[関東大会予選]歴史を創った市立前橋のキャプテン。DF田村楓は気負わず、しなやかに、この先も戦う
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[5.8 関東高校大会群馬県予選3回戦 市立前橋高 1-0 高崎経済大附高]

 市立前橋高にとって悲願とも言うべき、群馬8強を手繰り寄せた試合後。キャプテンは自分のチームを、こう語っている。「個人がメチャメチャ良いというのもあると思うんですけど、やっぱりチーム全体の力が大きいかなと。個人というよりは、チーム全体で勝ちに行く雰囲気があるのがいいなと思います」。その雰囲気を作っている張本人。DF田村楓(3年=前橋富士見中出身)のリーダーシップが、市立前橋を今まで以上に前へと走らせていく。

 昨年の10月に新チームが発足してから、決してすべてが順風満帆に進んでいた訳ではない。「自分たちの代になって、最初は調子が良くて勝てたりしていたんですけど、リーグ戦が始まると、そこでは結構失点があったり、負けもあったりしていました」。ここまでのリーグ戦は2勝3敗と黒星先行。11得点を挙げたものの、12失点を喫するなど、やや苦しい戦いが続いていた。

 だが、今大会に入るとチームは勢いを取り戻す。「総体に入ってからみんな切り替えて、結構やるようになって、そこから全体も上がってきた感じはありました」。前橋東高に2-0、新田暁高に5-0と2試合連続完封でベスト16進出。同校にとって、どうしても超えられなかった“壁”へと手が掛かる。

 半年前には悔し過ぎる経験があった。インターハイも中止となり、2020年度では唯一の大会となった選手権予選。「自分も1個上の代だとベンチに入れてもらえたりしたんですけど、選手権で負けた試合は自分も出ていて、泣きましたし、悔しい想いをしました」。先輩たちの想いも汲んで、決戦へと挑んでいく。

「最初の雰囲気から結構『自分たちの方が行けているな』というのはありました」という田村の言葉通り、良い形でゲームに入った市立前橋は、12分にセットプレーからMF中村圭太(3年)が先制弾。立ち上がりから最高の流れを作ってみせる。

 一転して後半は相手の猛攻に晒されたが、終盤には前線に上がってきた高崎経済大附のキーマン、188センチの長身DF二ノ宮慈洋(3年)に対しても、組織で対抗。「まず2番(二ノ宮)にファーストをやらせないという気持ちでやっていて、実際そんなにやられていなかったので、そこが徹底できたのが良かったかなと思います」。チーム全体で粘り強く対応し、体を張り、走り続けて、相手のチャンスを1つ1つ凌いでいく。

 後半31分に交代していた田村は、ベンチでその瞬間を迎える。「監督もコーチもずっと『ベスト8に行こう』と話してくれていたので、勝った瞬間は『やった~』ってメチャメチャ思いました。凄く嬉しかったです」。この日、新たな歴史を創ったチームの中で、田村が果たしてきた役割の大きさは、彼を中心にできた歓喜の輪を見ればよくわかる。

 理想のリーダー像は、誰もが知るあの選手だ。「日本代表で吉田麻也選手がキャプテンをやっているじゃないですか。ああいうふうに声を出して、リーダーシップをちゃんと取れて、『自分も負けない』という気持ちを出せるキャプテンはいいなと思います」。チームを今まで以上に牽引していく決意は、勝利を得るごとに間違いなく大きく、強くなっている。

 だからと言って、必要以上に気負うつもりもない。「今回初めてベスト8に行ったというふうに周りからも見られていると思うので、これからそのプレッシャーはあると思うんですけど、そういうのはあまり深く考えずに、自分たちも今まで以上の成績を目指して、頑張っていけたらいいなと思います」。

これからがさらなる本番。田村がしなやかに束ねる市立前橋の快進撃は、果たしてどこまで

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