[9.13 プリンスリーグ北信越第2節 帝京長岡高 2-0 新潟明訓高 帝京長岡高G]
13日、高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2020 北信越のグループA第2節で帝京長岡高(新潟)と新潟明訓高(新潟)が対戦。昨年の優勝チーム・帝京長岡と一昨年優勝した新潟明訓との戦いは、1年生MF廣井蘭人とMF三宅凌太郎(2年)のゴールによって帝京長岡が2-0で勝った。
帝京長岡は昨年度選手権で新潟県勢初のベスト4。いずれも今年Jデビューを果たしているMF谷内田哲平(現京都)、FW晴山岬(現町田)、DF吉田晴稀(現愛媛)をはじめとするタレント軍団が、技術力と判断力を駆使したサッカーで新潟の歴史を塗り替えた。
“歴代最強”と言えるチームで新たな一歩を刻んだ帝京長岡は、その最強世代の表現したサッカーを今後のベースにしようという考えだ。あのレベルを“当たり前”にすること。古沢徹監督は「去年と比べると、というところを本人たちに求めて。良い基準だと思いますよ。越えるぞ、と。まだまだ子供ですけれど、去年のヤツらを埼スタに呼べるくらいにしねえと越えられねーぞと言っています」と微笑む。決して簡単なノルマではないはず。だが、その目標に本気で挑戦しているチームは、公式戦で今年の巧さと強さを表現している。
この日の対戦相手は県内のライバル・新潟明訓。今年4月から指揮を執る坂本和也監督が「(今年は全国で)やりたいです、本当に。どのチームとやっても手応え持てるチームですし、主導権握られていても、握り返せたりとかできるのが今年の良さだと思うので」と口にする好チームだ。怪我明けの俊足FW反町太郎(3年)がベンチスタートだったものの、CB竹内豊主将(3年)や司令塔のMF藤田梢紘(3年)、快足MF内藤大夢(2年)をはじめ戦力充実。その新潟明訓と帝京長岡の一戦は、好勝負となった。
帝京長岡は昨年からレギュラーのMF川上航立主将(3年)が「前節、(松本)山雅(U-18)とやって自分たちが受け身になっちゃって、自分たちがボールを動かせなくて、今日はミーティングでチャレンジしてミスしても前半からどんどん動かそうという話だった」と説明したように、前半から狭い局面でのパスワークにチャレンジ。1タッチ、2タッチのパスの連続で局面を幾度も打開する。守備能力の高い川上、三宅のところで奪い返しにも成功していた帝京長岡は、今年の持ち味でもある前線の速さも活かした攻撃を見せた。
この日は酒匂駿太(3年)、上野一心(3年)という実力派のSB2人が怪我で不在だったが、古沢監督が「アイツ一番状態が良いですね。速いし、上下動できる」と推す右SB佐々木奈琉(2年)が序盤からスピードと攻撃力を発揮。22分には佐々木の折り返しからFW梶山はるま(3年)がポスト直撃のシュートを放つなどチャンスに絡んだ。
一方の新潟明訓は、9分に左サイドから仕掛けたFW斎藤悠吾(3年)のパワーショットがゴールを脅かし、18分には内藤がDFと競りながらクロスを上げ切る。そして、20分には左サイドを抜け出した斎藤がクロスを上げ、内藤が強引に左足を振り切った。新潟明訓は竹内のフィードなどから斎藤や内藤のスピードを活用。また、藤田やMF木下裕介(3年)といった足元の技術高い選手がリズムを変えてボールを動かし、ゴール前のシーンを作り出していた。
雨が強くなりだした前半30分以降は試合が膠着。後半に入ると、守備の距離感を修正し、前から連動してプレッシャーをかける新潟明訓が攻勢に出た。FW阿部凛太郎(3年)のインターセプトから内藤がシュートを撃ち込んだほか、内藤の突破からチャンスも。だが、帝京長岡は佐々木、先発起用に見事応えたCB笠井冠晟(1年)、長身レフティーCB松村晟怜(2年)、信頼度高い左SB桑原航太(1年)の下級生4バックが決定打を打たせない。
逆にFW葛岡孝大(3年)や川上の背後へ飛び出す動きでチャンスを作り返した帝京長岡は22分、川上の展開から左の葛岡が中央へパス。最後は、MF糸永誠也(3年)がPAへ出したラストパスに勢いよく走り込んだ廣井が左足シュートをねじ込んで先制した。相手のキーマン・藤田の背後で揺さぶりを掛けながら、スルーパスや1タッチパスなどを繰り出していた1年生レフティーが大仕事。先制した帝京長岡はさらにプッシュする。
新潟明訓も凌いでいたが、31分に追加点を奪う。廣井から左中間の糸永へ繋ぐと、川上がこれを追い越す形で最前線へ飛び出す。そして、切り返しから上げたクロスに三宅が体ごと飛び込んでファインゴール。2-0と突き放した。その後、松村の好カバーリングなどでGK二本柳正樹(3年)の守るゴールに相手を近づけなかった帝京長岡が2-0勝利。強敵を破って開幕2連勝とした。
帝京長岡はこの日、初戦から先発3人をチェンジ。初先発の廣井や笠井が結果を出し、また競争を激しくしている。セカンドチームも県1部リーグで新潟U-18 2ndを6-1で破り、古豪・新潟工高を5-1で下すなど「ギラギラやってくれている」(古沢監督)。全体的にモチベーションが高く、Aチームは昨年以上とも言えるくらいの戦う姿勢を表現。選手権準決勝・青森山田戦の敗戦から学んだものも力にしている。
古沢監督は「個の部分は強烈ではないですけれども、ハードワークしてチームで共有してという部分でいうと、去年があったから今年が一つアップデートできているのかなと思います」と語り、川上は「(去年を経験して)日本一になりたいという思いはより強くなりました。きょうのミーティングでも確認したんですけど、目指しているところは埼玉スタジアム(決勝)で山田に勝つこと。もっと全員でハードワークして、コミュニケーションを取らないと勝てる可能性は高くないと思うので、まだまだ明日から練習やらないといけない」と力を込めた。まずは、昨年の基準に追いつき、上回ること。そして、勝ち続けて今冬、新たな歴史を刻む。
(取材・文 吉田太郎)
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
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※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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