「佐野海舟の弟」から巧く、逞しく、勝負強いエースへ。米子北MF佐野航大は敗戦も3人抜きやハードワーク
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[3.14 中国高校新人大会準決勝 瀬戸内高 1-1(PK8-7)米子北高]

「佐野海舟の弟」から、巧く、逞しく、勝負強いエースへ――。米子北高(鳥取)はPK戦の末に準決勝敗退。0-1で惜敗した選手権1回戦の山梨学院高(山梨)戦に続き、紙一重の勝負で勝ち切れなかったことを中村真吾監督も、チームリーダーの10番MF佐野航大(2年=FC Viparte出身)も残念がっていた。

 佐野は「こういう競った試合で勝てないと全国でも絶対に勝てないし、競った試合を勝ち切れないと自分も成長できないし、チームとしても成長できない」と指摘。自身も「力不足」と首を振った10番は、接戦で勝負強さを発揮できる個人、チームになることを誓っていた。

 一方でトップ下を努めた佐野は、成長を印象づけるような70分間だった。前半はバイタルエリアでボールを受けることができていなかったが、それでも前半の終盤頃から前を向いてプレーする回数を増加。サイドへの展開やクロスでチャンスメークした。

「トップらしいゴリゴリもできて、トップ下らしいテクニックも出せるくらいじゃないとプロから声も掛からないと思う」と語る佐野は後半6分に、馬力とテクニックの両方を示すような突破。ピッチ中央から1人でDFを1人、2人と抜き去り、PAでさらに1人をかわして右足を振り抜いた。

 だが、「最後の人を抜かす前に打っていれば可能性はあった」と振り返ったように、シュートの判断が遅れたことでコースが限定され、パワーのある一撃を打ち込むこともできなかった。その後もドリブル、ラストパスでチャンスを演出したが、勝ち越し点を生み出すことができず。ポジショニング、冷静さ、決定力など全てについてレベルアップする必要性を口にしていたが、技巧派MFが逞しく変化していることも確かだ。

 この日は泥臭いタックルなど球際でハードワーク。選手権初戦敗退後はテクニックよりも筋トレや身体の使い方の向上、走り込みに取り組み、ジムにも通って強化してきたという。「中学の頃はあまり走れなくて」と振り返る。OBで兄の町田MF佐野海舟とはプレースタイルも、性格も異なると言われてきたが、現在は巧さに加えて兄のような走り、戦える選手にもなってきている。

 兄と比較されることは理解した上で米子北へ進学。「あんだけJ2で活躍してお兄ちゃんと思えないくらい」と兄の凄さを改めて実感しているが、「自分は自分のプレースタイルでやっている。兄から学ぶことはめちゃくちゃあるんですけれども、そこはリスペクトして兄を超えるくらいの実力を身に付けないといけないと思います」と力を込めた。

 個人としての目標はプロ入り。そのためにプリンスリーグ中国や全国大会でアピールしなければならない。1年時から10番を背負ってきた注目MFは、「自分が勝負決めないといけない」という自覚と野心も持って今年、勝負を決めるような活躍を続ける。

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