立命館大のFW明比友宏
特筆したスピードがあるわけでなければ、他を凌駕する身体的特徴を持った選手ではない。だが、ボックス内での判断がよくタイミングよくゴール前に顔を出し、点が獲れる。その得点力は高3の時にプレミアリーグWESTで得点王になったことでも証明済み。立命館大のFW明比友宏(4年=広島ユース)は天性のストライカーと言える選手だ。
天性のストライカーであるのと同時に天性のキャプテンでもある。高校時代に続き、今年は大学でもキャプテンを務めており、米田隆監督が「なるべくして、なった人だと思う。色んなことを考えていると思うけど策に溺れず、人間味で行けば良い」と太鼓判を押すほどのメンタリティーを持っている。
本人も自身の特徴は理解しており、こう話す。「自分自身がピッチ内でもピッチ外でも、このチームを引っ張れる自信がありました。1年生から試合に出させてもらっているし、ムードメーカー的な存在でもあるので、自分がやれば風通しの良いチームになるかなって思いました。オンの部分でも、特徴であるピッチの中で自分が戦う姿を見せれば、このチームにとって一番良い形になる」。
キャプテンになってから意識したのはコミュニケーションだ。1学年10人弱だった広島ユースとは違い、大学サッカーは100人以上の選手がいる。選手としてプロを目指す者だけでなく、裏方としてチームのために頑張る者など立ち位置も人それぞれ違う。プレーでチームを引っ張るだけでは、チームは一つにまとまらない。「一人ひとりの選手を見て、一言でも喋る量を増やす。運営委員としてBチーム、Cチームの選手が自分たちのサポートをしてくれているのを自分たちは見ているよと伝えることができれば、一体感ある組織になれる」。そう考える明比は、少しでも多くの選手と一言でも多くの会話を交わすよう心掛けているという。
チームとして高みを目指す一方で、今年はプロ入りをかけて個人としての活躍も、これまで以上に意識している。ユース時代の同期には、U-24日本代表としての活躍が期待されるGK大迫敬介、レンタル移籍先の愛媛で副キャプテンを任されるMF川村拓夢、山口で奮闘を続けるDF川井歩と錚々たる選手が揃う。
加えて、今年は流通経済大へと進んだMF仙波大志とFW満田誠の広島への復帰が決まった。「ライバル心はめちゃくちゃあります。特に大志(仙波)とマコ(満田)が、広島への加入が決まったのは、凄く刺激になる。2人の名前を聞いただけで、鳥肌が立ちます」。笑みを浮かべながらも、2人に負けたくないという想いは強い。一方で、2人との違いも理解している。「アイツらには個があって、ギラギラした物がある。自分はそういう部分以外で、泥臭く自分の特徴を出して、アイツらに負けていないくらいの場所に行きたい」。
ユース時代はそうした周囲のタレントに活かされてきた。相手の力関係も上であることが多く、「パスを受けてから失わずに動かすだけで良かった。そこから、ゴール前に動けば良いボールが自然と入ってきた」と振り返る。だが、相手に挑む機会が増える大学では同じようには行かない。受け身ではなく、自らが積極的にドリブルを仕掛けてシュートまで持ち込む意識が強まったのは、大学での成長だ。
入学1年目は交代の切り札として多くの出番を得たが、満足いくだけのゴールが奪えなかった。スタメンの座を掴んだ2年目は膝を負傷し、リーグ後期から戦列から離れた。昨年もリーグが始まった秋に第五中足骨を負傷し、シーズンを棒に振った。プロや大学でチームメイトが活躍する焦りも当初はあったが、「良い意味で”自分は自分”と考えられるようになった。一喜一憂せずに自分らしく積み上げていくんだって思えた」と振り返る。4回生だから、キャプテンだから、と言って気を張り過ぎず、明比らしいプレーを続けることができれば、ユース時代のライバルたちと同じステージに立てる日が必ず来るはずだ。
執筆者紹介:森田将義(もりた・まさよし)
1985年、京都府生まれ。路頭に迷っていたころに放送作家事務所の社長に拾われ、10代の頃から在阪テレビ局で構成作家、リサーチとして活動を始める。その後、2年間のサラリーマン生活を経て、2012年から本格的にサッカーライターへと転向。主にジュニアから大学までの育成年代を取材する。ゲキサカの他、エル・ゴラッソ、サッカーダイジェストなどに寄稿している。
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
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■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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