J複数クラブが争奪戦を繰り広げた無名の大器を直撃!国見高の大型FW中島大嘉が札幌を選んだ理由とは?
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「ミシャさんのところで成長した鈴木武蔵さんの存在も大きかった」

 

インタビューに応じてくれた中島。札幌を選んだ理由、さらにその先への想いなどについて語った。写真:藤原裕久

 

 8月28日、北海道コンサドーレ札幌がひとりの高校生ストライカーの来季加入内定を発表した。国見高3年の中島大嘉だ。Jリーグの複数クラブが争奪戦を繰り広げた逸材FWは、188cmの高さに加え、抜群のスピードを併せ持つ。いまだ全国の舞台に立っていない無名の大器は、プロ入り内定をどんな思いで受け止めているのか。

 

――◆――◆――

 

――まずは、札幌加入にあたっての率直な感想を聞かせてください。

 

「昔からの目標だったプロになることができて嬉しいです。ですが、まだスタートラインに立っただけなので、そこで勘違いをしてはいけないし、そこを忘れて調子に乗らないよう気をつけたいと思っています」

 

――多くのオファーがあった中から、札幌加入を決めた理由を教えてください。

 

「ミシャさん(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)の存在ですね。最初、自分はミシャさんがどのくらいすごいのかピンと来ていなかったんですけど、監督や総監督たちが話してくれて、自分でも調べみたらすごいなって。それにミシャさんのところで、成長した鈴木武蔵さんの存在も大きかったです。自分は武蔵さんに似たタイプだと思っているので、自分を成長させてくれるんじゃないかなって。武蔵さんのようにミシャさんの下でやって、日本代表、将来は海外というイメージを描けたのが大きかったです」

 

――加入前は札幌に対してどんなイメージを持っていたんですか。

 

「正直に言うと、距離的に遠かったのもあって、以前はあまり意識したことがありませんでした。オファーをいただいてから意識するようになって、どういうサッカーをして、どういう方針のチームなのか分かってきた感じです。今、武蔵さんが移籍して、スピードのあるタイプが(アンデルソン)ロペスさんだけだと思うんですけど、自分もスピードには自信があるので、そこで力になれればと思っています。実際には、そんなに簡単じゃないとわかっているんですけどね(笑)」

 

――札幌入りするにあたって、迷うことなどはありましたか。

 

「めちゃくちゃ悩みましたよ(笑)。オファーをくれた他チームも、素晴らしいクラブばかりでした。特に長崎は強化担当の方が1年間ずっと見てくれていたので、感謝の気持ちもありましたし、両親も長崎出身。個人的に国見愛もかなり強いので、心情的に長崎でというのも考えました。でも自分の目標を達成するには札幌やなって。悩んで悩んで、長崎への恩や感謝は、活躍することで返そうと自分に言い聞かせて決めました」

 

――いつも語っている目標「バロンドーラーになる」ための決断ですね。

 

「はい(笑)。自分の目標を達成することを考えたら、J1のクラブにいるのが大前提だなって。ミシャさんは若い選手でも多く起用しているし、札幌が一番良い環境だなって思えました」

 

「目標はバロンドール。自分はそこを真剣に目指しています」

 

怪物・平山も背負ったエースナンバーの14を付ける。プロ入りを前に、10年ぶりの選手権出場を狙う。写真:藤原裕久 

 

――以前、高校サッカー選手権への出場もプロになることも「実現すべきことなので、夢ではない」と言っていましたが、プロになったことで理想の自分に追いついた感じはありますか?

 

「いや、ないですね。自分が思い描いているのは、追いつけたらリアルキャプテン翼になっちゃうくらいの理想なんで(笑)。でも理想の自分の中に、プロという条件が入っているので、追いついてはいないけど、少しずつ重なってきているのかなと」

 

――これからしばらくは、国見高校を離れて札幌の練習に合流するそうですね。

 

「国見に戻ってきた時に『誰やねん!?』って言われるくらい成長していたいです。技術的なところや、判断のところを高めたい。札幌で武蔵さんと少し話す機会があったんですけど、『身体能力で得点を取るのはたまにで良い。頭を使って、FWとしての動きやポジショニングで得点できる方が自分は嬉しい。そういう部分を札幌では学べる』と話してくれたんですよ。そこを学びたいです。そうすれば、国見に戻った時に、選手権でも結果を残せると思うんです。選手権もプロも代表も海外も総取りして、翼君の道を行きたいなって!(笑)」

 

――その一方で、全国レベルでの実績がないことは不安になりませんか。

 

「そこは自分でも考えました。中学の頃、チームメートだった樺山(諒乃介/興國高→横浜F・マリノス加入内定)とか有名やないですか。自分は逆の無名(笑)。でも、その無名がここで活用できたら格好良いちゃうんかなと。だから無名なのはコンプレックスではないですね。逆に格好良いと思っています(笑)」

 

――では、最後に札幌のサポーターへのメッセージをお願いできますか。

 

「目標はバロンドールとか言っているので、アホやなって思われてるかもなんですけど(笑)、自分はそこを真剣に目指しています。自分の目標を達成するために札幌を選ばせてもらったので、次は自分が札幌のためにしっかりとハードワークして、結果を残せるよう日々努力していきたいと思います。甘くない世界だとわかっているんですけど、チャンスがあれば、すぐにでも試合に出られるよう頑張りたいので、北海道のみなさんに応援してもらえたら嬉しいです」

 

◆プロフィール

 

中島大嘉(なかしま・たいか)
2002年6月8日生まれ、大阪府出身。188cm・77kg。アイリスFC住吉―RIP ACE SC U-15―国見高。スピードと高さを備えたFW。縦への推進力を持ち、ゴール前での迫力から得点に絡んでいくストライカーだ。

 

取材・文●藤原裕久(フリーライター)

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