帝京長岡高の2年生MF中村太一は1タッチパスとドリブルでの打開が魅力。(写真協力=高校サッカー年鑑)
新潟県勢初の4強入りを果たした昨冬の全国高校選手権は、途中交代で3試合に出場。ピッチに立っていた時間は長くなかったものの、登録155cm、46kgの小柄な1年生は選手権を含めた1年間で貴重な時間を過ごした。
帝京長岡高(新潟)のMF中村太一(2年)は三菱養和SC調布ジュニアユース(東京)出身だ。帝京長岡の2学年上はMF谷内田哲平(現京都)やFW晴山岬(現町田)、MF田中克幸(現明治大)、MF矢尾板岳斗(現中央大)ら名手揃いの世代。中村は昨夏のAチーム昇格後、技術力高い先輩たちとの練習、試合を経験したことで「(先輩たちの)プレースピードが速く、自分のプレーのスピードも上がりました」と成長を口にする。
先輩たちは鮮やかな崩しを見せる一方、個での打開を狙う選手も多かった。その中で、中村は彼らのストレスにならないように、1タッチ中心のプレー。青森山田高との選手権準決勝も1点を追う試合終盤に投入されるなど、チームからの評価を得ていた。
昨年1年間で、1タッチパスやスルーパスなど「相手DFが付いてこれないようなプレー」をより身につけることができたと実感している。これは帝京長岡の先輩たちの中で揉まれたからこそ。また、審判に異議を唱えたりしない、フェアプレー重視など「心美しく勝つ」をモットーとする帝京長岡は、人間的にも大きく成長できる環境だと感じている。
現在、ライバルたちに負けない武器について、中村は「(ストロングポイントは)仲間とのコンビネーション、1タッチで相手を置き去りにしていくプレーなので、それだけは誰にも負けないです」と言い切る。帝京長岡で培った技術と判断の速さは自分の強み。彼の1タッチパスで打開する力は、今季の帝京長岡の崩しに置いても貴重だ。加えて、MFアンドレス・イニエスタ(神戸)のように、キープ、ドリブル、パス全てを兼ね備えた選手を目標とする中村は、PAへ鋭く侵入していく力も備えている。
新型コロナウイルスの影響による活動休止期間は「自分の課題である体力向上のため、1日に6kmのランニングを行い、ドリブルの練習や体幹をしていました」という。また、谷口哲朗総監督は「突っ込んでいくような(鋭い)守備ができるようになった」と評価。新チームになってからは一時期、攻撃の中心選手のようなプレーも見せていたという。
だが、谷口総監督は「食事、走り込みを見ても自分の力を見てしまっている」と厳しい。小さな体でできることを増やしてきたことは確かだが、貪欲に自分の壁を超えていかなければ、ライバル視しているMF吉原宏顕(2年)やMF糸永誠也(3年)らチームメートたちとの競争を勝ち抜くことはできない。個の力はまだまだこれからなだけに、危機感を持ち、自分を超えて行くこと。それができれば、大きな舞台でチームを勝利へ導く存在にもなれるはずだ。
今年の目標は先発として試合に出続けてチームに貢献すること、90分間プレスを掛け続けて相手を困らせること、全てのタイトルを獲得すること。そして、「心美しく勝って行くことです」。その目標を成し遂げるため、ライバルたち以上に意識高く一日一日を過ごす。
(取材・文 吉田太郎)
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■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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