【監督インタビュー】前橋育英 山田耕介監督【前編】「自粛中はZOOMを使い、週3ぐらいは体幹トレーニング」
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 世界各国で猛威を振るっている新型コロナウイルス。3月上旬から流行した日本でも緊急事態宣言が4月7日に発出され、経済、学校など、あらゆる活動が止まった。

 

 サッカー界でも多くの影響が出ており、高校の部活動にも大きな支障をきたしている。緊急事態宣言中は休校によってトレーニングを行えず、各種大会の見送りも相次いだ。4月26日には夏に開催予定だったインターハイの中止が決定。多くの選手が戦わずにして、夢を諦める形になった。

 

 当たり前の日常が奪われた未曾有の危機。緊急事態宣言の解除とともに、そうした状況から少しずつ脱却しつつある。そこで今回は今夏のインターハイ開催地でもあった群馬県の強豪・前橋育英高の山田耕介監督に、現状や今後の見通しについて話を伺った。

 

ーー現状を教えてください。練習はいつ頃から再開したのでしょうか。

 

 他の学校と同じく、3月1日から学校が休校になりました。卒業式が終わった後に寮生を含めた全部員を自宅に返したんです。3月の下旬に1週間ぐらい全体でトレーニングできたのですが、緊急事態宣言が4月7日に発令されました。そこから再び活動を取りやめ、5月下旬まで何もできませんでしたね。練習再開は6月1日からで、15日までの2週間は自主トレーニングという形で活動を行ない、16日から全体で活動を再開させています。

 

ーートレーニングができない期間はどのような形で子供たちと接していたのでしょうか?

 

 自粛中は休校中だったので学校で自主練習もできなかったので、グラウンドでは活動できていません。なので、ZOOMを使い、週3ぐらいは体幹トレーニングをやっていましたね。全員を集めての活動はできないので、学年別で日にちと時間帯を決めた上で実施し、その際は必ず自分も参加していました。スタッフはオンライン上でしか、子供たちの顔を見られません。なので、そうした場は非常に有意義でした。また、キャプテンなどと個別にミーティングなどはしていませんが、何か怪我の兆候などがあれば、トレーナーと一緒に個別で相談に乗っていましたね。

 

ーー活動が止まってしまった中で、OBからのサポートなどもありましたか?

 

 Jリーグで活躍するOBなどからマスクなどが送られてきましたね。あとはその贈物と一緒に映像も送ってくれました。先輩たちからのメッセージは子供たちの励みになったのではないでしょうか。

 

ーー子供たちの状況が分からない中で、活動が6月から再開しました。現在、取り組んでいることはありますか?

 

 6月の上旬から活動が再開したので、3年生全員とそれぞれ2者面談をしました。インターハイやその他の公式戦が中止や延期になっているので、例年以上に進路決定が難しい状況にあります。なので、自粛中の生活や今の状況など聞いたりしていて、不安にならないようにサポートをすることが大切です。また、2年生も同様に行なっていて、ほとんど終わりました。現在は1年生との面談を進めています。1年生は入学直後に活動自粛になったのでほとんど接していなかったので、話す場が重要なんです。

 

ーー3年生に対して面談を行われましたが、今後はどのようにサポートはどのように行なっていく形でしょうか。

 

 6月15日に正式に話が来たのですが、8月7日に群馬県で大学向けのトライアルを行なうことが決まりました。スポーツマネジメントが主催している「大学サッカートライアルプロジェクト-THE CHALLENGE」というのですが、そこに選手を参加させようと考えています。本来であれば、高体連のチームはこの時期にインターハイの予選を行なっていますし、その結果を見て各大学も選手の状態や実力を把握します。本当であれば、今週(取材を行なった6月14日)が県予選準決勝、決勝でしたから。なので、トライアウト以外にも、こちらから各大学にはこちらから問い合わせ、状況を確認しています。まだまだ大学側も動きが取れないみたいなので、7月に練習会が行われるようであれば、選手を参加させるつもりです。

 

ーー子供たちがうまく動けない以上は、先生たちのサポートが大事ですよね。

 

 今まで以上に大学側と連絡を密にしていかないといけないですね。

 

ーーインターハイが中止となりましたが、サッカー競技の開催県でもありました。今まで以上に気合いを入れて準備をされていたと思うので、余計に思うところがあるのではないでしょうか。

 

 そうなんです。私たちは地元・前橋のインターハイで絶対に日本一を取ってやると意気込んでいて、今まで以上に高いモチベーションを持っていました。なので、なんとも言えない気持ちですよね。こればっかりはしょうがないのですが、選手たちに「地元開催だから思い切ってプレーして、みんなで日本一を取ろう」って話していたので悔しいですよね。

 

ーー子供たちの様子はいかがでしたか?

 

 2者面談で子供たちと話をしましたが、ショックは大きかったと思います。本心は分かりませんが、僕の前では「気持ちを切り替えて選手権に向けて身体を作っていきます」と子供たちは話していました。

 

(文・写真=松尾祐希)

 

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