川端氏が注目するGK平山颯太(北越高、右)
「選手権予選注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター陣に選手権予選注目の11選手を紹介してもらいます。第3回はサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長で育成年代からJリーグまで幅広く取材する川端暁彦氏による11人です。
川端暁彦氏「いつものように何か縛りを設けて選ぼうかとも思ったのですが、今回はあえて1校1名以外の原則は廃して、今年のプレーを観ていて特に印象深かった選手から11名をセレクトしてみました。U-17W杯に臨む日本代表選手たちから、全国的にはまだ無名ながら個人的に要注目と思う選手、あるいはちょっとブレイクしそうかなと思う選手まで幅広く選出させてもらいました」
以下、川端氏が注目する11人
GK平山颯太(北越高2年)
「今年の高校総体における青森山田撃破を含む北越躍進の立役者であり、確かなインパクトを夏の大会に残した守護神。技術的な精度の高さに加えて勇敢な飛び出しも印象的だった。ビッグセーバーというだけでなく足技も備えており、組み立てにも絡める点も魅力だ」
DF畑大雅(市立船橋高3年)
「市立船橋の練習で走りの練習で一人だけ独走している様を観て『市船で独走とは!』と驚いたが、先日のU-17日本代表合宿でも独走しており、改めて圧倒的な走力を印象づけた。高い持久性と瞬発的なスピードを兼ね備え、まさにSBをやるために生まれてきたような男である。内定先の湘南のスタイルにもピッタリ」
DF高木践(阪南大高3年)
「今年の夏に『あのCBは何者だ。イヴァン・コルドバ(ちょっと古い)かな?』と思わせてくれた超高性能ストッパー。上背はないものの、抜群の跳躍力で空中戦の弱さは感じさせず、地上戦でも相手FWをシャットアウト。長いボールもしっかり蹴れて、安定感もあった。攻撃に強烈な選手がいるチームだが、このDFはより注目されてもおかしくない」
DF田平起也(神戸弘陵高3年)
「昨年まではBチームでプレーしていたという無名選手ながら、今年急成長を遂げてC大阪入りを勝ち取ったCB。188cmの大型ながら技術も高く、精度の高いキックが印象的。U-18日本代表へ大抜擢を受けて臨んだリスボン国際トーナメントのポルトガル戦では、序盤はやや腰の引けたプレーが出たものの、徐々に大胆なプレーが増加。試合の中で成長できる様が、プロ向きのメンタリティを感じさせた」
MF櫻井辰徳(前橋育英高2年)
「ちょっと猫背な姿勢から『そこ見えてたの!?』というパスをさばき、ゲームに変化を加えてくる高性能のセントラルMF。ちょっとだけ若い頃の中村憲剛を彷彿とさせるモノがあり、観ていて楽しい選手である。名伯楽・山田耕介監督が『まだまだ』と言うのもそのポテンシャルを高く買っているから。この冬の大化けも待たれる逸材」
MF大西悠介(流通経済大柏高3年)
「1年生のときから『面白い選手』と言われてきたが、負傷もあってなかなかブレイクし切れず。3年になってのリーグ開幕時も不動のレギュラーという雰囲気はなかったが、確実に逞しさが出てきた。独特のリズムを刻むドリブルで攻撃を彩り、強烈なシュートでゴールネットを揺らす。課題と指摘されてきた守備面も確実に向上してきた。選手権予選独特のプレッシャーの中で、もう一段上のプレーが期待される」
MF荒木遼太郎(東福岡高3年)
「不運な負傷もあり、U-17W杯の最終メンバーには残れず。ただ、そのセンスと技術は折り紙付きだ。今年はボランチが基本だったが、チーム事情もあって最前線を張る“ゼロトップ”でも活躍するなど、さすがの引き出しの多さを見せている。今年の選手権福岡県予選は大激戦が予想されているが、この10番の輝きはあらためて大きな鍵となりそうだ」
FW染野唯月(尚志高3年)
「試合中でもニコニコしていることが多いせいでどうにも誤解されがちだが、勝利に対してもゴールに対しても確かにハングリーな選手である。ただ、確かにどこか余力や余裕があり、遊び心も残している。だからこそゴール前で『決定力不足』とは無縁のプレーを出せるのだろう。高円宮杯プレミアリーグEASTでも得点ランク首位に立っており、その『決定力』は改めて証明済み」
FW若月大和(桐生一高3年)
「気持ちいいくらいにゴールへ一直線で迫り、チームの勝利のために体を張って戦い、最後まで諦めないハートを備える選手だ。選手権予選にはU-17W杯の状況次第でかなり厳しいコンディションになる可能性もあるが、この男はモノともしないだろう。そう感じさせてくれる温度感のある、頼れるエース。一度は観といて損はない」
FW西川潤(桐光学園高3年)
「もはやここで紹介する必要もないのではないかと思ってしまう選手だが、それでもやはり『選手権予選で誰が注目か?』となれば、この男は外せない。スピード、パワー、テクニックの3拍子を揃えるストライカーは、今夏に初めての全国制覇へチームを導いた。準決勝から登場となる県予選では、何とかして彼を止めようとする神奈川列強のDFたちとのバトルが堪能できるだろう」
FW晴山岬(帝京長岡高3年)
「小気味良いリズムでボールをさばき、ゴールへ迫るストライカー。特にペナルティエリア付近でのワンタッチプレーは、帝京長岡のテクニカルなスタイルと合わせて必見だ。動き出しのセンスも抜群で、ランニングプレーから相手の急所を突く。どん欲な向上心を備え、着実に課題を克服してきた点も高く評価されている。前線からの守備もいい」
執筆者紹介:川端暁彦
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長。2004年の『エル・ゴラッソ』創刊以前から育成年代を中心とした取材活動を行ってきた。現在はフリーランスの編集者兼ライターとして活動し、各種媒体に寄稿。著書『Jの新人』(東邦出版)。
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
[4.14 プレミアリーグWEST第2節 静岡学園高 0-3 神戸U-18 時之栖スポーツセンター 時之栖Aグラウンド(人工芝)] 相手が素晴らしいチームなのはわかっている。間違いなく攻撃的に来るであろうことも、容易に想像が付く。だからこそ、自分たちも引くつもりなんて毛頭ない。アグレッシブに打ち合って、その上で勝ち切ってやる。クリムゾンレッドの若武者たちは、勇敢な決意をハッキリと携えていたのだ。 「本当にこのリーグは難しいリーグなので、正直勝ててホッとしています。それも『こういうサッカーをしようよ』ということを、自分たちがある程度しっかり出した上で結果も付いてきたので、そこが凄く喜ばしいかなと思っています」(神戸U-18・安部雄大監督)。 真っ向からぶつかって3発を叩き込み、2試合目で掴んだ初白星。14日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST第2...
[10.12 国体少年男子1回戦 東京都 1-1(PK4-2)鹿児島県 OSAKO YUYA stadium] 東京都が“決勝戦”と位置づけていた一戦を突破した。対戦した鹿児島県はともにU-16日本代表のMF福島和毅(神村学園高1年)やFW大石脩斗(鹿児島城西高1年)を擁し、地元国体のために準備してきた注目チーム。この日は、800人の観衆が地元チームを後押ししていた。 だが、石川創人監督(東京農大一高)が「僕らは『ここが決勝戦だ』と言ってチームを作ってきた」という東京都が、強敵を上回る。技術力の高い選手の多い鹿児島県に対し、MF仲山獅恩(東京Vユース、1年)とMF鈴木楓(FC東京U-18、1年)中心にコミュニケーションを取って準備してきた守備で対抗。相手にバックパスを選択させたり、奪い取る回数を増やしていく。 鹿児島県の巧さの前に迫力のあるショートカウンターへ持ち込む回数は少な...
※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
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高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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