伊奈学園 vs 細田学園 (写真=埼玉通信・石黒登)
立ち上がりは伊奈学園が縦に早い攻撃からFW加賀山太健が相手の裏を狙い圧をかけていく。
一方、開始早々は初戦特有の固さも見られた細田学園も徐々に落ち着きを取り戻すと前半16分、左シャドーのFW山本翼のアーリークロスをFW金子弘輝がヘディングで沈めて先制した。
その後は細田学園がボールを持って展開。今年採用する3-4-2-1のワイドが高い位置を取って幅を使った攻撃を繰り出していく。前半21分にはサイドチェンジでディフェンスに揺さぶりをかけ、左サイドのDF五十嵐隆成のクロスのこぼれをFW齋藤真が決めて追加点とした。
後半も優勢に進めた細田学園は14分、右コーナーキックからの混戦をエース齋藤がきっちりと沈めてこの日2ゴール目を記録。同32分にはMF細島大空のアーリークロスに先制アシストの山本がジャンプ一番、頭一つ抜ける打点の高いヘディングで沈めて4-0で初戦突破を飾った。
今年10番を背負うFW齋藤真は前半と後半の勝負所で2ゴール。本人は「自分の持ち味は収めることだったり、前への推進力なんですけど、そこが今日は出せなかった。あとは決定力というところでもチャンスがあったんですけど、決めきれなかったので今日は30点くらいです」としていたが、得点外でも相手のセットプレー時には身体の強さと抜群のバネを生かしたヘディングで跳ね返し、空気作りの面でも下級生が半数を占めるチームを声やプレーで牽引していた。
そんな齋藤だが、このコロナ禍で一度は高校サッカーからの引退を決意していたという。
「このコロナ期間が明けて正直、関東予選やインターハイがなかったというところで、どうしてもサッカーへの感情が薄れてしまったところがあった。チームのみんなにも帰ってきてほしいと言われていたんですけど、(上田健爾)先生にも「夏で引退する」と言っていました」。
それでも指揮官とのもう一度話し合った末にチームへの復帰を決意。「もう一度自分を見つめ直した。みんなに認めてもらうために地道な作業から始めました」と最初に始めたのは草むしりから。そういった中で再び仲間たちの信頼を勝ち取り、今大会ではエースNo.10を背負う。
昨年は初のベスト8入りしたチームでも主力を務め、破れはしたものの準決勝の聖望学園戦では一時同点とするゴールを奪った齋藤だが、「3年生が自分を生かしてくれたというところで結果も出せた」。そして「次は自分の力でチームを引っ張っていく、仲間を生かしていくというところでは、まだ自分が引っ張っていく力が足りないんじゃないかと思います」。昨年は3年生に引っ張ってもらった分、今年は自分がチームを牽引するために大会を通しての成長を誓う。
戸塚西中出身のFWは「(中3で)進路がないという状況の時に上田先生に「3年後必ず全国に行くから是非来てほしい」と言われてその言葉を信じてここまで来た。裏切ってしまった部分もあるんですけど、今年が最後なので先生を必ず全国に連れて行って恩返ししたい」と語る。
一度は引退という形で裏切ってしまったかもしれない。それでも再びこの舞台に帰ってきたNo.10は、大会を通してさらに成長しながら、指揮官との約束の舞台である全国を目指す。
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10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
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高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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