丸岡 小阪康弘監督(写真=森田将義)
福井県勢最多となる30回の選手権出場を誇るのが丸岡だ。元・川崎フロンターレの木村誠氏らを擁した1997年には選手権ベスト4に輝いたこともある北信越屈指の名門で、現在はチームの礎を気付いた小阪清吉氏の実子である康弘監督が指揮を執る。2018年度はインターハイ、選手権でベスト16に進出。昨年度はインターハイベスト16、プリンスリーグ北信越で3位になるなど再び全国での活躍が目立ち始めたチームのスタイルや、育成方針について尋ねた。
ーー目指すサッカーについて教えてください。
ボールの保持率を高めるポゼッション、攻守の切り替えとカウンターを重視するストーミングなど1つのスタイルに拘るチームも多いのですが、うちは相手に応じてどちらも対応できるチームにしたいと考えています。米子北の城市徳之総監督とも話すのですが、我々は攻撃の時間が増える県内の戦い方と守備の時間が増える県外の戦い方が大きく変わるので、ちゃんと見て判断して戦わないといけません。格上との対戦を強いられる全国大会で、真っ向勝負で攻撃を仕掛けるのは得策ではないでしょう。ただ、戦い方は変わっても判断の速さ、止める・蹴るの速さ、パススピードなど様々な速さは変わらず必要な部分なので、練習から求めています。
ーー伝統校ながらも、近年はこれまでとは違う丸岡スタイルを打ち出せているように感じます。
攻撃は攻撃の迫力を重視した以前と比べて、より正確にボールを動かそうと意識しています。また、守備の所もより意識させている点で、攻撃の練習でも守備の寄せやプレッシャーの速さを徹底して求めています。
ーー昨年はプリンス北信越3位、インターハイベスト16進出を果たしました。
高校の3年間だけで全国で戦える選手に引き上げるのはなかなか難しく、入学するまでの育成が重要です。特に丸岡は地元の子どもが多いチームなので、周囲のサポートがあっての結果だと考えています。今まで北信越で勝てない時期が続きましたが、近年は地域の少年サッカーから積み上げてくださった活動のおかげで、丸岡高校の結果に繋がっています。我々も活動をサポートできればと、3年前から週に1度、地元の中学生チームと練習試合をしています。丸岡スポーツランドで一緒になることも多くスタッフ同士で意見交換したり、高校の練習を手伝ってくれたり、関係性を密にしています。そうした取り組みを続けるうちにプリンスリーグを観に来てくれる人が増えました。
ーー元々、丸岡町はサッカーの街で、丸岡高に対する注目度も高いです。
郊外の活動や通学する際の街で選手が地元の皆さんに話しかけてもらう機会が多いのは有難いです。地元の方々との接し方や日常生活のマナーなどはピッチ内でのプレーにも繋がるので、選手にはサッカーだけやっていれば良いとの考えではいけないと伝えています。試合と一緒で、ピッチ外でも当たり前のことは当たり前にやる。当たり前のことを馬鹿にしないで、ちゃんとやる。サッカーと日常生活は繋がっているので、学校生活からうるさい位声を掛けています。授業態度が良くなれば、自然とサッカーも良くなる子が多いのは、密接にリンクしているからではないでしょうか。
ーー求める選手像を教えてください。
ボールがきっちり扱えて、判断できる選手だったり、大きくて速い選手だったり、理想を言えばキリがありません。全てを兼ね備えた選手が良いなとは思いますが、地元選手が中心になる公立高校には毎年理想的な選手は来てくれないのです。そうして考えると苦手な部分は多くても、誰にも武器を持った選手に来て欲しいですね。最近は地元の子どもから、武器を持った子が増えてきました。我々は全国の強豪とは違い、選手の数が限られているため、試合でのプレーが悪ければ別の選手を起用することはできません。今年のDF河上英端のようにDFだった選手を前線に上げたり、色んなポジションを経験させて、どうすれば武器を最大限に発揮できるか試しています。
丸岡イレブン(写真=森田将義)
ーー2017年と2018年は選手権出場を逃し、指導者として葛藤もあったと思います。
自分自身が何を足りないか色々と考えましたが、悩んでいても仕方ありません。やれることを頑張ろうと思えるようになりました。それまでは”全国大会に出なければいけない”という気持ちが強く、手っ取り早く勝てるサッカーを徹底していましたが、本当に子どもたちの為になっているのか悩んでいました。そうした私自身の葛藤が勝てなくなった原因かもしれません。でも、2年間出られなかったことで、ある程度のベースを残しながら、子どもたちの良さを最大限に引き出すためにはどうすれば良いか考えるようになりました。
ーーお父さんの清吉氏も丸岡の監督で、伝統の重みを誰よりも知られている分、プレッシャーはあったのではないでしょうか。
親父は、「俺は好き勝手できた」と言うんです。私自身も丸岡の監督になった当初は好き勝手というか、親父のやり方とは違う自分のやり方で勝てるだろうと思っていました。でも、負けた時に親父も含め、丸岡に携わってきた先生方はサッカーの原理原則を大事にされていたと気付けました。それにプラスして、苦しい時にも堪えて真面目に頑張れる子が多い丸岡地域の土地柄とか、人の良さを加味した上で成り立っているのが丸岡らしさだと私は気付けていなかったのです。そうした部分を意識してから、腑に落ちることがたくさんありました。選手を見る目も変わり、これまでサイズの大きい選手を重視していましたが、小さい子にも小さい子の良さがあるのだと気付きました。そうした気付きを得たのは、インターハイに出場しながらも2年連続で選手権を逃した時期です。「俺はこうなんだ、こうじゃなければダメなんだ」という拘りを捨ててから気持ちが楽になりました。子どもたちの考えをより尊重するようになりました。これからも丸岡の伝統やらしさを大事にし、選手の特徴を引き出しながら、全国で勝てるチームを目指していきます。
(文・写真=森田将義)
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
[4.14 プレミアリーグWEST第2節 静岡学園高 0-3 神戸U-18 時之栖スポーツセンター 時之栖Aグラウンド(人工芝)] 相手が素晴らしいチームなのはわかっている。間違いなく攻撃的に来るであろうことも、容易に想像が付く。だからこそ、自分たちも引くつもりなんて毛頭ない。アグレッシブに打ち合って、その上で勝ち切ってやる。クリムゾンレッドの若武者たちは、勇敢な決意をハッキリと携えていたのだ。 「本当にこのリーグは難しいリーグなので、正直勝ててホッとしています。それも『こういうサッカーをしようよ』ということを、自分たちがある程度しっかり出した上で結果も付いてきたので、そこが凄く喜ばしいかなと思っています」(神戸U-18・安部雄大監督)。 真っ向からぶつかって3発を叩き込み、2試合目で掴んだ初白星。14日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST第2...
[10.12 国体少年男子1回戦 東京都 1-1(PK4-2)鹿児島県 OSAKO YUYA stadium] 東京都が“決勝戦”と位置づけていた一戦を突破した。対戦した鹿児島県はともにU-16日本代表のMF福島和毅(神村学園高1年)やFW大石脩斗(鹿児島城西高1年)を擁し、地元国体のために準備してきた注目チーム。この日は、800人の観衆が地元チームを後押ししていた。 だが、石川創人監督(東京農大一高)が「僕らは『ここが決勝戦だ』と言ってチームを作ってきた」という東京都が、強敵を上回る。技術力の高い選手の多い鹿児島県に対し、MF仲山獅恩(東京Vユース、1年)とMF鈴木楓(FC東京U-18、1年)中心にコミュニケーションを取って準備してきた守備で対抗。相手にバックパスを選択させたり、奪い取る回数を増やしていく。 鹿児島県の巧さの前に迫力のあるショートカウンターへ持ち込む回数は少な...
※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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