大会直前に“内定辞退”決断…「山田時代のみんなに負けたくない」北陸大4年DF新井がオファー求めて迫真プレー
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[1.6 #atarimaeniCUP1回戦 流通経済大 2-1 北陸大]

 北陸大DF新井健太郎(4年=青森山田高)の冬は1回戦で幕を閉じた。「Jリーグの舞台でやりたいと思っている。ゆくゆくは日本代表になって活躍したい」。大会前には内定していた就職先を急きょ辞退。諦め切れなかった夢のため、次のステージでのオファーを待つ構えだ。

 関東2部王者で大会優勝候補との呼び声高い流通経済大に対し、互角以上に渡り合う時間も長くつくった北陸大だったが、ペナルティエリア外からのシュート2本を決められて1-2で敗戦。昨季の全日本大学選手権では後半アディショナルタイムの失点で常葉大に敗れており、またも初戦突破は果たせなかった。

「昨年はいいゲームしたね、惜しいゲームだったねと言われてきて、今年は改善しようと思っていたけど、チームとして進歩がなかった。最後に運動量のところが落ちたり、足がつる選手が出た。流経大の選手たちは足をつることなく、強度の高いプレーを続けていた。自分たちが甘かった」。新井はきっぱりと実力不足を認めた。

 とはいえ、個人としての存在感は絶大だった。苦しい時間帯には大声で周囲を鼓舞し、最終ラインから味方のプレッシングを後押し。右サイドバックからのオーバーラップや、164cmと小柄ながらも高いジャンプ力を誇る空中戦でも見せ場をつくり、大学屈指とされる流経大の攻撃陣と見事に渡り合っていた。

「自分が目指しているところを目指すならやれて当たり前。もっと違いを出せればと思っていた。ああいう押し込まれている状態でオーバーラップをうかがっていたが、後半は1本もクロスを上げられなかった」と語ったように、自身のプレーに満足しているわけではない。ただ、その自己評価は高い基準の裏返しだ。

 新井は高校3年時、青森山田の背番号22として高校選手権初優勝を達成。度重なる負傷もあって「なかなか試合には出られなかった」と振り返るが、当時「黒田監督に教えられていた」という基準はいまに生きている。

 北陸大では「(周囲との意識に)ギャップはあった」と認めつつも「高橋壱晟、廣末陸、住永翔に引っ張ってもらっていた中で、次は自分が引っ張る番だ。あいつらには負けたくない」と自らが奮起。プレーヤーとしても「まずは力をつけようと思って、技術とフィジカル面を鍛えてきた」ことで、2年時からトップチームの出場機会を掴んだ。そして3〜4年時には2年連続での全国大会出場を達成。2年続けて全国大会では初戦敗退となったが、サッカーへの情熱はいまもなお消えていない。

 そんな新井は卒業後に向けて「来年まだチームが決まっていない。サッカーをするということだけが決まっている状態」。エネルギー会社の営業職への就職も決まっていたが、大会直前に「全国前に覚悟を決めよう」と内定辞退を決断したという。

「内定させてもらっていた会社を辞退させてもらって、来年もサッカーをやりたいと思っています。こんな状況だったので迷いもあったけど、プロもどんどん出ている山田時代のみんなに負けたくないというのもあるし、夢があったので頑張ろうと思った」。まずはJリーガーの夢を実現させる第一歩として、来季のオファーを待つ。

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