[9.18 NBチャンピオンシップU-16決勝 東海大高輪台高 0-1 飯塚高 時之栖うさぎ島G]
飯塚高(福岡)が“全国大会級のU-16大会”を制した。18日、「ニューバランスチャンピオンシップ 2023 U-16」決勝が静岡県御殿場市の時之栖うさぎ島グラウンドで行われ、初優勝を狙う東海大高輪台高(東京)と2019年大会以来2度目の優勝を目指す飯塚が激突。飯塚が1-0で勝ち、参加32校の頂点に立った。なお、大会MVPには飯塚のMF保科剛が選出されている。
予選大会から勝ち上がってきた東海大高輪台は4-2-3-1システム。GK高居修仁、右SB高柳旬、CB安田礼、CB椎橋拓己、左SB佐藤駿、MF川地瑛太とMF安田旬のダブルボランチ、右SH中島功晴、左SH中島一咲、トップ下がゲーム主将の土田歩汰、1トップを櫻田恭臣が務めた。
一方、飯塚は初出場初優勝した2019年大会以来の決勝進出。4-4-2システムのGKが高田大雅、右SB藤川翔馬、CB木下宗祐、CB森本快、左SB小金丸稜将、ゲーム主将のMF吉田善と 保科のダブルボランチ、右SH鮫島遼介、左SH堀江悠希、前線に塚本一咲と野村滉が構えた。
今大会は全て30分ハーフの短期決戦。ともに3日間で7試合目だったが、選手たちは互いに集中した守備を見せ合うなど、緊迫した戦いを演じた。前半8分、東海大高輪台は左スローインで中島一が抜け出し、マイナスのラストパス。これを土田が右足ダイレクトで狙う。対する飯塚は9分、木下の縦パスから塚本が右足シュートを放つが、東海大高輪台CB安田礼がブロックする。
東海大高輪台は安田礼と椎橋の2CBが強さを発揮。ゴール前に入ってきたボールを確実に跳ね返す。そして、川地らがセカンドボールを回収し、櫻田のポストプレーや中島一のドリブルを活用した攻撃。良い形でボールを奪った際には佐藤や川地が係る形でボールを前進させ、崩しに持ち込もうとした。
一方、飯塚は空中戦で強さを見せる吉田と今大会で圧倒的な強度を示した保科、また森本、木下の両CBを中心とした堅守。最終ラインからのビルドアップで揺さぶり、ロングスローや背後を狙った攻撃で相手にプレッシャーをかける。28分には木下の展開から堀江がドリブルで一気にゴール前へ潜り込み、29分には吉田の左クロスから塚本が決定的なヘッドを放った。
飯塚は0-0の後半7分に野村をMF鶴元銀乃介へスイッチ。東海大高輪台も安田旬をMF光永俊之祐へ交代する。後半、飯塚は鶴元が敵陣でキープ力を発揮するなど攻撃のギアを上げ、藤川、小金丸の両SBが押し込んでクロスを上げる。そして12分、飯塚は左サイドからの折り返しを受けた鶴元が右足シュート。このこぼれ球を堀江が繋ぎ、小金丸が左足でクロスを上げる。最後はファーサイドの鮫島が頭で右隅に決め、先制点を挙げた。
東海大高輪台は14分に中島功を俊足FW根元日向へ、22分にも中島一をMF田村優樹へ交代。飯塚は終盤、FW古畑魁斗、CB鄭晃大、MF松本風翔、FW金城龍都を立て続けに投入し、森本をボランチへ上げて守りの強度、高さを維持する。
そして、高田や小金丸が声でチームを引き締め、保科が身体を投げ出して相手の攻撃を食い止めていた。東海大高輪台はサイド攻撃やセットプレーで反撃するが、守り切った飯塚が1-0で勝利。全員で勝ち取った優勝に喜びを大爆発させていた。
飯塚の1年生は「ニューバランスチャンピオンシップU-16」と12月のU-16全国大会で“日本一”を目指してチームをスタート。今大会の出場校は選手権、インターハイでの優勝や上位進出の経験を持つチームや、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグに参戦しているチームなど実績のあるチームがずらり。飯塚は2015年の本格強化開始から9年目だが、選手権、インターハイ出場でいずれも16強進出、2019年の「ニューバランスチャンピオンシップU-16」優勝など“全国相手でもやれる”ことを示してきている。
島田一真コーチは「(選手たちに話したことは、)『相手がどこというのは、無しにしよう』。(野球日本代表、大谷翔平の言葉のように)『憧れるのはやめましょう』じゃないですけれども、『やってきたことを全部出そう』と。(今大会初戦の)昌平戦(1-0で勝利)が自信になって、やるべきことをやれば戦えると実感して勢いに乗ったと思う」と口にする。
今や、「全国に出たい」ではなく「全国で勝ちたい」「日本一になりたい」という思いを持って飯塚へ進学してきている選手たちがほとんど。森本が「(ニューバランスチャンピオンシップU-16のタイトルを)取れて良かったです。これは絶対に取りに行こう、と。(県外の強豪チームは)昔は憧れのチームだった。でも、名前だけじゃ負けないです」と語るように、今大会にも目線を高くして臨み、昌平高(埼玉)や青森山田高(青森)、尚志高(福島)、帝京高(東京)といった実績のある高校を破って優勝を果たした。
島田コーチが「バズる大会」と評した「ニューバランスチャンピオンシップU-16」で2度目の優勝。1年生たちは飯塚の名をまた広め、個人としても大いにアピールした。だが、島田コーチは「彼らはチームの中ではトップにはまだ呼んでもらっていない立ち位置なんで。トップの選手らは強度が高いので、そこで入ったら何もできないことを痛感しているし、上しか見ていない」と説明する。
今大会はトップチームに帯同するFW新垣類ら4選手が不在だった。保科は「(彼らの存在は)自分の頑張れる気力にもなりますし、上には上がいるということだから下見ることがないので、同年代が自分よりも上にいることが結構助かります」とコメント。また、他にもレベルの高い選手が飛躍を目指し、強度が高く、頭を使うトレーニングに取り組んでいる。
今回、“全国大会級のU-16大会”で優勝したが、勝負はこれから。鮫島は「自分たちの代は全国制覇したい。積み上げていって(自分たちが3年生になる2年後も)全国制覇をしたいです」と力を込めた。チームに戻って、また競争。王者・飯塚は今大会で学んだことに取り組み、ライバルたち以上の成長を遂げる。
(取材・文 吉田太郎)
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10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
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高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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