[5.3 関東高校大会東京都予選準決勝 駒場高 0-2 國學院久我山高]
都立の雄、奮闘及ばず――。2日、2021年度関東高校サッカー大会東京都予選準決勝が行われ、都立勢としては唯一ここまで勝ち上がってきた駒場高と、2019年度優勝の國學院久我山高が対峙。前半に2点を決め切った國學院久我山が2-0と勝利を収め、関東大会の出場権を獲得している。
いきなりの先制パンチは開始3分。左サイドをドリブルで運んだSBの飯野広陽(3年)は、そのままエリア内へ侵入してフィニッシュ。ボールは右スミのゴールネットへ到達すると、2分後の5分にも再び歓喜。「フワっと来たパスを、右足の爪先でいい感じでターンできて、良い所に置けたのが良かったですね」と振り返るMF森次結哉(3年)は、飛び出してきたGKの鼻先で浮かせるループシュートを選択。「正直自分でも良いゴールだったと思います」と笑顔を見せた新14番の追加点。あっという間に2点のリードを奪う。
「ちょっと守備のリズムができる前にポンポンとやられちゃった感じでした」とは駒場の松本匡央監督。以降も攻勢は國學院久我山。7分にキャプテンのCB永澤昂大(3年)が枠へ収めたミドルは、駒場のGK権東春薫(3年)が懸命にキャッチ。18分にも飯野のパスから、反転したFW塩貝健人(2年)のシュートは枠の左へ逸れるも、さらなるゴールを狙う。
26分には永澤が丁寧なフィードを送り、仕掛けたFW安田修都(3年)のシュートは、ここも権東がファインセーブ。30分はセットプレーのチャンス。中盤アンカーのMF飯塚弘大(3年)の右CKに、FW高橋作和(2年)が合わせたヘディングも権東がキャッチしたものの、「前半は自分たちの形ができて、テンポも良かったと思います」と森次も言及した國學院久我山が、2-0とリードして最初の40分間は終了する。
「実はこの大会でリードされたことがなかったので、それを前提でやろうよと言っていたんですけどね」と指揮官も明かした駒場が、後半は一気に盛り返す。4分にMF小林建広(3年)が右クロスを上げ切り、FW菅野峻平(3年)が打ったシュートはDFに阻まれるも、久々にフィニッシュまで持ち込むと、7分には國學院久我山も森次が決定的なシュートを放つも、権東がビッグセーブ。3点目は許さない。
9分は駒場の好アタック。左からMF後藤英太(3年)がクロスを蹴り込み、菅野の落としにFW藤木速人(3年)が右足を振り切るも、國學院久我山のGK村田新直(3年)が確実にキャッチ。15分にも相手最終ラインでのパスをかっさらった小林が抜け出すも、ここは「相手がボールを持った瞬間に『行けるかな』と思って、相手のトラップを狙ってしっかり行けました」と振り返る村田の好守に阻まれたが、ゴールの匂いが漂い出す。
そして17分。攻勢の都立校に千載一遇の得点機が到来。ディフェンスリーダーのCB原康成(3年)のフィードに藤木が反応すると、國學院久我山のDFにハンドがあったというジャッジが下され、駒場にPKが与えられる。
10番の藤木がスポットへ。短い助走から右を狙ったキックは、しかし「相手のペースになっていて、あそこで決められたらちょっとまずいかなというのはありましたし、練習でPKをやる時は3分の1ぐらいは止めていたので、体はちょっと浮いていたんですけど、左手一本で綺麗に止められたかなと思います」と口にした村田が完璧なセーブでストップ。守護神の超美技が飛び出し、國學院久我山は命拾い。
「久我山さんに対する対策をしていたのがある程度ハマり始めて、攻撃パターンもいくつか決めていたのが、後半は少しできましたね」と松本監督も話した駒場は、サイドアタックとショートカウンターを駆使してその後も反攻。19分に菅野の右クロスから、藤木のシュートは枠の上へ。31分にMF牧元英多(3年)が右FKを蹴ると、途中出場のMF松本航輝(2年)とFW宮原海里(3年)がニアへ飛び込むも、シュートは打ち切れない。
「後半は後ろで回しているだけで、全然前に行けなくて、それも自分たちの悪い所が出てしまったなという印象でしたし、相手に攻められた所はあるんですけど、失点をゼロに抑えられたのはPKストップも含めて良かったと思います」とは森次。難しい試合でも、それなりにきっちりまとめて勝ち切るのは、やはり強者の証。ファイナルスコアは2-0。國學院久我山が関東大会への出場権を獲得した。
試合後。駒場を率いる松本監督は、選手たちを称えたと明かす。「ベスト4の中でT4も都立もウチらだけですし、実は3月17日から練習を再開しているので、それまで2か月ちょっとはまとまっての練習は全然できなかった中で、ケガのリスクを最小限に抑えながら、何とかパフォーマンスを引き出してという形で、3年生はケガをしたら終わってしまうので、それだけは本当に避けなきゃと思っていました」。
「そういう意味では本当に運良くここまで来れたなと思いますし、学校としても久しぶりにベスト4に入れたので、それはもう大きい事でしたし、まだまだ不十分なんですけど、この子たちがしっかりトレーニングして、マジメに取り組んだ結果かなと思いますよね」。この時点で一定の手応えと、もちろん新たな課題を選手が感じられたことは、チームにとっても貴重な経験となった。
スタッフからの話が終わり、円陣の輪が解けると、あるレギュラーの選手が泣いていた。「『もうちょっとできたよね』というのと、『オマエを信頼してやったから、ここまで来れたんだよ』という意味で褒めたんですけど、本人としては悔し涙だと思います」と松本監督。全国に繋がる大会でも、あるいはそうでなくても、選手はいつでも目の前の試合へ真剣に挑む。あの涙を流せる今年の駒場は、どの強豪校にとっても厄介な存在になりそうだ。
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
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10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
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高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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