黒田監督は「プレミアで見たことがないものが次々と…」
[インターハイ3回戦]北越1(5PK3)1青森山田/7月28日/黄金森公園陸上競技場 (ローン)
昨年度の選手権王者、青森山田のインターハイは3回戦で幕を閉じた。今大会の最激戦区に入り、初戦で前橋育英、2回戦で大津と、いずれも有力候補の一角を下しての3回戦進出。この2試合の激戦で負ったダメージはかなり大きかった。
北越との3回戦、立ち上がりから個人技のある選手を揃えた相手攻撃陣に対し、青森山田は後手に回るシーンが多く見られた。16分には北越のFW田中翔のドリブルに対してPKを献上。これはGK佐藤史騎(3年)のファインセーブでことなきを得たが、その後も勢いに乗り切れない展開が続いた。
後半も立ち上がり早々にDF藤吉玲依(3年)に決定機を作られると、48分には再び藤吉に左サイドを突破され、FW庄内碧(3年)に先制弾を浴びてしまった。それでも54分、浦和レッズ入団内定のMF武田英寿(3年)からの右FKを、FW田中翔太(3年)がドンピシャのヘッドを叩き込んで同点には追いついたが、その後でいつもの青森山田の畳み掛けた攻撃が見られないまま、逆に北越に決定機を作られるなど、最後まで苦しい展開から抜け出せなかった。
1—1で迎えたPK戦。先攻の北越に決められると、青森山田1人目のCB藤原優大(2年)のキックは、北越のGK平山颯太(2年)に阻まれる。その後は全員が決めたが、北越も5人全員が成功し、最後のキッカーとなったMF安藤颯士(2年)のシュートがゴールに突き刺さった瞬間に、青森山田の敗退が決まった。
「2つの山場を切り抜けて出てくる安心感が絶対に邪魔になってしまうし、それを打ち消すことはなかなか難しい。だからこそ、『ゲーム内で起こることを何回も、何回も自分たちで飲み込んで、自分たちのサッカーを志向することを本気で自分自身に言い聞かせてやらないといけない』と選手たちに言ってはきたが、立ち上がりからよくなかった」
試合後、黒田剛監督は無念の表情を浮かべた。青森山田にとって、この試合が相当難しいものであったのは誰の目から見ても明らかだった。前橋育英、大津との激戦での消耗はもちろん、北越も青森山田と同じ12時キックオフの試合を2試合こなしての3回戦だったが、相当なチャレンジャー精神を持って果敢に挑んできた。結果、立ち上がりから受け身に回り、さらに北越の技術の高さもあり、試合の中でなかなか立て直すことができなかった。
「コンセプトをやりきれなかった。事前に立てたプランを志向できなかった。どこかで『なんとかなる』という感覚があったと思う。セカンドを拾えない、カウンターを怖がってラインが少し下がってしまったり、プレミアでは見たことがないものが次々と出てきたのは、疲労もあると思うが、平常心を保てなかったりと甘さもあったと思う」(黒田監督)
この敗戦をポジティブなターニングポイントとできるか?
常に追われる立場にあるのは強豪の宿命。その上で結果を出し続けることの難しさを、彼らは肌をもって感じることになった。
「試合の入りが良くなかった。注目の試合と言われた2試合をこなして、この試合が重要だということは分かっていたのに、決定的なチャンスを作ることが出来なかった。自分たちの甘さが出た試合だと思います」
武田は悔しさに満ちた表情でこう口にした。今季、プレミアリーグEASTで無敗を誇り、強豪2チームを連破した先にあった落とし穴。
「後半戦に向けては変な勘違いもなくてよかったのかもしれない」
黒田監督のこの言葉通り、この敗戦をチームにとってポジティブなターニングポイントにしないといけない。どんな強豪でも結果を出し続けることは難しい。だが、結果が出なかった時にどう振る舞い、そこからより高く跳べるチームこそが真の強豪と言える。
青森山田はただでは転ばない。それは周りが言わなくても、彼ら自身がよく分かっているはずだ。
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■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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