中学時代にフットサルからサッカーへ転向したGKが躍動!
山梨学院の優勝で幕を閉じた高校サッカー選手権から、はや2か月。各チームは新シーズンに向け、新たな選手の発掘や強化を進めている。
各地域で新人戦やフェスティバルが開催されている中で、2月20日からは第42回九州高等学校(U-17)サッカー大会が行なわれた。Jクラブのスカウトや大学関係者も集結。今季の飛躍が期待される選手たちに熱視線が注がれた。そこで今回は大会を通じて活躍した選手をピックアップ。4月に幕を開けるリーグ戦、夏のインターハイ、冬の高校サッカー選手権で活躍が待たれる11人を一挙に紹介する。
――◆――◆――
GK
緒方 要(国見/2年)
中学1年次にフットサルからサッカーへ転向し、中学2年次にGKへコンバート。県のトレセンメンバーに選出されるなど、中学3年に評価を高めて国見から誘いを受けた。中学時代は専門的なトレーニングをしていなかったが、高校入学後にGKコーチの指導を受けて才能が一気に開花。今大会は184cmのサイズを生かしたハイボール処理とシュートストップでチームの優勝に貢献した。GK歴はまだ4年。今後の可能性は無限大だ。
D F
抜水昂太(神村学園/2年)
豊富な運動量と機を見た攻撃参加で存在感を示した左サイドバック(SB)だ。ビルドアップに関わりながら、積極的に高い位置を取ってチャンスを演出。昨季はSBだけでなくボランチやセンターバック(CB)を経験し、課題の守備面も改善された。ポジション取りや対人プレーの強度が増し、今大会は攻守でチームに貢献。フィジカル面を強化すれば、一つ上のステージも見えてくる。
杉本 蓮(熊本国府/2年)
今大会、チームは4失点。連係面で課題を多く残した一方で、個人としては当たり負けしない身体と空中戦の強さで存在感を発揮した。屈強な九州のFW陣に力負けしないパワーだけではなく、初戦の佐賀東戦では対角線上に正確なボールを蹴り込んで攻撃の起点になった。「プレッシャーが低い時に良いボールが蹴れる。強度が高い試合でどれだけ蹴れるかが課題」とは佐藤光治監督の言葉。常に安定したパフォーマンスを見せ、さらなるステップアップを実現したい。
宝納拓斗(佐賀東/1年)
今冬の高校サッカー選手権にも1年生で先発出場するなど、期待値が大きいCBだ。スピードと高さを兼ね備えており、今大会は強豪校のFWと互角以上の勝負を演じた。ポジショニングやキックの精度は課題だが、ポテンシャルは一級品。継続して試合に出続ければ、才能が花開く可能性は十分にある。
濱崎聡馬(鹿児島城西/2年)
最大の武器はエアバトルの強さ。3バックの一角で先発出場した国見との初戦ではCKから高打点のヘッドを叩き込み、180cmを超える上背を生かしたプレーで“らしさ”を発揮した。また、ロングフィードの質も悪くなく、最終ラインから配給役を担えるのも特徴のひとつ。チームを5年ぶりの選手権出場に導く上で、欠かせないタレントであるのは間違いない。
1年生10番が存在感を示した国見。選手権で躍動した大迫を擁する神村学園も破る
MF
吉田陣平(佐賀東/2年)
独特の間合いで3列目からボールを運び、隙あらば自らゴールを狙う司令塔だ。高校選抜の活動に参加していた影響で今大会は2日目から参戦し、合流直後の那覇戦では1ゴール・4アシストの活躍を見せた。国見に敗れた決勝ではゴールに絡めなかったが、キレのあるドリブルとパンチの効いたミドルシュートは迫力満点。順調に成長を続けていけば、高卒でのプロ入りも見えてくるはずだ。
大迫 塁(神村学園/1年)
1年生ながら既にJクラブから熱視線を送られるレフティは、正確なキックとゲームメイクで持ち味を発揮。準決勝の国見戦ではゴールに直結するプレーをできず、チームも0-1で敗れた。しかし、多少無理な場所で受けても巧みなターンで前を向き、逆サイドへボールを展開したのは流石の一言。守備でも球際で強さを見せるなど、攻守で存在感を示した怪物ルーキーの実力に疑いの余地はない。
北村一真(国見/1年)
チームの優勝に貢献した1年生10番だ。最大の武器は豊富な運動量。三重県の紀州エスフォルソでプレーしていた中学時代から走力に自信を持ち、校内の持久走大会では新記録で優勝した経歴を持つ。今大会では試合を重ねるごとに手応えを掴んだ。準決勝と決勝では“走り”に加え、ボールを収めながら前線にボールを供給。3列目から積極的に攻撃に絡み、チームの優勝に貢献した。小柄ながら身体の強さも水準以上。今後の成長が楽しみなタレントだ。
中原優心(東福岡/2年)
2列目からの飛び出しが武器のトップ下だ。予選リーグの鵬翔戦では狡猾な動きで相手の裏を取って鮮やかに2得点を奪った。今大会は比較的安定感のあるプレーを見せたが、試合によって出来に波がある。課題を克服できれば、“赤い彗星”の絶対軸になったとしても不思議ではない。そのためにも精神面の成長が求められる。
森田大智(大津/2年)
多くのJリーガーを輩出してきた大津で1年次から試合に絡み、昨季は10番を託された。今大会は主にボランチでプレーし、正確なパスとポジショニングの良さで攻撃を牽引。予選リーグの九州国際大付戦ではクロスからネットを揺らすなど、ゴール前で怖さを出す場面も増えた。今大会は惜しくも予選リーグ敗退。試合後には目を潤ませ、悔しさを噛み締めた。この経験を次につなげ、どんな成長を遂げていくのか注目だ。
FW
葭岡遥来(日章学園/2年)
日章学園中時代に全国中学校サッカー大会を制した経験を持つゴールゲッターだ。高校入学後はボランチなどを任され、1年次から高校サッカー選手権に出場。今大会は木脇蓮苑が不在だったこともあり、10番を背負って攻撃を牽引した。身体の強さとスピードを生かした仕掛けで強豪校のCBに勝負を挑み、予選リーグの九州国際大付戦ではハットトリックを達成。惜しくも決勝トーナメントには勝ち上がれなかったが、大会を沸かせたひとりだった。
取材・文●松尾祐希(フリーライター)
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
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[10.12 国体少年男子1回戦 東京都 1-1(PK4-2)鹿児島県 OSAKO YUYA stadium] 東京都が“決勝戦”と位置づけていた一戦を突破した。対戦した鹿児島県はともにU-16日本代表のMF福島和毅(神村学園高1年)やFW大石脩斗(鹿児島城西高1年)を擁し、地元国体のために準備してきた注目チーム。この日は、800人の観衆が地元チームを後押ししていた。 だが、石川創人監督(東京農大一高)が「僕らは『ここが決勝戦だ』と言ってチームを作ってきた」という東京都が、強敵を上回る。技術力の高い選手の多い鹿児島県に対し、MF仲山獅恩(東京Vユース、1年)とMF鈴木楓(FC東京U-18、1年)中心にコミュニケーションを取って準備してきた守備で対抗。相手にバックパスを選択させたり、奪い取る回数を増やしていく。 鹿児島県の巧さの前に迫力のあるショートカウンターへ持ち込む回数は少な...
※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
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高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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