京都サンガF.C.U-18のグラディエーター、木邨優人(4番)
世代最高峰のステージで試合に出続けた経験は、自分の力を信じるに足る明確な後ろ盾として息衝いている。もっと大きく、もっと高く、羽ばたけると。「去年はほとんどの試合に出させてもらって、自分としては結構チームの活躍に貢献できたかなと考えていますし、今年はチームの中心としてやっていく中でも、“格の違い”を見せられる選手になって、プロの世界に入っていきたいなと思っています」。京都サンガF.C.U-18のグラディエーター。木邨優人(3年)はディフェンダーとして、“格の違い”を見せ付けられる戦士へ進化を遂げる。
威圧感すら漂わせる風貌とは対照的な、笑顔のかわいらしさが印象に残る。「練習が再開して最初の2週間は1時間ぐらいしかできなかったんですけど、ずっと1人でトレーニングとかしていたら、みんなとサッカーできひんのが違和感で、みんなとサッカーできている時間が恋しかったので、とても新鮮でした。今はメッチャ楽しいです」。言葉の端々にサッカーができる嬉しさが滲み出る。
1年時から何度もベンチメンバーには入ったものの、公式戦の出場機会は訪れなかったため、高円宮杯プレミアリーグWESTデビューは昨シーズンの開幕戦。自身にとって特別な舞台に胸が躍る。「僕は大阪出身なんですけど、初めてプロの試合を見に行ったのが長居スタジアムで、『あそこでプレーしたい』とずっと思っていて、その1つの夢が叶った瞬間だったので嬉しかったですね」。
試合はアビスパ福岡U-18に4-1と快勝したが、タイムアップのピッチに木邨の姿はなかった。「足が攣りました(笑) もう緊張からです。終わった後にチームメイトからは『なんで攣ったん?』とか結構イジられました」。順調にスタートしたように見えた2019年シーズンだったが、すぐに試練がやってくる。第4節の名古屋グランパスU-18戦で、スタメンから外れたのだ。
「3節のセレッソ戦で、僕のミスで失点して負けてしまって、次の試合はスタメンを外れて… メッチャ悔しかったですね。なので、そのセレッソに負けた試合の、僕がミスした時のポジショニングの位置を何回もビデオで見直したり、コーチにディフェンスのことを聞きに行ったりして、何とか改善しようとしました」。
グランパスにも競り負け、連敗を喫した中で迎えた第5節の愛媛FC U-18戦。キックオフを待つ木邨は燃えていた。「またスタメンに戻れて、『絶対にやってやろう』という気持ちで取り組みました」。前半39分。右CKのチャンスにファーサイドへ突っ込むと、夢中で蹴り込んだボールがゴールネットを揺らす。
終わってみれば無失点勝利の上に、プレミア初ゴールのおまけ付き。「今は十分にサッカーできていないので、特に自分の課題を見つめ直せる期間やと捉えている中で、スタメンを外れた時に『自分の何があかんかったんやろう』って考えた経験が生きていると思います」。あの“3試合”が意味する所は、誰よりも自分がよくわかっている。
昨シーズンの木邨を語る上で、重要なのは“先輩”の存在。一緒にセンターバックを組んでいた井上航希(現・沼津)からもたらされたものは、少なくないという。「試合中にミスしても、一番に声を掛けてくれるのが井上選手で、ディフェンスのやり方やヘディングの練習も一緒にやって、凄く参考になる先輩でした。ビルドアップも落ち着いていて、最終ラインのラインコントロールも率先してやってくれたので、とても学ぶことが多かったです」
忘れられない言葉がある。「3年生がプレミアリーグを最後に戦った後で、『来年はオマエがチームを引っ張っていけよ』と言われて、それは心に残っています。嬉しかったですね」。それでも、最大限のリスペクトを払いながら、頼もしい言葉が口を衝く。「僕の夢に到達するためには、超えていかないといけない存在だと思います」。今よりもっと成長した彼らが再びコンビを組む日は、果たしてやってくるのだろうか。
前嶋聰志監督は木邨の成長を誰よりも認めているうちの1人だ。「本当に粗削りな所が洗練されてきて、その成長スピードという意味で去年の1年は大きかったですね。彼は今年の副キャプテンにしたんですよ。タフに頑張り続けた結果、2年生で試合に全部出られて、『これから背負っていくものって何なの』と言った時に、外部から来た選手がそういうのを背負ってもいいんじゃないかなという想いもあって、『(中野)桂太のサポート頼むな』とお願いしてるんですけど、頑張ってやってくれています。メッチャいい男だなと思います」。
憧れはレアル・マドリーのセルヒオ・ラモス。「闘争心を持っていて、キャプテンシーがあって、点も獲れるディフェンダーで、球際でも絶対に相手を潰していますし、ロングキックのサイドチェンジもできるので、参考にするべき選手やなと思っています」。自身も2年続けて4番を背負っていることに水を向けると、「実は結構意識しています」と再びかわいい笑顔が広がった。
もう足を攣ってイジられていた時の自分とは違う。“僕の夢”を叶えるため、意識を一段高い所に置いている。「去年はほとんどの試合に出させてもらって、自分としては結構チームの活躍に貢献できたかなと考えていますし、今年はチームの中心としてやっていく中でも、“格の違い”を見せられる選手になって、プロの世界に入っていきたいなと思っています」。
世代最高峰のステージで試合に出続けた経験は、自分の力を信じるに足る明確な後ろ盾として息衝いている。もっと大きく、もっと高く、羽ばたけると。京都サンガF.C.U-18のグラディエーター。向かってくるヤツはすべて潰してみせる。木邨優人はディフェンダーとして、“格の違い”を見せ付けられる戦士へ進化を遂げる。
■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
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※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
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■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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