“再戦”へ、2年生のDFリーダーがふんどしを締め直した。前年度の選手権王者・青森山田(青森)は3日、3回戦で富山第一(富山)と対戦し、4-1で勝利。6-0と大勝を収めた初戦・米子北(鳥取)戦に続き、盤石の強さを見せつけ準々決勝進出を果たした。
全国レベルの強豪校を立て続けに倒し、連覇へ向けて視界良好。だが、藤原優大(2年)が試合後に語ったのは、失点シーンにおける反省の弁だった。
「あのセットプレーは多分、この試合のために用意してきたと思う。あれに対応できないと。もし、0-0の場面であれを決められたら負け試合になっていた。チームで話し合ってもっと詰めていきたいです」
「あのセットプレー」とは、3-0で迎えた75分の失点のことだ。富山第一はゴール正面、やや右寄りの位置でFKを獲得。これを直接狙わずファーサイドに送り、ヘディングでゴール前へ折り返した。待ち構えていた選手が押し込み、青森山田は今大会初失点を喫した。デザインされたトリックプレーについて藤原は、「ああいうプレーに対して準備できていなかった」と反省し、「3-0の場面では得点もいらないし、あれを3-0のまま終えるのが青森山田のサッカー」と語気を強めた。
1年の夏に経験した「相当ショックな負け方」
準々決勝の相手は初のベスト8進出を果たした昌平(埼玉)に決まった。青森山田にとって少なからず“因縁”がある相手だ。
昨夏のインターハイ、両校は2回戦で相まみえた。当時の青森山田のメンバーは、檀崎竜孔(現北海道コンサドーレ札幌)、三國ケネディエブス(現アビスパ福岡)、バスケス・バイロン(現いわきFC)、現主将の武田英寿ら、後に選手権を制した強力なメンバーたちを擁していた。
試合は前半から青森山田がペースをつかみ、2-0とリードを奪う。しかし、前半終了間際に1点を昌平に返されると、57分に同点ゴールを献上。直後には逆転弾を許し、リードを奪われてしまう。後半アディショナルタイムには、追いかける展開から前がかりになったところでカウンターを食らい4失点目。強力ディフェンスが売りのチームが立て続けに失点し、2-4の逆転負けを喫した。当時、1年生ながらベンチ入りを果たした藤原は、「自分もベンチで見てて苦い経験でした。相当ショックな負け方だった」と振り返った。
一方の昌平は、サッカー部の本格強化からメキメキと実力を伸ばし、今や埼玉県屈指の“技巧派集団”として全国でも知れ渡る存在となった。今大会でも初戦で興國(大阪)に勝利すると、3回戦では優勝候補の一角と称された國學院久我山(東京)にアディショナルタイムの決勝ゴールで勝利し、同校初の選手権ベスト8に進出。磨き抜かれた攻撃サッカーで王者への挑戦権を手にした。
因縁の一戦へ藤原も「プレミアで1年間やってきて、テクニカルなサッカーには慣れている。そこは自信を持って。そこができないと絶対やられると思う。相当力があるチームなので」と警戒心を強めている。
“何でも屋”からDF陣のリーダーへ
昨年度の選手権では1年生で唯一メンバー入り。準決勝のPK戦ではラストキッカーを務めた。
藤原が名を馳せたのは、昨年の選手権だった。1年生ながら唯一メンバー入りすると、“ユーティリティープレーヤー”として重要な局面で起用された。シャドーを任されればチャンスメイクを。ボランチに入れば攻守のつなぎ役を。センターバックとしては空中戦の強さを武器に相手のパワープレーを跳ね返す。激闘となった尚志(福島)との準決勝ではPK戦でラストキッカーを務め、自らのキックで大舞台での勝利をもぎ取る強心臓まで持ち合わせている。
本格的にセンターバックを任されたのは高校入学からだが、「自分のポジションになってきた。最初は戸惑ったけど人の話を聞きながらやってきて自信もついた」と話す通り、世代を代表するDFに成長。空中戦、対人プレー、カバーリングに長けていることはもちろん、足元の技術を活かしたビルドアップでも貢献。11月の高円宮杯ファイナルを制し、「日本一」となったチームにおける“柱”の1人だ。
チームリーダーとしての自覚も十分。「去年とは立場が違う。去年は先輩たちに助けられながらプレーしていた。自分がチームの中心になって優勝に導く立場」と責任感が強く、一方で「自分が何を言っても色々と意見を聞いてくれる優しい先輩たち。先輩のためにも優勝したい」と、1学年上の先輩たちとの全国制覇を心から望んでいる。
富山第一戦では失点を喫し、悔しい思いをしたが、「2試合連続無失点で3試合目に失点して、メンタルが落ちるという危険性もあったので、ポジティブに捉えて。反省して次の試合に臨みたいです」と、自慢の守備力をさらに強固なものにする好材料として受け入れている。
藤原を中心とした青森山田の守備力か? 華麗なパスワークと個人技で魅せる昌平の攻撃力か? ベスト4を懸けた“矛盾対決”から目が離せない。
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
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※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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