目指すは“帝京長岡のマスチェラーノ”。三宅凌太郎は超えられなかった壁をぶち壊すキャプテンに
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憧れの選手はハビエル・マスチェラーノ。アルゼンチン代表やバルセロナで活躍したミッドフィルダーが好んで付けていた番号は、そのまま帝京長岡高(新潟)が伝統として受け継いできたエースナンバーと重なる。「14番が欲しいって冗談で言ってみたりはするんですけどね(笑)」と口にした三宅凌太郎(2年)の笑顔の裏に、秘かな野心が垣間見えた。

 2年連続で高校選手権全国ベスト4を経験した帝京長岡。1年時は2回戦に途中出場を果たしたものの、大半の試合を「憧れという目で」ベンチから見つめていた三宅も、今冬の全国では2年生ながら副キャプテンとして全4試合にフル出場。「ピッチの中と外では景色が全然違いましたし、チームを背負いながら戦うという所も含めて楽しかったです」と大会を振り返る。

 だが、リーダーシップという点ではまだまだ課題が残ったことを感じていたようだ。「去年はやっぱりコウタツに頼り切っていて、助けてもらっていた部分が多くて、自分はそれをフォローするくらいでした」。14番を背負い、文字通りチームの中心としてピッチに君臨していた川上航立(3年)の背中が大きく見えた。

 迎えた新チーム。キャプテンに指名された三宅は意識革命に取り組んでいる。「今年はチームを引っ張っていく立場になったので、練習でも試合でもしっかり声を掛けて、頼れる選手になりたいですし、もっと積極的に前に出て、チームを動かしていかないといけないと思います」

 2021プーマカップ群馬の初戦となった前橋育英高戦では、慣れ親しんだセンターバックではなく、今シーズン初めてアンカーのポジションに入りながら、実戦経験の少ない中盤より前の選手を大声で鼓舞しつつ、きっちり攻守にコントロール。後半には自ら豪快なミドルシュートを叩き込むなど、チームの軸としての存在感を見せ付けた。

 とはいえ、それぐらいで満足するような男ではない。「まだ周りを見切れずにボールを失うシーンもたくさんありましたし、センターバックとは守備のやり方も全然違うので、そこはこれからもっと突き詰めてやっていきたいと思います」。まず反省が口を衝くあたりも頼もしい。

 今年のチームに課されているものは、十二分に理解している。「2年連続“惜しい止まり”なので、そういう勝負所というのは今年1年こだわっていきたいと思いますし、去年試合に出ていた選手が結構残っているので、そういう経験をチームに還元しながら、そこの基準をブラさずに1年間努力していきたいです」。

 もう“惜しい止まり”なんて言われたくない。そのために必要なものも、十二分に理解している。「足元の所の良さを出しつつ、去年以上にハードワークができたらいいなと思います。やっぱり選手権で戦っても間違いなくそれは必要なものだと感じましたし、球際だったり気持ちの部分でも、どこのチームよりも勝らないと去年以上の結果は残せないと思うので、そこでも相手を上回れるようにチームでやっていきたいと思います」。

 ハードワーク、球際、気持ちを持ち合わせたグラディエーター。すなわち“帝京長岡のマスチェラーノ”へ。14番を背負っても、14番を背負わなくても、三宅が見据える目標は揺るがない。

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