【監督インタビュー】日大藤沢 佐藤輝勝監督【後編】「私たちは選手権があると信じて前に進んで行く」
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 猛威を振るっている新型コロナウイルス。スポーツ界にも大きな影響を与え、高校サッカー界ではインターハイやU-18高円宮杯プレミアリーグが中止になった。ただ、緊急事態宣言が解除され、徐々に日常が戻りつつある。

 

 昨年度の高校サッカー選手権に出場した日大藤沢高も6月から活動を再開。人数を制限した分散トレーニングを経て部全体での活動を再開させ、グラウンドに明るい声が響くようになってきている。前編で自粛中の取り組みなどについて話を聞いた佐藤輝勝監督に、選手権への想いを伺った。

 

ーー活動休止も終わり、新たなスタートを切りました。今後は進路も含めて個人のアプローチが大事になってきますよね。

 

 インターハイが中止になった時に選手達に、「こういう時期だからこそ今まで以上に進路については協力するよ。とにかく頼りなさい。今の状況を伝えてくれ」と言いました。実際にゴールデンウィーク明けに3年生にオンラインで進路指導をしたんです。大学さんにはご迷惑をおかけしたのですが、電話で状況を教えてもらいました。セレクションや基準を少し変えているのか、機会を増やすために練習参加を募集しているのか、そういう細かいところを教えてもらって選手に説明をしました。

 

 ただ、大会が中止になり、何も始まっていない状態と同じでしたので、どの選手も高い目標を申し出ています。大学の条件に合うのか、現状ではどうなのか。われわれの昨年度の大会成績で受験できるのかなど、選手たちには現状を伝えました。

 

 そして、もう一つ伝えたのが、こういう状況だからこそ、文武両道が活きるということです。(昨年度サッカー部から早稲田大学にスポーツ推薦と受験の両方で1名ずつ合格するなど)先輩たちもしっかり勉強もしてきたので、希望の出口を見つけられたと伝えました。両面から自分の可能性へアプローチするようにと伝え、スタッフは彼らの決めた決断を最大限サポートすると約束しています。

 

ーートレーニングに対するアプローチはいかがでしょうか?

 

 分散登校が6月から始まったので1週目はミーティングやオンライン、2週目からは週3回の分散練習と日曜日のみ人数制限をした各カテゴリー別でトレーニングをしていました。徐々に身体を慣らしていき、初めての全体練習ではパワーを使うシュートやヘディングのトレーニングを始めて取り入れました。また、インターバルトレーニングも少しずつ回数を増やし、GPSデータを利用して、コンディションを見極めながらやっています。

 

 3週目以降は対人プレーを入れながら7月1週目の日曜日に紅白戦が行えるように逆算し、ゲーム形式の練習を行なう想定で準備をしてきました。7月2週目からテスト期間のため2週間休みとなるので、1週目の日曜日に紅白戦を実施し、選手たちにサッカーの楽しさを思い出してもらいたかったんです。

 

ーー高校サッカー選手権の予選も夏を終えれば始まります。リーグ戦の再開も控えていますが、今後のビジョンを教えてください。

 

 リーグ再開を予定している9月までの取り組みが非常に大事になります。都道府県や地域によっては対外試合可能ですが、現状で東京や神奈川はトレーニングマッチができていません。藤沢でも新たな感染者が出ています。警戒すべき状況ですので、県のルールに合わせてやっていきます。

 

 その中で、神奈川県は9月からリーグ再開を目標にしているので時間があります。あとは大人たちが安全確保をしながら、時間を良い方向に使えれば良いのではないでしょうか。

 

 「練習時間が足りないから一気にしあげる」ではなく、現状に合わせた質の高いトレーニングで修正していけば、リーグ戦や選手権に間に合うと考えています。6月は焦らないで基礎動作に取り組み、7月からはチーム戦術などに取り組んでいく。8月になれば相手を付け、課題を修正する作業をしていきたいですね。

 

 そうした準備を進めていく上で、日大藤沢では、「文句を言うな、提案しろ」と常に言っています。だからこそ、選手たちは現状を話し合って提案してきます。最近では、3年生から6月最後の日曜日は各チーム練習ではなく、学年別でミニゲームをしたいと提案がありました。理由を聞くと、「受験で引退する一人の選手のために区切りを作ってあげたい」と話していて、3年生全員でメッセージをつなげた動画を送る計画をサプライズで用意していたみたいです。例年であれば、関東大会やインターハイを通じて、チームの一体感が生まれてきます。しかし、今年は大会が無くなってしまったので、私達も良い機会になるのではと考え、彼らの提案を受け入れました。

 

 他にも、3年生が自主的に1年生に対して日大藤沢のサッカーを伝えてくれました。同じポジションの選手同士で話が出てくるようになっていますし、1年生が先輩たちからアドバイスをもらえるのはプラスです。今年は6月から学校が始まったので1年生は大変かもしれませんが、そうやって先輩たちからアドバイスをもらえるのは貴重です。3年生も「早くチームに慣れて欲しいから、自分たちから1年生にアドバイスをしたい」と言ってくれました。ですから、こちらからも去年の試合映像を配信して、練習や試合に違和感なく入る準備を進めています。身体は準備できていなくても頭は準備をして欲しい。1年生をはじめ、新戦力が選手権までに出てくると期待しています。

 

ーー最後に今季の意気込みを教えてください。

 

 選手権大会で県予選を連覇し、日本一に挑戦したいですね。高体連も開催に向けて努力をしてもらっているのは本当にありがたいです。私たちは選手権があると信じて前に進んでいく。ほかのチームが対外試合をやっていても、焦る必要はありません。僕たちはいつも痛みを伴いながら成長してきました。毎週月曜日にみんなで集まって週末の振り返りを行ない、課題と向き合ってきたので昨年度の選手権予選は失点をせずに優勝できたんです。今年も個性が強い選手が多く大変ですが、まとまったら面白いサッカーをするんじゃないかと思っています。

 

 サッカーには、人を感動させる力があります。すべての方々へ感動を与えられるチームを目指していきたいです。

 

(文・写真=松尾祐希)

 

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