小学校3年生から付けてきたエンブレムへの想いは、深い。10年間のラストステージは、思いきり楽しむともう決めている。「自分は大学に行く予定で、横浜FCでのプレーはいったんラストなんですけど、プレミアリーグは少ししか試合数がない中で、みんなと一緒にできるのも最後なので、1試合1試合楽しんで、噛み締めながらやりたいなと思います」。横浜FCユースにアクセントを加える献身的なレフティ。永田亮輔(3年)は“常に活躍できる選手”を、残された4か月で極めてみせる。
小学生の時に目の前で見た光景は、今でも強く脳裏に焼き付いている。「最初にサッカーの試合を見に行ったチームが横浜FCで、その時は大雨が降っていたんですけど、三ツ沢で結構な大差で勝っていたのを見て、『ああ、入ってみたいな』と思ったんです。ボランチの寺田紳一選手と松下年宏選手はよく覚えています」。3年生になって、初めてエンブレムの付いたウェアに袖を通した。
ジュニアユース時代は“本部”ではなく、戸塚でプレー。そのルーツも自分の中では大事にしたい部分だと語る。「基本的に“本部”の方がレベルが高いですし、戸塚に入った時は『絶対ユースに上がってやろう』という気持ちでいたので、ユースに上がれた時は嬉しかったですけど、そこからさらに活躍して、『戸塚の選手でも良い選手がいるんだなと思わせてやる』という想いでやってきましたね」。
昨年は良い時期と難しい時期の、両方を体験した。「波があったかなと。良い時期をキープして、最後まで戦えたらなというのは、今から振り返っても思います」。シーズン序盤は右サイドハーフとして定位置を確保したものの、なかなかチームが結果を残せない。逆に夏過ぎから調子を上げていったグループの中で、永田の名前はスタメンリストから消えていった。
「途中まで試合に出ていたのに、最後にケガから復帰したヒカルくん(宮原輝・日本大)にポジションを奪い返されて、ちょっとしか出られなくなったことは、自分の中で悔しさが残りました」。ただ、同じレフティの10番を見ていくことで、改めて気付いたことがあった。「ヒカルくんは凄い左足を持っていて、正直『あそこまでにはなれないな』と感じたことで、『自分の特徴を出して、チームに貢献しないといけないな』と思えたんです」。
レフティだから、という意識をいったん頭の中から追い出してみる。「攻撃の時にドリブルやパスで攻撃の起点になる所とか、守備でも献身的にやれる所が自分の強みかなと」。貢献の仕方は人ぞれぞれ。自分にできることを、最大限にやってやろうと、心に決めた。
思い出深いのは、やはりプレミアリーグプレーオフ。2試合とも途中出場を果たし、昇格の瞬間をピッチで味わった永田も、“非日常”を肌で感じることができた。「普段のリーグ戦とは雰囲気も全然違って、初めて味わった感覚でした。『ああ、凄いな』と。いつもより緊張するというか、『リラックスしよう』と思ってやっていたんですけど、緊張しちゃいましたね」。この時の経験が小さくない財産として、自身の中に息衝いていることは疑いようがない。
参考にしている選手がいる。1人はレフティ。もう1人は偉大な“先輩”だ。「海外だとマフレズ選手が大好きです。左足でのカットインがバレているのに、行ける所が凄くいいですよね。どうやったらあんなに抜けるんだろうと(笑) あと、斉藤光毅くんのことはずっと見ています。常に貪欲ですし、『自分が一番になるんだ』という気持ちがあって、それが人にも伝わるのが凄いなと思います。見習いたいです」。
クラブとしても初めての挑戦となるはずだったプレミアリーグの舞台に、なかなか立てない時期が続いたことにもどかしさを覚えながら、新たな感情も湧き出てきたようだ。「前よりももっと楽しまきゃなという想いでやっていますね。いつまたサッカーができなくなるかわからないので、常に楽しみながらやることは意識しています。僕は結構イジられたりするんですけど(笑)、自粛期間はそういう会話もなかったので、雰囲気はいいなと感じています」。
当たり前すぎて意識することのなかった仲間の大切さ。良い環境でボールを蹴ることのできるありがたさ。改めて知った“日常”を経て、チームの中に訪れている変化も敏感に察知している。
「僕らの代はコーチからも『凄く仲が良い』と言われていて、逆にサッカーになった時に言い合えない所が課題だと指摘されてきたんですけど、最近は結構みんなガツガツ言い合うようになってきましたし、自分も言うようにしているので、それが今のチームの好調につながっているのかなと思います」。悔いは残したくない。そのための衝突なら大歓迎だ。
プレミアリーグ開幕もすぐそこまで迫っている。10年間のラストステージは、思いきり楽しむともう決めている。「自分は大学に行く予定で、横浜FCでのプレーはいったんラストなんですけど、プレミアリーグは少ししか試合数がない中で、みんなと一緒にできるのも最後なので、1試合1試合楽しんで、噛み締めながらやりたいなと思います」。その中で、自分の目指すべき理想像も明確になっている。
「常に活躍できる選手になりたいと思いますし、自分がチームを引っ張って行けるようになりたいなと。個人としては去年の公式戦で4点しか獲れていないので、今年は4点以上絶対獲れるように日々準備していきたいです。今年、6点は獲ります。いや、7点かな(笑)」。
横浜FCユースにアクセントを加える献身的なレフティ。ハマブルーのDNAを受け継いできた男のファイナルステップ。永田亮輔は“常に活躍できる選手”を、残された4か月で極めてみせる。
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
[4.14 プレミアリーグWEST第2節 静岡学園高 0-3 神戸U-18 時之栖スポーツセンター 時之栖Aグラウンド(人工芝)] 相手が素晴らしいチームなのはわかっている。間違いなく攻撃的に来るであろうことも、容易に想像が付く。だからこそ、自分たちも引くつもりなんて毛頭ない。アグレッシブに打ち合って、その上で勝ち切ってやる。クリムゾンレッドの若武者たちは、勇敢な決意をハッキリと携えていたのだ。 「本当にこのリーグは難しいリーグなので、正直勝ててホッとしています。それも『こういうサッカーをしようよ』ということを、自分たちがある程度しっかり出した上で結果も付いてきたので、そこが凄く喜ばしいかなと思っています」(神戸U-18・安部雄大監督)。 真っ向からぶつかって3発を叩き込み、2試合目で掴んだ初白星。14日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST第2...
[10.12 国体少年男子1回戦 東京都 1-1(PK4-2)鹿児島県 OSAKO YUYA stadium] 東京都が“決勝戦”と位置づけていた一戦を突破した。対戦した鹿児島県はともにU-16日本代表のMF福島和毅(神村学園高1年)やFW大石脩斗(鹿児島城西高1年)を擁し、地元国体のために準備してきた注目チーム。この日は、800人の観衆が地元チームを後押ししていた。 だが、石川創人監督(東京農大一高)が「僕らは『ここが決勝戦だ』と言ってチームを作ってきた」という東京都が、強敵を上回る。技術力の高い選手の多い鹿児島県に対し、MF仲山獅恩(東京Vユース、1年)とMF鈴木楓(FC東京U-18、1年)中心にコミュニケーションを取って準備してきた守備で対抗。相手にバックパスを選択させたり、奪い取る回数を増やしていく。 鹿児島県の巧さの前に迫力のあるショートカウンターへ持ち込む回数は少な...
※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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