Jクラブが視察するトライアウトで圧巻ハット!九国大付FW堀金峻明が急成長を裏付ける大爆発
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九州新人大会では納得のプレーが出来ず… その後は多くの大会が中止に

合同トライアウトで大活躍を見せた九国大付の堀金。この春から大きな飛躍を遂げている。写真:安藤隆人

 

 圧巻のハットトリックだった。熊本県の大津町運動公園球技場において行なわれた『コネクティング・サポート・セレクションin九州(株式会社リトルコンシェル主催)』の初日、高校生の部の20分×4本のゲームで九州国際大付属のFW堀金峻明が大爆発を見せた。

 

 180cmの高さに加え、ストライドの大きいスプリントを駆使したスピード、シュートのパワーと精度を誇るストライカー。2月の九州新人大会では守備から攻撃に切り替わった瞬間に、抜群の動き出しで相手ディフェンスラインのギャップや裏を突き、ボールを受けるとパワーと巧さを生かしてゴールに襲いかかるプレーは印象的だった。それ以来のプレーを見たが、九州新人大会の時より動きの質、攻撃へ関わる力が大きく成長しているのは明らかだった。

 

 堀金は1本目に4-2-3-1の1トップ、2本目に4-1-4-1の1トップとして。4本目には4-1-4-1の右サイドハーフとして出場。前線でポストプレーを行なったり、裏に抜け出すプレーを見せながらも、2列目に落ちてボールを捌いたり、ワンタッチで周りを使って動き直したりと、多彩な動きを見せていた。

 

 1本目、スルーパスに持ち前のスピードで抜け出すとGKが飛び出そうとするタイミングで素早く左足を一閃。ボールはライナーでゴール右下隅に一直線に飛び、慌てて反応したGKの手をすり抜けてゴールに突き刺さった。さらに右サイドを破ったMF川西翼(九州国際大付属)のグラウンダーのクロスに対し、併走したDFの視界から消えるようにファーのスペースに加速し、ダイレクトでゴールに蹴り込んだ。

 

 そして2本目にもGKの位置をよく見たコントロールシュートを突き刺し、今回の九州の部で唯一のハットトリックを達成した。

 

「2月の九州大会では納得の行くプレーができなかったので、次の大会で力を発揮しようと思っていたのですが、多くが中止になって本当に悔しい思いをしていました。でもこのトライアウトがあると聞いた時は、絶対に参加したいと思ったし、チャンスだと思ってモチベーションを上げて準備をして臨みました」

 

「何でもできるストライカーになっていきたい」

トライアウトではフィニッシャーとしての能力を見せつけた。さらに守備力も高めて「何でもできるストライカーになりたい」と話す。写真:安藤隆人

 

 自粛期間は自分自身と向き合ったことで、プレー面での意識変化が生まれた。

 

「春までは裏に抜け出したり、ポストプレーを意識していたのですが、いろんなストライカーの動画を見ている内に、他のプレーも磨いて、もっと『何でもできる選手』になりたいと思うようになりました。僕はスピードがあるので、パスが動く中でボールを受けて叩いて動き直すとか、収めて展開するとか、バリエーションを増やしている最中です」

 

 考え方の変化、積極的な取り組みの姿勢が、まさにこの大一番に出た。彼には関東の大学からのオファーは来ているが、「せっかくのチャンスですし、可能性を広げたかった」と想いを強く持ってこのトライアウトに臨んでいた。その精神面と技術面が重なったハットトリックであった。

 

「今、自分のプレーが良くなっている手応えがあります。今日のゴールはどれも外す動きがハマりましたし、DFの死角に入ることを意識し続けました。どれもラストパスが来たときに『来た!』と冷静に状況を見ながら対応することができました」

 

 9月にはスーパープリンスリーグ九州が始まる。九州国際大付属はプレミアWESTに所属するライバル・東福岡と、近年Jユースを席巻しているサガン鳥栖U-18と同組となった。難敵を相手にこれからさらに成長した姿を見せてくれるだろう。

 

「今、僕の中で本当にモチベーションが高まっていますし、これからも高さとスピードを生かしたクロスからのシュート、裏の抜け出しはさらに磨いて、しっかり収めて展開する力や、守備の向上を意欲的に取り組んで、何でもできるストライカーになっていきたいです」

 

 躍動を見せたストライカーは最後に目を輝かせて、そう口にした。

 

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

 

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