4日、日本代表MF旗手怜央(セルティック)が母校・静岡学園高サッカー部の練習を訪問。後輩たちにエールを送った。
世界で活躍する先輩が突然の訪問。事前に来訪を知らされていなかったため、自転車で練習場の静岡学園谷田グラウンドに到着した高校生たちは、一様に驚きの表情を見せていた。その後、川口修監督から紹介され、言葉を求められた旗手は、まずチームのインターハイ出場を祝福。その後、継続することの大事さを後輩たちに伝えていた。
旗手は静岡学園入学当初、「ドリブルも上手くなかった」「走りも一番うしろ」だったと明かす。ただし、「自分が唯一持っていたのは、やり続けるとか日々の積み重ねを続けてきたとのは、自分の中であった能力」と説明。そして、「毎日の積み重ねをしっかりやって欲しいと思います」と語った。
隣で聞いていた川口監督も、「(旗手は)走れなかった、技術も全然なかった」と同調。「でも、シュートが右も左も高校生にしてはスーパーなくらい打てた。印象に残っているのは常にドリブルシュート、ドリブルシュート。常に練習終わった後、周りの人が帰った後もやっているんだよ。ここで技術をしっかり学んで、努力を積み重ねてきた。身体は大きくない。みんなと変わらない。でも、世界で戦える。(彼の在籍時と)今、同じ練習をやっている。なぜここまで行けるの? 君たちもしっかりとやり続けて、努力して、上を目指してもらいたい」と高校生たちに期待した。
静岡学園のトレーニングはウォーミングアップからドリブルやトラップ、リフティングと徹底した技術練習。旗手も3年間積み重ねてきたことで、「凄く良い土台になっている」。その上で「サッカーも年々進化していくもので、フィジカルや戦術的な部分を学んでいかないといけない。そういうところに、今の高校年代の人にも取り組んでもらいたいです」。“元祖技巧派軍団”静岡学園もプレミアリーグや全国大会上位での戦いでフィジカル面の重要性を痛感。取り組みを行っているが、プロを目指す選手たちは旗手の言葉、また厚い肉体を見たことでその重要性を再確認していた。
後輩たちとの記念撮影を終えた旗手は、「高校3年間が一番伸びると思う。この3年間を適当にやるのと積み上げるのとではその先が全然違う。そこはみんなにはやって欲しい」と改めてコメント。U-18日本代表候補FW神田奏真(3年)は「日々努力して、続けることが大事だ改めて実感しました。もっともっと日々努力して、練習から最後までこだわって、近いうちに旗手君と一緒にプレーできたらなと思いました」と刺激を受けていた。
旗手は後輩たちの試合結果をチェックしているという。「(その活躍で)僕も元気をもらっている」。旗手は2年時の全国高校選手権で鮮烈なゴールを決めるなどチームの8強入りに貢献し、大会優秀選手、日本高校選抜に選ばれている。だが、3年間でインターハイ出場はなし(チームは1年時に出場)。また、10番を背負った3年時にプリンスリーグ東海で優勝したものの、プレミアリーグは1年時にしか経験していない。
だが、後輩たちは今年、プレミアリーグWESTで7勝2分1敗と首位を快走。インターハイ、選手権、プレミアリーグの3冠を掲げてシーズンを送っている。旗手は「僕らには(それほど高い目標は)なかったので、それくらい高い目標を持つチームになれているのは凄いなと思いますし、(周囲の話を聞くと)それを実現できるだけの力があると思うので取って欲しい」と期待した。
選手たちからは「いつか一緒にプレーできるかな」の声。数々の名手を輩出している静岡学園だが、セルティックで大活躍している旗手が後輩たちの目線を上げたことは確かだ。「後輩が見て頑張ろうと思ってくれることは凄く嬉しいこと」と微笑む。
後継の10番MF高田優(3年)は、「(旗手は)服の上からでも分かるような身体の厚みもあって、ヨーロッパで戦っている人はこうなんだと肌で実感できたのは良い経験だなと今日感じました」と語り、U-18日本代表候補GK中村圭佑主将(3年)は「自分が目指しているのは今、旗手さんがいるところなので、貪欲に狙っていきたい。この人と一緒のレベルに自分も行かないといけない」と力を込めていた。
後輩たちにとって、貴重な経験となった旗手の母校来訪と激励。旗手もまた、「ここに帰ってくると来るとリセットされる」と語り、川口監督から「まだまだだぞ」「もっと頑張れ」と檄を受けていた。静岡学園の活躍、成長を願う一方、旗手もまだまだ積み重ねて欧州、日本代表でさらなる飛躍へ。そして、いつか後輩たちとともにプレーできる機会を待つ。
(取材・文 吉田太郎)
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※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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