流経大柏の守護神・松原颯汰がジェフ千葉を選んだ理由。とにかくオーラが凄かったという先輩GKとは…
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フクアリはお客さんとの距離が近くてモチベーションが上がる大好きなスタジアム

 

 10月1日、流通経済大柏高のGK松原颯汰の来季ジェフユナイテッド千葉加入が内定した。大阪のRIP ACE SCから千葉の強豪校、流経大柏の門を叩いた松原は、1年生で守護神の座を掴み、ズバ抜けた反射神経と腕の可動域の広さを武器にビッグセーバーとして活躍。その年の選手権で準優勝に貢献をした。

 

 昨年はチームもインターハイと選手権を逃し、彼自身も怪我に苦しむなど、不本意な1年を過ごし、今年はコロナの影響も受けてアピールする場が訪れず。順風満帆だった1年時に比べて苦悩が多かったが、それでも不断の努力で技術を磨き上げ、プロ内定を勝ち取った。

 

 180cmと決してGKとしては大柄ではない。だが、彼のシュートストップ、キャッチングのスキルはそれを補うほど魅力的。今、彼は何を思い、どのような決意を固めているのか。リモートインタビューでその素顔と秘めた想いに迫った。

 

――◆――◆――

 

――進路は千葉に決まりました。千葉を決めた理由はどこにあったのでしょうか?

 

「3月に一度練習参加をさせてもらったのですが、その時にGKの先輩たちの練習に取り組む姿勢が素晴らしくて、本当に大きな刺激を受けました。中でも新井章大さんはシュート練習の1本1本に本当に集中して、『絶対にゴールを割らせない』という気持ちが周りから見ても伝わるほどの迫力で臨んでいた。後ろから見ていても、シューターがもの凄くプレッシャーを感じているんだろうなと思うくらいなんです。それにディフェンス付きの練習でも味方に強く要求したり、とにかくオーラが凄かった。こういう人たちの中でプレーすれば絶対に成長できると思いました。あとはフクアリの存在も大きかったです」

 

――フクダ電子アリーナと言えば選手権予選決勝などでプレーした経験もありますからね。

 

「はい、フクアリは選手とお客さんの距離が近くて、応援は身体が震えるくらい響いて来ますし、モチベーションが本当に上がる大好きなスタジアム。プレー自体もフクアリでは悪かった印象はありませんし、自分の良さを引き出してくれるスタジアムだと思うので、そこがホームスタジアムになることには縁を感じます。それにオファーをもらった時にフクアリでジェフのユニホームを着てプレーしている自分を考えたら、もうテンションが上がったし、ここで活躍して認められたいという気持ちが強くなりました」

 

高校の先輩からもらった「自信を持ってプロの世界に入ってこい」という言葉で…

 

 

――3月の練習参加から9月上旬の正式オファーまではどのような心境でしたか?

 

「練習参加をした時、最初は4日間の練習参加だったのですが、途中で延長を希望してくださり、トータル1週間もプロの方々とプレーさせてもらいました。そこで『これからも見て行くので頑張って』と言われ、正式なオファーをいただけるように頑張ろうと思っていたのですが……。そこからコロナの影響で練習参加もできないし、公式戦も出来ずに『この話は消えてしまうんじゃないか』と思っていたんです。でも、スカウトの斉藤和夫さん、稲垣雄也さんはずっと気にかけてくださっていて、8月のRyukei Cup(流通経済大柏が主催となって行なわれたフェスティバル)も観に来てくださり、9月のプレミア開幕戦の後に稲垣さんが学校に来てくださって、そこで直接『正式にオファーを出したい』と言われた時は本当に嬉しかったです」

 

――即答だったのですか?

 

「稲垣さんから『一度考えてみてくれ』と言われたので、その日は寮に戻って、親と榎本監督と話し合いました。心では決まっていましたが、一度ちゃんと周りの意見を聞いて、落ち着いた状態で回答するようにしました。翌々日に『よろしくお願いします』と伝えました」

 

――8月のRyukei Cupで観た時は、「この大会で自分を表現する」と言う気持ちがプレーや立ち居振る舞いに現われていました。

 

「正直、コロナでストップしていたのはみんな一緒だったのですが、8月に入って徐々に他の高校からも内定が発表されて、ちょっと不安になっていた時でした。僕にとってRyukeiCupは進路を決める重要な場と思っていましたが、その2週間前に肩を怪我して大会には間に合ったのですが、コンディションは万全ではありませんでした。だからこそ、コーチングや「絶対に止める」と言う気迫だけでは絶対に負けないように覚悟を持って臨みました」

 

――揺れ動く中、それでもプロ入りにこだわったのはなぜでしょうか?

 

「ずっと高卒プロを目標としてやって来ましたし、悩んでいる時に(2学年上の)猪瀬康介(FC琉球)さんがずっと僕を気にかけて連絡をしてくれたんです。その時に『プロになれるチャンスがあるんだったら、お前は飛びついた方がいい。自信を持ってプロの世界に入ってこい』という言葉をもらって、よりプロになりたい気持ちが強くなりました」

 

僕にとって千葉は第二の故郷。流経大柏でも、ジェフでも千葉の人たちにより応援される存在になりたい

 

――高1の時にレギュラー争いをした猪瀬選手は当時、本当に松原選手を高く評価していましたね。
「康介さんはピッチ内もピッチ外もしっかりしていて、見習うべきお手本のような存在ですし、これからもプロの先輩としていろんなことを聞いていきたいです。康介さんも昨年Jデビューする一方で怪我に苦しんでいて、やっぱりプロの世界は厳しいなと感じましたし、僕も簡単には試合に出られないなと思いました。特に僕は康介さんほどの高さがないので、周りとは何か違うものをしっかりと持たないと他の選手には勝てない。僕の武器は反応を生かしたシュートストップ。至近距離からのシュートへの反応速度、前へアタックできる技術は自信があるので、これからもっと磨いていきたいです。ポジショニングにもこだわっていきたいし、キャッチの正確性はもうプロでは当たり前になるので、当たり前のことを当たり前にできるプレーヤーになりたいです」

 

――最後にこれから流経大柏の守護神として、プロとしてこれからをどう考えていますか?

 

「GKはポジションがひとつしかないので難しいと言われますが、その中で1年目から出るという気持ちを持ちつつ、新井選手など周りの選手の姿勢を学んで自分の成長につなげたいです。流経大柏ではやっぱり昨年は選手権に出られなった分、絶対に優勝して出場し、頂点を目指したいです。それにチームメイトでまだ進路が決まっていない選手もいます。僕がゼロに抑えて、チームが勝つことでみんなもスカウトの人たちから評価されると思うので、周りの選手が輝けるように全力を尽くしたいと思います。仲間の能力の高さを知っているからこそ、周りのために自分がどうならないといけないか、どうあるべきかを考えてやりたいと思っています。あと、僕は千葉が第二の故郷となっているので、流経大柏でも、ジェフでも千葉の人たちにより応援される存在になりたいと思っています」

 

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

 

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