それぞれの立場で活躍する清水東OBたち。心温まる関係性のふたりも…
左から、大木監督(元京都など)、栗田監督(明治大)、長谷川監督(FC東京)、相馬監督(鹿島)、堀池監督(順天堂大)。(C)SOCCER DIGEST
高校サッカー界の名門のひとつ、清水東(静岡県)をルーツにする指導者は少なくない。いや、むしろその多さに思わずうなってしまうのではないか。
FC東京の長谷川健太監督や鹿島アントラーズの相馬直樹監督がそうで、順天堂大の堀池巧監督や明治大の栗田大輔監督も清水東OBだ。かつてヴァンフォーレ甲府や京都サンガF.C.などで指揮を執り、ショートパスを駆使する独自のスタイルで上位陣を脅かした大木武監督の名も忘れてはいけないだろう。今年、還暦を迎えるが、現在はJ3のロアッソ熊本で監督を務めている。
同期の長谷川監督と堀池監督は高校時代、大榎克己氏(現・清水エスパルス強化部)とともに「清水の三羽ガラス」と称された。彼らが2年生のときに出場した、1982年度の第61回大会で清水東の悲願である選手権初制覇を成し遂げ、続く第62回大会では準優勝を飾るなど、全国にその名をとどろかせた。
高校卒業後、長谷川監督は筑波大から日産自動車、堀池監督は順天堂大から読売クラブ、大榎氏は早稲田大からヤマハ発動機に進み、その後Jリーグでのプレーも経験し、現役を引退。それぞれがそれぞれのペースで指導者への道を歩んだ。大榎氏も以前、母校の早稲田大や清水での監督経験を持っている。
今年51歳の栗田監督は、相馬監督の一学年先輩にあたる。名伯楽とうたわれた勝澤要監督のもと、全国制覇を目指して、日々ボールを追いかけた間柄だ。卒業から30年余りが経過するが、日本のサッカー界に身を置く者同士。何かあれば、連絡を取り合っている。
シーズン途中、ザーゴ前監督の後を受け、鹿島のコーチから監督に内部昇格した際もそうだった。「大変なチーム状況だと思うけれど、(激励の気持ちを込めて)相馬監督にメールを送った」と、栗田監督は打ち明ける。すると、相馬監督から「頑張ります」との返信があったそうだ。
この話題に触れたとき、栗田監督は相馬監督のことを最初は苗字ではなく、実は「直樹」と呼び、「相馬監督」と言い直している。何とも心温まる思いがしてならなかった。お互いの立場や肩書がどう変化しようと、栗田監督にとっての相馬監督は高校時代をともに過ごした仲間のひとりであり、「直樹」は変わらず「直樹」のままなのだろう。ふと、そんな感慨に浸ってしまったからだ。
「サッカーは格闘技だと、勝澤先生は常々言っていました」
Jリーグや関東大学リーグなど、各カテゴリーの第一線で活躍する指導者を清水東は数多く輩出しているが、その理由を栗田監督に尋ねると「勝澤イズム」に言及した。「大先輩がたくさんいるなかで、自分が言うのもおこがましいけれど」と前置きしたうえで、こう続けている。
「サッカーは格闘技だと、勝澤先生は常々言っていました。そういうイズムがみんなの心にずっと残っていて、伝わっているんだと感じています。僕自身、一言では言い表わせないほど影響を受けました。緊張感のある練習の雰囲気を今でも覚えていますし、部員全員が本気で全国制覇を目指していた。パス1本にもこだわって、魂を込めて練習に取り組んでいた。間違いなく自分のサッカー観のベースになっていますね」
1966年から20年あまりにわたって清水東を率いた勝澤監督は、多くの教え子に影響を与え、指導者に限らず、Jクラブやサッカー協会のスタッフなど、日本サッカー界の発展に貢献する人材を輩出している。同監督もそもそも清水東OBだ。
多感な世代と言われる高校時代に自分の心を射抜くような衝撃は、その後の人生を大きく左右していく。清水東OBに限らず、自身の源泉が高校時代にあるという指導者はきっと多いことだろう。
取材・文●小室 功(オフィスプリマベーラ)
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■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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