揮官の存在だった。「やっぱり平野(直樹)先生の存在が大きくて、『この監督と同じチームで一緒にやりたい』と思ったのが一番です。履正社の中で、選手よりも一番サッカー好きなんちゃうかという人なので(笑)」。ただ、感謝の想いを形にするための時間は、もう限られている。

「リーグ戦と選手権の2つが残っていて、チームの結果はもちろんなんですけど、個人としてもまだ成長できると思っているので、次のステージまでにどれだけ自分が成長できるかという所で、この半年間は高い意識を持ってやり続けたいと思っています。リーグ戦はプレミアに昇格したいですし、選手権の悔しさは全国でしか晴らせないので、まず全国を決めて、去年の借りを返したいと思っています」。

秘めている情熱をぶつける場所は、常にピッチの上。ここからの半年で、竹腰がどれだけ存在感を高められるかが、そのままチームが進む道のりの結果を左右するはずだ。

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