さすがにああはなれないかなと思いつつ、それでもああなれたらと願う自分もいる。ケビン・デ・ブライネとエンゴロ・カンテ。攻撃と守備の世界最高峰をハイブリッドすれば、圧倒的な存在になれるのは言うまでもない。「前への推進力だったり、キツい時こそ走れる運動量、守備での球際、そういう所が自分の長所として自信を持って言える所です。デ・ブライネとカンテ。そうなりたいですね、本気で」。横浜FCユースのナンバー10。中川敦瑛(3年)は攻守で試合を決定付けられる選手を、真剣に目指している。
今でも見返したくなる試合がある。2018年のプリンスリーグ関東参入戦2回戦。明秀日立高戦でスタメンを張った25番の1年生は、群馬の地で躍動する。開始8分にヘディングで先制点をマークすると、20分にもカットインからファインゴール。“ドッピエッタ”の活躍でチームをプリンス復帰へと導いてみせた。
「あのゲームは嬉しかったですね。1回戦の昌平高戦で全然自分のプレーが出せなくて、明秀日立戦は『自分がやってやろう』という気持ちがあったので、あれで自信が付いたのはあったと思います」。1年生ながら主力としての自覚も芽生え、自身への期待も感じる機会が増えていく。
それゆえに昨シーズンのリーグ開幕戦で受けた衝撃は、自分を見つめ直すきっかけになったと中川は振り返る。「第1節でFC東京U-18とやった時に、レベルの違いを思い知らされたというか、チームとしても個人としても『自分たちがやってきたことがここまで通用しないんだ』というのは、衝撃的でしたね。まだまだ足りないし、練習の質も上げていかないといけないと感じました」。
ポジションもサイドハーフからインサイドハーフに変わったことで、プレースタイルにおける攻守の比重もまた変化させていく必要があった。「最初にインサイドをやった時は、周りを見るなんてやったことがなかったですし、慣れていない部分があったんですけど、そういう所を練習中からも意識することで、少しずつできてきたのかなと思います」。
「でも、難しいですね。結構(田畑)麟とかオーバーラップしていくので、アイツが上がる時はちょっと下がり目にいながら、相手のカウンターになった時に対応できるぐらいにはポジションを取ったり、そういうことは考えるようになりました」。イケイケの選手が多い周囲の中で、バランスを維持する術は必要不可欠。守備面での意識向上は著しい。
とはいえ、もともとアグレッシブなプレーが持ち味。攻めたくないはずがない。「守備はもちろんやりながら、前に出て行く所が自分の役割かなと。もともと攻撃の選手なので(笑) だからこそ、シュートを打てる所なのにパスの選択肢を選ぶことも結構あったので、もっとゴール前で強引に行くシーンは増やしていかないといけないなとは思います」。
リベンジを期したプリンスでの“2巡目”に当たる初戦は、小さくない自信を得るゲームになったという。「2巡目の初戦がFC東京U-18戦で、そこで2-0で勝ったのは大きかったのかなと。内容も悪くなかったですし、個人としても得点という所で結果を残せて、そこで『やっぱりいけるんじゃないかな』と思えたんです」。
そこからの快進撃は周知の通り。見事プレミア昇格を果たしたチームの中で、インサイドハーフを務める中川の存在感は日ごとに強まっていった。「『自分が引っ張っていかないといけない』という気持ちは強くなりました。自分はプレーで見せていくタイプなので、背中で引っ張っていくじゃないですけど、そういう想いは出てきましたね」。背中で牽引できる選手へ。そういう意味では、新チームの背番号にも覚悟が籠められている。
「今年は10番を付けます。シンプルにカッコイイなって思いますし、10番を付けて結果を残していけば、代表に選ばれるチャンスもあるのかなと」。U-15世代から遠ざかっている“日の丸”への想いが、自然と口を衝く。
「やっぱりまた代表に戻りたい気持ちは強いですけど、今の代表の人たちを見ていると、まだまだ足りない部分はいっぱいあるなと。やっぱり(斉藤)光毅くんを見ていると、『ああいう選手が代表に行くんだな』というのは見ていてわかりましたし、『試合を決定付ける選手になれ』と信義さん(小野信義・前監督)にも言われていたように、そこがまだまだ自分に足りない部分ですよね」。
攻守で試合を決定付けられる選手。最近よく見ているのはマンチェスター・シティのケビン・デ・ブライネとチェルシーのエンゴロ・カンテ。攻撃と守備の世界最高峰をハイブリッドすれば、圧倒的な存在になれるのは言うまでもない。「前への推進力だったり、キツい時こそ走れる運動量、守備での球際、そういう所が自分の長所として自信を持って言える所です。デ・ブライネとカンテ。そうなりたいですね、本気で」。笑顔の裏に、確固たる決意が垣間見えた。
ようやくやってきた公式戦。待たされ続けた晴れ舞台に向けて、力強い言葉が紡ぎ出される。「もうシーズンも残り少ないですけど、チームのためにプレミアは全勝しに行く気持ちでいますし、個人としても得点はできるだけ多く獲りたい想いもあって、やっぱり結果を残したいというのが一番です。1試合1点は獲りたいですね。最低でも8点、獲りたいです」。
それぐらい言ってもいいだろう。それぐらいの期待感を、ピッチに立つこの男は纏っている。横浜FCユースのナンバー10。背中で語れる圧倒的な存在へ。中川敦瑛は攻守で試合を決定付けられる選手を、真剣に目指している。
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
[4.14 プレミアリーグWEST第2節 静岡学園高 0-3 神戸U-18 時之栖スポーツセンター 時之栖Aグラウンド(人工芝)] 相手が素晴らしいチームなのはわかっている。間違いなく攻撃的に来るであろうことも、容易に想像が付く。だからこそ、自分たちも引くつもりなんて毛頭ない。アグレッシブに打ち合って、その上で勝ち切ってやる。クリムゾンレッドの若武者たちは、勇敢な決意をハッキリと携えていたのだ。 「本当にこのリーグは難しいリーグなので、正直勝ててホッとしています。それも『こういうサッカーをしようよ』ということを、自分たちがある程度しっかり出した上で結果も付いてきたので、そこが凄く喜ばしいかなと思っています」(神戸U-18・安部雄大監督)。 真っ向からぶつかって3発を叩き込み、2試合目で掴んだ初白星。14日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST第2...
[10.12 国体少年男子1回戦 東京都 1-1(PK4-2)鹿児島県 OSAKO YUYA stadium] 東京都が“決勝戦”と位置づけていた一戦を突破した。対戦した鹿児島県はともにU-16日本代表のMF福島和毅(神村学園高1年)やFW大石脩斗(鹿児島城西高1年)を擁し、地元国体のために準備してきた注目チーム。この日は、800人の観衆が地元チームを後押ししていた。 だが、石川創人監督(東京農大一高)が「僕らは『ここが決勝戦だ』と言ってチームを作ってきた」という東京都が、強敵を上回る。技術力の高い選手の多い鹿児島県に対し、MF仲山獅恩(東京Vユース、1年)とMF鈴木楓(FC東京U-18、1年)中心にコミュニケーションを取って準備してきた守備で対抗。相手にバックパスを選択させたり、奪い取る回数を増やしていく。 鹿児島県の巧さの前に迫力のあるショートカウンターへ持ち込む回数は少な...
※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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