もはや凄味すら感じさせるプレーに、確固たる自信が芽生えたことも容易に窺える。ただ、ここで満足しているようなタマではない。「プリンスリーグでリーグ優勝して、プレミアのプレーオフも勝って、U-23でデビューしてゴールして、本当に初めて尽くしの中で、変化がいろいろあって、その変化に対していい形のチャレンジができたので、昨年はこれまでサッカーをやってきた中で一番成長した年かなと思っています」。手応えの1年から、その先へ。FC東京U-18の新・闘将。2020年の常盤亨太(3年)は“自分史上最高”をさらに塗り替える。
きっかけは悔しさからだった。昨年の春先。常盤は自分がトップチームに2種登録されなかったことを知る。「1年生の頃から少しプレミアではベンチに入っていて、『このまま行けばいいのかな』と思っていたのですが、トップチームの練習試合に1度呼ばれて15分ぐらい出た時に結果を残せなくて、2種登録はされずに悔しさが残りました」。
メンタルを切り替える。次の登録変更時に再びU-23への扉を開ける決意を固め、目の前のトレーニング、目の前の試合と丁寧に向き合っていく。本職のボランチだけではなく、3バックのセンターも務めるなど、プレーの幅も格段に広げつつ、持ち味の守備力を活かしてU-18の完全な主力選手として躍動。結果として5月には2種登録を勝ち獲った上に、U-23でも15試合に出場。第30節のブラウブリッツ秋田戦ではゴールまで記録し、一躍注目を集める。
結果的にU-18でもプリンスリーグ関東で優勝を果たし、年末のプレミアリーグプレーオフでは旭川実高とモンテディオ山形ユースを撃破して、1年でのプレミア復帰を手繰り寄せる。「プリンスリーグでリーグ優勝して、プレミアのプレーオフも勝って、U-23でデビューしてゴールして、本当に初めて尽くしの中で、変化がいろいろあって、その変化に対していい形のチャレンジができたので、昨年はずっとサッカーをやってきた中で一番成長した年かなと思っています」。自分史上最高の1年を過ごした手応えを携えて、2020年の幕が上がった。
その決意は開始3分で現れる。1月18日。新チーム初の公式戦となった、東京都クラブユースU-17サッカー選手権大会の大森FC戦。3列目から果敢に飛び出した常盤は、華麗なループシュートを相手ゴールに滑り込ませる。以降も鋭いスルーパスを繰り出せば、果敢なミドルにもトライ。試合後に「組み立ての所で自分がすべての局面に顔を出して、最後のフィニッシュ、アシストも含めて結果も残さなければいけないなと思っています」と話した姿が印象深い。
その意識はやはりJ3での経験がもたらしたものだった。「攻撃はずっと(FC東京U-15)深川の頃から課題と言われ続けていた中で、J3では攻撃面で何もできなくて、『このままだったら試合に出れなくなるな』という危機感を覚えて、まずは攻撃面の改善をしようと考えたんです。自主練でもたぶん(角)昂志郎より僕の方がシュートを打っていますが(笑)、試合では本当に自分が取られても取り返せばいいから、全部チャレンジしようくらいの気持ちでやっていますし、U-18だと余裕を持って攻撃できる部分もあるので、J3でも余裕を持てるぐらいまで行きたいなと思って、攻撃面も意識しています」。
さらに、ある先輩の姿にも感銘を受けたという。「丹羽(大輝)選手はU-18から合流した僕らにも積極的にコミュニケーションを取っていただいて、自分がデビューする時もプレーしやすいようにしてもらって、本当にお世話になっているんです」。サッカー選手にとって、大切な要素はピッチ上で学べるものだけではない。そういう意味で昨年の1年間で得たものも、今までのサッカーキャリアで最も多かったのかもしれない。
今シーズンはキャプテンにも就任した。チームを率いる中村忠監督は、常盤を指名した理由をこう明かす。「新チームを立ち上げてすぐの存在感とか、彼が躍動的な働きをするとチームは活性化されるし、逆に練習で彼が出し惜しみしたりすると、良くない方向になったり、良くも悪くも常盤の出来次第で左右される所を感じたので、責任感を芽生えさせるという形です」。
指揮官が笑いながら教えてくれたエピソードも興味深い。「この前はU-15深川のZoomのミーティングに常盤が出て、僕はあえて入らなかったのですが、凄く良い話をしてくれて。U-15深川の太田匡人監督が『アイツが中学生の時じゃ考えられない』って(笑) だから、良い効果は出ているのかなと思います」。U-18のキャプテンということは、FC東京のアカデミーを代表するキャプテンということ。その自覚も十分に出てきているようだ。
好きな選手はチェルシーのエンゴロ・カンテ。理由に自身の特徴へのこだわりが滲む。「普通の人が見たらわからないと思いますが、やっている人にはわかる“渋さ”みたいな、そういうのが欲しいんです。見る人によっては『本当に良い選手だな』みたいになりたいですね」。とはいえ、“青赤のカンテ”の実力が誰の目から見てもわかる日は、すぐそこまで近付いている。
色々なものが懸かる1年。先行きへの不安を押し殺しつつ、これからへと前を向く。「自分は三冠という目標を今年も立てたいなと。チームとしても重要ですが、個人としてもそこで活躍することがチームを勝たせることになって、ここから試合を重ねていく中で、自分の良さがどんどん出てくれば、最後にトップチームに上がれるかのふるいに掛けられるはずなので、個人としてトップチーム昇格を目指しながら、成長するために三冠を目指して、日々やっていきたいなと思っています」。
昨年の自分は、きっと今年の自分が超えてみせる。手応えの1年から、その先へ。FC東京U-18の新・闘将。2020年の常盤亨太は“自分史上最高”をさらに塗り替える。
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
[4.14 プレミアリーグWEST第2節 静岡学園高 0-3 神戸U-18 時之栖スポーツセンター 時之栖Aグラウンド(人工芝)] 相手が素晴らしいチームなのはわかっている。間違いなく攻撃的に来るであろうことも、容易に想像が付く。だからこそ、自分たちも引くつもりなんて毛頭ない。アグレッシブに打ち合って、その上で勝ち切ってやる。クリムゾンレッドの若武者たちは、勇敢な決意をハッキリと携えていたのだ。 「本当にこのリーグは難しいリーグなので、正直勝ててホッとしています。それも『こういうサッカーをしようよ』ということを、自分たちがある程度しっかり出した上で結果も付いてきたので、そこが凄く喜ばしいかなと思っています」(神戸U-18・安部雄大監督)。 真っ向からぶつかって3発を叩き込み、2試合目で掴んだ初白星。14日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST第2...
[10.12 国体少年男子1回戦 東京都 1-1(PK4-2)鹿児島県 OSAKO YUYA stadium] 東京都が“決勝戦”と位置づけていた一戦を突破した。対戦した鹿児島県はともにU-16日本代表のMF福島和毅(神村学園高1年)やFW大石脩斗(鹿児島城西高1年)を擁し、地元国体のために準備してきた注目チーム。この日は、800人の観衆が地元チームを後押ししていた。 だが、石川創人監督(東京農大一高)が「僕らは『ここが決勝戦だ』と言ってチームを作ってきた」という東京都が、強敵を上回る。技術力の高い選手の多い鹿児島県に対し、MF仲山獅恩(東京Vユース、1年)とMF鈴木楓(FC東京U-18、1年)中心にコミュニケーションを取って準備してきた守備で対抗。相手にバックパスを選択させたり、奪い取る回数を増やしていく。 鹿児島県の巧さの前に迫力のあるショートカウンターへ持ち込む回数は少な...
※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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