練習中や試合中に怒鳴り散らす指導者達
6月某日、筆者はとある少年サッカー大会の会場に足を運んだ。この日は県大会の1回戦から準々決勝まで行われ、16チームが参加した。Jリーグの下部組織やクラブチームが中心だったが、少年団も数チーム勝ち残っていた。そして、試合を観戦していると某少年団のベンチから「何考えてんだ!お前!」と言った監督やコーチ陣からの怒鳴り声が聞こえた。
そのチームは日本代表選手も輩出し、全国大会常連の県内屈指の強豪少年団だ。この日出場していた
3つの少年団のうちの2つの少年団の監督やコーチは試合中に選手達を怒鳴り散らしていた。
もちろん、クラブチームでも怒鳴るコーチはいて、一概に少年団に多いわけではない。この日はたまたま試合中に怒鳴り散らすチームが少年団だったというだけの話だ。そして、少年団でも怒鳴り散らすことなく、他のクラブチームやJリーグの下部組織と変わらないコーチングをする少年団も多く存在する。
筆者の観戦した県のチームがたまたま割合的に少年団が怒鳴っている指導者達が多いだけの話だ。では何故怒鳴る指導者達がそれも、少年団には多いのだろうか?
まず、特徴として少年団の監督やコーチ陣はクラブチームの監督、コーチに比べて平均年齢は少なからず高い傾向にあるだろう。ほとんどの少年団はいわゆるボランティアチームで歴史のあるクラブが多い。副業、専業問わず給料をもらいながら指導しているクラブチームは少年団に比べると歴史が浅い。少年団の総監督や代表は60代以上が半数を占めているだろう。
このことが、少なからず怒鳴る指導者達が多くいる原因のひとつであると推測する。彼らの生きてきた時代は体育の授業や親からの体罰が当たり前の時代。そうして育ってきた子どもが大人になり、やがて指導者になって、その時と同じような方法で子ども達を指導する。だから、怒鳴り散らす指導になってしまう傾向が少なからずある。
年下のコーチ陣達も総監督や代表の指導に影響され怒鳴り散らす指導をしてしまう傾向にある。これはある種、部活動で代々受け継がれる伝統と似ているだろう。
■怒鳴る指導やスパルタ指導を保護者が容認しているケースも
怒鳴る指導についてここまで述べてきたが、これらをはじめとするいわゆるスパルタ指導を少年団が続ける1つに保護者からの容認があるのではないだろうか。「試合に勝ちたい」「子どもに精神的に強くなってもらいたい」といった思いが多くの保護者にあるだろう。「勝てて子どもも強くなるなら多少のスパルタは仕方ない」こう考える保護者もいる。その結果、少年団のスパルタ指導を容認することになる。保護者も納得していて、プレーしている子ども達も自然に納得させられているケースも多いだろう。
スパルタ指導や勝利至上主義の問題点とは
ここまでスパルタ指導に触れてきたが、筆者はそれらを完全否定しているわけではない。サッカーは勝負の世界で負けず嫌いの性格の選手が向いている要素もあるだろう。厳しい練習に耐え抜くメンタルも必要でサッカーの厳しさを子ども達に伝えることも必要だろう。しかし、一言で厳しいと言っても色んな厳しさがある。怒鳴り散らす指導や体罰、過度な罰走などの過剰な厳しさは不要だ。怒鳴り散らしたり、罰で走らせてしか厳しさを伝えられないのは指導者の力不足だろう。
試合を観戦中にとある6年生の選手と話をした。「あのチームの監督みたいな怒鳴る人は俺は嫌だな。あんな言われ方をしたら精神的に嫌になる。」彼はそう話してくれた。指導者達に怒鳴られてそう感じる選手はやはり多くいるようだ。
スパルタ指導や勝利至上主義の最大の問題点は選手達の将来をつぶしてしまう可能性があることにあるだろう。厳しいイメージのある高校サッカーで3年間が終わり、大学生になった多くの選手が体育会のサッカー部ではなく、サークルで週1回程度楽しくサッカーをするのも勝利至上主義やスパルタ指導の下で3年間サッカーを続けることに抵抗を示す選手も多くいるだろう。
ちなみに、2018年度の日本サッカー協会の登録選手数は中学生年代の3種が236,524人に対し、2種の高校年代は174,177人と大きく減っている。
ことによって燃え尽きてしまう燃え尽き症候群が原因だろう。そして1種の登録選手は143,918人と2種年代の数から3万人ほど減っている。高校サッカーの厳しさからか、そもそも高校でサッカーを続けない選手と高校まででもう十分という選手がこれだけ多くいる。
もちろん、サッカーは勝負事だから勝つに越したことはないのかもしれない。勝つことが更なるモチベーションに繋がることもある。ただ、サッカーの本質のサッカーは楽しいものということを常に忘れてはいけない。勝っても選手達が「楽しくない、満足しない」のならその喜びは半減するだろう。選手が心からサッカーを楽しみ、「これからもずっとサッカーを続けたい」と思うことは育成年代では1番大切ではないだろうか。
勝利至上主義やスパルタ指導によってサッカーを続けるのが嫌に選手が少しでも減っていくことを願いたい。
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辻本拳也
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
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[10.12 国体少年男子1回戦 東京都 1-1(PK4-2)鹿児島県 OSAKO YUYA stadium] 東京都が“決勝戦”と位置づけていた一戦を突破した。対戦した鹿児島県はともにU-16日本代表のMF福島和毅(神村学園高1年)やFW大石脩斗(鹿児島城西高1年)を擁し、地元国体のために準備してきた注目チーム。この日は、800人の観衆が地元チームを後押ししていた。 だが、石川創人監督(東京農大一高)が「僕らは『ここが決勝戦だ』と言ってチームを作ってきた」という東京都が、強敵を上回る。技術力の高い選手の多い鹿児島県に対し、MF仲山獅恩(東京Vユース、1年)とMF鈴木楓(FC東京U-18、1年)中心にコミュニケーションを取って準備してきた守備で対抗。相手にバックパスを選択させたり、奪い取る回数を増やしていく。 鹿児島県の巧さの前に迫力のあるショートカウンターへ持ち込む回数は少な...
※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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