再び王国最強の10番へ。清水ユースMF青島健大が思い描く“憧れられる存在”
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清水エスパルスユースの攻撃のキーマン、青島健大

 

 ジュニアユース時代に10番を背負い、日本一も経験した男は、再びそのステージへと返り咲く覚悟を静かに整えている。「やっぱりエスパルスというのは静岡でも特別な存在で、小さな子供たちも入りたいと考えているはずなので、それに恥じないプレーをしないとダメだと思ってやっていきます」。清水エスパルスユースが誇る攻撃のキーマン。青島健大(3年)は“憧れられる存在”を思い描き、アカデミーのラストイヤーへ挑む。

 

 エスパルスのジュニアユースでは、既に2年時にレギュラーとして全国三冠を経験。3年時は10番とキャプテンマークを託され、やはりJFAプレミアカップで日本一を獲得。静岡県内における同年代の中では、頭1つ抜け出ている存在だったのが青島だった。

 

「中学の頃から結構注目してもらって、代表にも選んでいただいたので、たぶん名前も多少知ってはもらえていたのかなと。いろいろな会場に行っても『あ、青島健大だ』と言われましたし、藤枝の祭りとかに行ってもすれ違うたびに結構言われましたね(笑)」。サッカーどころの藤枝出身らしいエピソードだが、ユースに昇格してからは思い描いていたような航路は辿れていないと語る。

 

「1年生の時はプレミア初出場のレッズ戦でゴールを決められましたし、自分の中では『2年になったらレギュラーで出られるかな』と思っていたんですけど、そんなに甘くなかったのは事実ですね。2年生では公式戦で1点も決められていないですし、ゴールという意味では3年生の役に立てなくて、自分の長所はあまり出せていなかったのかなと。描いていたような活躍はできなかったなという想いはあります」。

 

 さらに、昨年10月に開催されたFIFA U-17ワールドカップのメンバー落ちも、本人には考える所があった。「『ワールドカップには行きたい』と思っていた中で、もちろん(成岡)輝瑠もそうですし、出ているメンバーはだいたい友達で、『同級生が戦っているのに、自分は何でここにいるんだろう』みたいな感じがあって複雑でした」。

 

 それでも自己分析はしっかりできていた。「そんなことを言っていても、そもそも自分の実力というのもありますし、去年はベンチにも入っていなかった選手が3年生にも自分の学年にもいたので、試合に出られることへ、本当に感謝の気持ちを持たないといけないなと思っています」。悔しさを自分のエネルギーに変え、周囲への感謝を胸に、改めてサッカーと向き合う決意は定まっている。

 

 もともとエスパルスへの想いは強い。「小学校の頃からずっとエスパルスのジュニアユースに憧れていましたし、地元の先輩の鈴木魁斗(現・東京学芸大)さんとずっと仲が良くて、その人が進んだこともあって『中学年代はエスパルスが強い』みたいなイメージを持っていたので、絶対入りたいという想いはありました」。

 

 かつての自分がそうだったからこそ、ユースの選手であっても、子供たちに与える影響も十分意識している。「やっぱりエスパルスというのは静岡でも特別な存在で、小さな子供たちも入りたいと考えているはずなので、それに恥じないプレーをしないとダメだと思ってやっていきます」。今年は「小学校の頃からずっと付けさせてもらっているので、こだわりはある」と明かすエースナンバーも背負う。“エスパルスの10番”が持つ意味は、誰よりもよくわかっている。

 

 今シーズンの主戦場は、右サイドハーフから左サイドハーフに変わった。「自分はボールに関わり続ける運動量と一瞬のスピードが特徴で、縦にも行けるし、中にカットインしてチャンスメイクもできて、シュートもできることを考えると、自分の長所を生かすなら、左サイドの方がいいなって思っています」。その中でスタイルを重ねているのは、憧れているユースの先輩だ。

 

「青森山田とエスパルスユースがIAIでやった時に、ジュニアユースのみんなで見に行ったんですけど、その時に滝(裕太)くんのプレーにビックリしました。パスも上手いし、あの人が1人いるだけで局面を打開できちゃいますし、あの大勢の観客がいるプレッシャーの中で、寄せも速い相手を翻弄できていたのは本当に凄いなと感じました。でも、あの人のような魅せるプレーはできないですけど、同じスピード系とはいえ、ボールの置き所や体の入れ方は負けていないと思っていますし、トップに行ったら年齢も関係ないので、憧れは憧れとして置いておいて、1人の選手としては負けないようにしないといけないですよね」。

 

 本人も口にしているように、目標はあくまでもトップチームへの昇格。そのためにも、もう一度自分の実力を多くの人に認めさせる必要性も感じている。「高校ではあまり活躍できていないこともあって、今の自分はしっかりとした結果が出せていないという悔しい気持ちはありますし、たぶんみなさんの期待に添えていないので、自分の中で皮を1枚剥がして、もう一度改めて全国の人たちに『やっぱり青島健大は上手いんだな』ということを知ってもらいたいと思います」。

 

「もちろん代表に戻りたい気持ちはありますけど、それはエスパルスで結果を出せば付いてくるはずなので、やっぱりトップ昇格という目標はブレずに持ちながら、自分のストロングポイントである一瞬のスピードを磨きつつ、課題でもある柔軟性も克服していきながらやっていきたいです」。ジュニアユース時代に10番を背負い、日本一も経験した男は、再びそのステージへと返り咲く覚悟を静かに整えている。

 

 清水エスパルスユースが誇る攻撃のキーマン。再び王国最強の10番へ。青島健大は“憧れられる存在”を思い描き、アカデミーのラストイヤーへ挑む。

 

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」

 

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