12月6日のプレミアリーグ関東最終戦以降は活動を自粛
千葉県決勝ではライバル流経大柏を破って全国出場を決めた市立船橋。写真:田中研治
12月10日の出来事だった。市立船橋高の男子バスケットボール部で新型コロナウイルスのクラスターが発生。翌日にはさらなる感染が確認され、学校は休校措置を取らざる得なくなった。
12月31日に開幕する高校サッカー選手権に出場するサッカー部も影響を受け、オフを取った関係で感染拡大前最後のゲームとなった12月6日のプレミアリーグ関東・最終戦以降は活動を自粛した。
「生きた心地がしなかった。だけど、これだけ生徒がいれば出る可能性はある。サッカー部も90名近くいるので誰が出てもおかしくないと覚悟していた」と波多秀吾監督が肝を潰したように、スタッフと選手がPCR検査を受けた。
「選手権に本当に出られるのかと思ったのが正直な気持ち」(石田侑資/3年)と話したように、落ち着かない日々を過ごしたのは間違いない。
活動休止により、大会前の強化スケジュールは全て見直し。開幕まで残り10日を切った時点で活動再開となり、トレーニングマッチも1試合組めるかどうかとなった。キャプテンの石田が「やるべきことをやれば大丈夫。良い準備をしようとみんなで話している。(佐賀東と戦う)初戦の分析も行なう時間がたくさんあるので、細かくやっている」と前を向いたが、不安がないと言えば嘘になる。「大丈夫かなと思う」と石田の言葉通り、試合勘やコンディションが100%に戻る保証はない。だからこそ、求められるのは逆境を跳ね返すメンタルの強さだ。それは選手も理解している。石田は言う。
「活動自粛中にオンラインミーティングを部員全員で行なっているのですが、メンバー外の選手が『やるべきことは一緒だぞ』と言ってくれた。なので、今年のチームはどんな状況になっても、同じ方向を向いてやっていけるというのを感じている」
誰が悪いわけでもない。その中で何ができるのか。個人でランニングなどもできなかったが、ピンチをチャンスに変えるべく、選手たちは室内で今やるべきことを徹底的にやってきた。また、今年は昨年の主軸だった鈴木唯人(清水)、畑大雅(湘南)のようなタレントはおらず、組織力で勝負するチーム。だからこそ、この逆境は仲間たちの絆を深め、今まで以上の一体感を育みつつある。
「こういう状況でも勝つのが市立船橋。このチームは上に行けると感じている」
戦後最多6度目の優勝を目指し、市立船橋は“必勝”を期して臨む。写真:田中研治
2回戦から登場した昨季の選手権は初戦敗退。名門・市立船橋の看板を背負っている以上、アクシデントに見舞われたとしても2年連続で負けることはできない。
「難しい状況になったけど、全国の頂点を取れればやっぱりすごいなと思ってもらえるし、市船の名前をもう一度全国に轟かせることができる。もし、1回戦で負けてしまったら、言い訳にしたくないのに周りからそう見られてしまう。僕はそれが嫌い。こういう状況でも勝つのが市立船橋。本当に今年のチームは一人ひとりがチームのために何をすべきか理解している。それを体現できたのが県予選決勝の流経大柏戦。結果を出せたので、このチームは上に行けると感じている」(石田)
選手もスタッフも誰も現状を悲観的に捉えていない。全国大会に出られなかったバスケットボール部の想いも背負い、今年最初で最後の全国舞台で結果を残す――。9年遠ざかる選手権のタイトル。戦後最多タイとなる6度目の優勝を目指し、伝統校が特別な選手権に挑む。
取材・文●松尾祐希(フリーライター)
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※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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