春のフェスティバル大会でも軒並み開催を取りやめる事態に…
新型コロナウイルスの影響が各方面に波紋を広げている。2月27日に安倍晋三首相が公立の小中学校、高校、特別支援学校に臨時休校を要請。翌日には北海道で緊急事態宣言が出されるなど、新型コロナウイルスのニュースを目にしない日はない。
その流れは日本のスポーツ界にも波及しており、サッカー界も非常に難しい局面に立たされている。
2月25日、Jリーグは3月15日まで全ての公式戦延期を決断。翌日にはJFA(日本サッカー協会)も、協会が関わる全ての会議、イベントなどについて開催の必要性を再検討し、原則として延期または中止することを決めた。
当然ながら、その決定は育成年代にも及んでいる。2種年代では、直近で行なわれる予定だった対外試合の実施を中止もしくは延期を決定。1月中旬から行なわれているジャパンユースプーマカップは先週末の試合から延期となった。また、春休み期間中のフェスティバルは軒並み開催を取りやめている。3月19日に開幕する予定だったサニックス杯は2月28日に中止を発表。全国の強豪校が集まるイギョラ杯や船橋招待大会などは中止のアナウンスを出していないが、実施を見送っても不思議ではない状況にあるだろう
それは対外試合だけではなく、普段のトレーニングにも影響が出ている。高校に休校要請が出された点も踏まえ、活動そのものを自粛するチームが続出しているからだ。
高体連では多くの高校が3月2日から臨時休校となるため、部活動の活動も実施不可能に。JFAの意向に沿って、15日まで練習を見合わせるチームがほとんどとなった。埼玉県の昌平高は2日からトレーニングを中止し、春休み期間中のフェスティバル参加も現状では見通しが立っていないという。今冬の選手権王者・静岡学園高は2月28日まで練習を行なったが、週明けからの休校措置に伴って翌日からオフとした。
Jリーグの育成組織では、トレーニングを行なうクラブと取りやめたクラブで分かれている。3月15日まで公式戦を戦わないトップチームの流れに加え、ホームタウン近隣の状況や子どもたちが通う学校の判断を踏まえながら、活動の実施をジャッジ。例えば、サンフレッチェ広島ユースは15日まで対外試合を取りやめるが、トレーニングは実施するという。子どもたちが通う吉田高の休校措置やJリーグの判断を尊重しつつも、チームに籍を置く選手たちが全員寮生活かつ電車で通うことがない点や広島県内で新型コロナウイルスの感染者が確認されていない点を踏まえての判断だ。
一方で静岡県内の2クラブは2月28日に県内で新型コロナウイルスに感染した事例が初めて報告されたことを受け、早急に対応。ジュビロ磐田ユースは3月下旬のスペイン遠征を取りやめながらも練習は行なう意向を持っていたが、状況を鑑みて活動を3月15日まで見合わせた。清水エスパルスユースも15日までの活動停止を決断。2月28日の昼時点ではトレーニングを実施する予定だったが、同日夕方に3月15日までオフとすることを決めた。
Jクラブ関係者は「クラブで誰かが感染すると、トップチームも活動できなくなるリスクがある」と危惧
今冬の高校選手権で優勝した静岡学園の練習風景。写真:松尾祐希
実際に現場で清水の育成年代を取り仕切る育成事業本部の伊達倫央本部長は今回の経緯をこう話す。
「トップチームは営業収益などがあり、チームの存続や経営に関わってくる。でも、アカデミーは子どもたちなので別。(4月に開幕するリーグ戦などの)試合を戦う目的はあるけど、ここで無理をする意味はない。たまにはスタッフも含めて、休むことも大事。サッカーをやりたいのは山々だけど、28日に県内でコロナウイルスの感染が確認された。本当にいつ感染するか分からない。クラブで誰かが感染すると、トップチームも活動できなくなるリスクがある。それを考えれば、アカデミーは学校などで接触する回数は多い中で休校になったので休むしかない。電車やバスで通っている子もいるので、まずはJリーグが決めた流れに沿って15日までは休むことを決めました」
現状では、高体連もJユースも活動規模を中止や縮小しているチームがほとんど。15日以降はJFAの指針や各地域の状況を踏まえながら、動く形になることになる。与えられた中で調整を進めながら、選手たちは自主練習でコンディションを整えることになりそうだ。ただ、学校が休校になっている以上、クラブ側から選手に自主練習を求めるのが難しいのも事実。清水ユースの岩下潤監督は言う。
「年末年始などのオフでは取り組むべきことを伝えているけど、今回ばかりはすごく難しい。こちらからは与えられない。外で活動をするということは学校の休校や活動休止の目的からずれてしまうので、そこは個人で身体が鈍らないようにうまくやるしかない。伝え方は本当に難しいですよね」
現状では先の見通しが立っていない。仮に予定通り4月4日にU-18高円宮杯プレミアリーグなどが開幕した場合はほとんどぶっつけ本番で挑むクラブも出てくるだろう。
コンディションが整わないままプレーをすれば、怪我人が出る可能性も高い。そのリスクを軽減するのであれば、開幕を遅らせるしかないが、会場や代替日を確保する必要がある。ただ、Jリーグとは異なり、平日にゲームを行なうのは授業などの関係もあり一筋縄ではいかない。とはいえ、優先すべきは言わずもがな、子どもたちの安全やコンディション面だ。
その前提を踏まえつつ、現場は何ができるのか。選手を預かる大人たちは残された期間で臨機応変な対応で次善策を求めていくことになりそうだ。
取材・文●松尾祐希(フリーライター)
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※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
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高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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