[10.4 プリンスリーグ関東第5節 前橋育英高 2-3 昌平高 前橋育英高高崎G]
ともに日本一を狙う2校による強豪校対決は昌平が制す――。高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2020 関東第5節で前橋育英高(群馬)と昌平高(埼玉)が対戦。ともにJクラブ内定者を擁し、選手権優勝を狙う強豪校同士の一戦は、昌平が3-2で勝った。
先手を打ったのは昌平だった。前半10分、MF荒井悠汰(1年)が右サイドから左足でCKを蹴り込むと、ニアのMF平原隆暉(2年)がヘディングシュート。ポストを叩いたこぼれ球をCB唐木晃(3年)が右足でゴールへ押し込んだ。
さらに13分には、中央の荒井を起点とした攻撃から鹿島内定MF小川優介(3年)が左サイドを前進し、一度ドリブルを止めたあとに中へ運んでループパス。新潟内定FW小見洋太(3年)がタイミング良く抜け出し、GKの頭上を抜くシュートで2-0とした。
前日3日に全国高校選手権群馬県予選1回戦(20-0桐生西高)を戦っている前橋育英は、入りの悪いところを突かれて2点ビハインドを負う展開となった。昌平の小川と福島内定MF柴圭汰(3年)のダブルボランチや鹿島内定MF須藤直輝(3年)にボールを握られ、さらに自陣でボールを失って小見にシュートへ持ち込まれるなどピンチも。だが、ゲーム主将の神戸内定MF櫻井辰徳(3年)が声で鼓舞するなど、ここで落ちなかった前橋育英は立て直す。
31分、FW鈴木雄太(3年)が敵陣右中間でFKを獲得。昌平はプレースキックのスペシャリスト・櫻井の右足シュートを警戒していたが、前橋育英はその裏をかく形で左SB相川陽葵(3年)が左足シュートをファーサイドのネットに叩き込む。
これで勢いを増した前橋育英はさらに34分、右サイドから櫻井が左足で蹴ったCKをニアの鈴木が頭で上手くコースを変えて同点ゴール。前橋育英はその1分後にも組み立て役となっていた右SB岡本一真(2年)の攻め上がりから、MF新井悠太(3年)がボールを奪い返し、最後はMF笠柳翼(2年)が決定的な右足シュートを放つ。
前橋育英は新井が推進力のあるドリブルを見せるなど攻守に渡って幅広い動き。櫻井も厳しいマークを受ける中で1タッチパスを通して攻撃のテンポを上げる。ピッチの幅を使い、突破力のあるMF熊倉弘達(3年)と笠柳の両翼が仕掛ける前橋育英は奪い返しも速く、攻勢の時間帯を続けた。
だが、山田耕介監督が「後半は課題かなと思いました。前半の途中からリズムが出てきたけれどあれを最後までやり続けられれば」と指摘したように、後半に失速してしまう。10番FW中村草太(3年)のスピードをより活用しようとするあまり、攻撃がやや単調に。一方の昌平は10分に左SB小澤亮太(3年)のドリブル突破、スルーパスから荒井が決定的な左足シュートを打ち込む。
さらに13分、小見が敵陣中央から持ち上がると、ボランチの柴が右中間でキープしたSB 田島魁人(3年)を外側から追い越してクロス。最後はセカンドボールに反応した小見が右足ダイレクトでシュートを左隅へねじ込んだ。
昌平は藤島崇之監督が「相当強いと思います。ボールを守れる」と評する1年生MF荒井がトップ下でボールの収まりどころになったほか、須藤や小澤の仕掛けからゴール前のシーンを作り返す。また小見、須藤をはじめ、前線から鋭い守備を見せる昌平は平原のスルーパスから小見がシュートを打ち込み、須藤のスルーパスに小見が反応するなど追加点を狙う。
前橋育英も櫻井がインターセプトから左足シュートへ持ち込み、27分にはMF熊倉弘貴主将(3年)ら3人を同時投入。38分には中村のラストパスで右中間を抜け出したMF両角開(3年)が右足を振り抜く。だが、これが昌平GK西村遥己(2年)に阻まれるなど再び追いつくことはできなかった。
勝った昌平の須藤は「(追いつかれたが、藤島監督から)『まずゴールへ向かおう』という話をされたこと、2点取られた後にみんなが受け身にならないでゴールを決めに行くという気持ちでやっていたことが勝利に繋がったと思うし、何回かゴール前で惜しいシーンもあったと思うので、受け身にならなかった結果が勝利に繋がったと思います」と頷いた。
プリンスリーグ関東はこの後、約1か月半の間中断。ともに選手権日本一を狙う両校は埼玉県、群馬県の各予選を戦う。前橋育英の櫻井は「悔しいですけれども、(昌平に)選手権で借りを返せればと思う。まずは目の前の一試合一試合を全力で戦っていくこと」。一方、須藤、小見、小川、柴と昨年からの経験者4人がJクラブ内定を決め、この日も強敵に勝利した昌平だが、2-0から追いつかれたことやPA付近でのファウルが増えてしまったことは反省点。須藤が「一戦一戦集中」「日々の練習から良いチームに仕上げていきたい」と語ったように、過信することなく日常からチームをレベルアップさせて埼玉県予選から一戦一戦勝ち上がる。
(取材・文 吉田太郎)
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
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※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
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高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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