ユース取材ライター陣が推薦する「インハイ予選で是非見たかった11傑」vol.4
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川端氏が推薦するMF大迫塁(神村学園高1年)。(写真は昨年10月の国体出場時のもの、写真協力=高校サッカー年鑑)

 

 新型コロナウィルス感染症の影響によって、インターハイ(令和2年度全国高校総体)が中止に。ユース取材ライター陣の協力による「インハイ予選で是非見たかった11傑」第4回は、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長で育成年代からJリーグまで幅広く取材する川端暁彦氏による11人です。

 

川端氏「春から夏にかけての高校サッカー観戦は、いつも発見の季節でした。『こんな選手がいたのか!』という驚きもあれば、『あの選手がここまで!』と成長に感嘆することもしばしばあります。新チームが立ち上がる中で、新たな責任を担うことになった選手が大化けする、あるいは1年生として新天地でプレーする選手が大きなチャンスを掴み取る。そんなサクセスストーリーを経て大きく変わっていく選手たちを観るのが自分も大きな楽しみで、毎年この時期が大好きです。その日常がなくなってしまっているのは選手たちにとって本当に不運という他ありませんが、その日常があればと思いふけりながら11人を選んでみました。この災禍が落ち着いたあとで、彼らと再会すること、そしてまだ観ぬ逸材たちと出会えることを楽しみにしています」

 

以下、川端氏が推薦する11選手

 

GK松原颯汰(流通経済大柏高3年)

 

大阪から遠く離れた千葉へとやって来た守護神は1年生のときからAチームでの出場を重ね、そのポテンシャルの高さを存分に披露してきた。いわゆる“運動神経”に秀でたタイプで、その機敏な動きを活かしてゴールを守る。ここまでやや負傷が多かっただけに、この中断期間でしっかり体を作り、大きく飛躍することを期待したい。

 

DF古賀照也(日章学園高3年)

 

守備のセンスが良く、ゴール前でまさに『壁』となれる宮崎の鉄壁系DF。「キャプテン翼」の石崎了のような根性系のディフェンスを見せつつ、エレガントな先読みカバーリングも見せる。体格的に特段優れたタイプではないのだが、その『守り』は観ていて面白い。

 

DF金子遼太郎(大津高3年)

 

元々は中盤の選手で今も『ボランチをやりたい』という気持ちはあるようだが、最終ラインの位置からゲームを作っていける彼の存在は現代サッカーにおいては実に貴重だ。当初はぎこちなかったという守備面も、高さを活かしたヘディングも含めて大きく成長しつつある。

 

DF宮川歩己(日大藤沢高3年)

 

昨年の高校サッカー選手権予選では攻守両面で猛烈なインプレッションを残す大活躍。特に圧倒的なヘディング能力が大きな注目を集めた。佐藤輝勝監督が「フィジカル面は最初から凄かったわけではなく、入学してきてから地道な努力を重ねて良くなった」と言うように、向上していく姿勢も魅力だ。

 

DF田邉秀斗(静岡学園高3年)

 

今年の目玉選手過ぎて名前を挙げるべきか少し迷ったが、やはり抜きん出たポテンシャルを持つこの選手の存在は無視できない。運動能力に加え、左右サイドバック、センターバックを自在にこなせる戦術的な幅の広さも魅力。「自分はこのチームではヘタクソなので」と言うものの、それはあくまで“静学基準”においての話で、足元の技術も十分に高い。

 

MF櫻井辰徳(前橋育英高3年)

 

読売ジャイアンツの原辰徳監督に由来する名前を持つものの、バットを振るほうではなくボールを蹴る道を選んだ期待のスーパーボランチ。昨年のU-17W杯は最終候補に入りつつも落選となったが、その潜在能力は高く評価されていた。確かな技術に裏打ちされたダイナミックな展開、ゴールへ絡んでいくプレーは一見の価値あり。

 

MF吉永陸人(比叡山高3年)

 

昨年の国民体育大会では滋賀県選抜の中心選手として出場。「こんな良い選手がいたのか」と驚かされた。正確な中距離パスを急所に落とし、鋭い縦パスをFWに付ける配球能力は傑出したものがあった。所属チームでのプレーぶりも是非観てみたいと思っていた。

 

MF大迫塁(神村学園高1年)

 

U-16日本代表の主軸を担うレフティーが、今年から高校サッカーへと活躍の舞台を移した。センス抜群のボールさばきと読みの良さ、ゴール前での豊富なアイディアは魅力たっぷり。ボランチでもいいが、ゴールに近い位置で観ていたくなるタイプである。

 

FW長野星輝(東福岡高3年)

 

1年生で出場していた高円宮杯プレミアリーグWESTでも見事なゴールを挙げるなど、早くから期待を受けてきた。185cm級の恵まれた体格を持ちながら、柔軟なボールコントロール能力も兼ね備える。誰もが認めてきたポテンシャルを開花させる年になるのか、楽しみにしている。

 

FW阿部要門(尚志高3年)

 

染野唯月が卒業していった尚志だが、今年は阿部がいる。既に来季モンテディオ山形への加入が発表されているタレントは、染野とはちょっと違ったタイプで、よりセンターFWらしいタイプのストライカーだ。体の使い方が抜群にうまく、ゴール前の勝負で脅威となれる。

 

FW吉田陣平(佐賀東高2年)

 

今年2月の九州高校サッカー新人大会で、「こんな選手がいたんだな」と驚かされた名手の卵。FW登録だが、中盤と前線の間でプレーすることを得意とし、ボールに絡めばゴールの匂いをトッピングできる。年始めにはフランスへの短期武者修行を行うなど、抜きん出た向上心の強さも持っている。

 

執筆者紹介:川端暁彦
 サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長。2004年の『エル・ゴラッソ』創刊以前から育成年代を中心とした取材活動を行ってきた。現在はフリーランスの編集者兼ライターとして活動し、各種媒体に寄稿。著書『Jの新人』(東邦出版)

 

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