Jクラブも注目する逸材!静岡学園の190cmDFが世代別代表を経験してさらなる進化「基準が上がった」
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規格外のスケールを持つCBに指揮官も大きな期待

 

静岡学園のDF伊東は攻撃センスにも秀でる大型センターバックだ。写真:松尾祐希

 

 190cmのサイズと正確な足下の技術。現代のCBに求められる要素を兼ね備えた静岡学園の伊東進之輔(3年)が右肩上がりで成長を続けている。

 

 4月17日に行なわれたプリンスリーグ東海3節の帝京大可児戦(3○2)では、4バックの左CBで先発出場。序盤から相手の素早いプレスに動じず、自身の良さを前面に押し出していく。正確なパスでビルドアップの起点になり、チャンスと見れば鋭いボールを縦に入れた。また、局面を変えるフィードも冴え、ミドルレンジのパスを左右に散らす。この試合で効果的だったのが、空いたスペースに“運ぶ”ドリブルだ。相手の寄せが遅れた時はスペースを見付け、ボールを前に持っていく。そこからサイドにボールを付け、攻撃にアクセントを加えた。

 

 後半は相手の猛攻に手を焼き、ショートカウンターへの対応が主な仕事に。56分にはクロスボールをGKが弾くと、こぼれ球に触れてゴールを与えてしまったが、それでも終盤は身体を張った守りでチームの勝利に貢献。ポテンシャルの高さを証明し、上のステージで戦える可能性を示した。

 

 規格外のスケールを持つCBに川口修監督も大きな期待を寄せる。

 

「単純に(空中戦や1対1に)強い選手はいる。でも、強さを持って跳ね返した上で、ボールに触る技術を持つ選手はあまりいないから将来が楽しみ」

 

 指揮官も太鼓判を推し、今ではJクラブも注目する逸材となった。しかし、中学以前は全国的に無名。ナショナルトレセンはおろか地元大阪の府選抜に入った経験すらなかった。では、なぜプロから注目される選手に成長を遂げたのか。それは絶えず向上心を持って、地道に積み上げてきたからだ。

 

 大阪の千里丘FCから静岡学園の門を叩いた3年前。中学3年間で身長が一気に約30cm伸び、既に190cm近い体躯を持っていた。しかし、当時は持ち前の技術を発揮する術を知らず、冬の高校サッカー選手権もメンバー外。チーム初の選手権単独優勝はスタンドから見ることになった。

 

 迎えた昨シーズン。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で前半戦は公式戦を開催できなかったが、レギュラーとしてプレーし、さらなる飛躍が期待された。だが、夏場にポジションを失ってしまう。当時1年生の行徳瑛がU-16日本代表などを経験し、急成長を遂げたからだ。

 

 当時を振り返り、伊東は悔しさを持ちつつも、その状況をポジティブに捉えていた。

 

「代表に行徳が入ったけど、元々は自分が試合に出ていた立場。なので、『自分も代表に行けるかもしれない』と常に思っていたし、自分も選ばれたいと考えていた。行徳が代表に招集されたことで、その想いはより強くなったのは間違いない。悔しさはあったけど、逆にそこで成長できた」

 

「(代表は)普段からやっている2つ上くらいのスピードでパスをした上で、トラップも正確だった」

 

 結局、2年次にはポジションを奪い返せなかったものの、課題として抱えていた守備の強度を高める作業に注力。その結果、新チームでは立ち上げ当初からレギュラーとして活躍し、3月には初めてU-18日本代表に名を連ねた。そして、世代別代表での経験が自身の成長速度をさらに加速させる。伊東は言う。

 

「すでにプロでプレーしている選手もいて、自分の基準が上がった。練習から『止める位置を正確にしよう』と川口監督から言われていたのですが、普段からやっている2つ上ぐらいのスピードでパスをした上で、トラップも正確だったんです。プロになったら、代表でやっているスピード感でプレーしなければと思い知らされました。本当に良い経験。これからもっと取り組まないと」

 

 その経験はチームに帰ってからも生きている。自身に求める基準が上がり、プロを意識してプレーをするようになった。また、課題のフィジカル面も今まで以上に意識するようになり、体幹を中心に鍛錬。昼休みにも校内のジムに足を運んで、15分ほどトレーニングをするようになった。プロで戦う身体を作るために食事面も改善。代表でバランスが取れた食事の重要性を知り、寮で出される食事に加えて、足りないものを自分で購入して食べるようになったという。

 

「初めて代表に選ばれ、自分の自信になった。その経験を生かして取り組み、プロを目指してやっていきたい」とは伊東の言葉。アジリティやフィジカルの強さは改善を図っている最中だが、今まで同様に真摯にサッカーへ向き合っていけば、誰もが驚く成長を遂げたとしても不思議ではない。

 

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

 

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