一段と逞しくなった印象の名和田。U-17日本代表でも14番を背負う。写真:松尾祐希
エースナンバー14を背負ってインハイ予選を制覇
神村学園をインターハイ出場に導いたFW名和田我空(2年)がU-17日本代表でも好調を維持している。
名和田は神村学園中時代から将来を嘱望され、高等部に上がってからも1年時からレギュラーを張っている注目株だ。FW福田師王(ボルシアMG)、MF大迫塁(C大阪)の両エースが注目を集めた昨季は先輩の影に隠れる時期もあったが、1年生とは思えない攻撃センスで活躍した試合も少なくなかった。
迎えた今季はチームのエースナンバーである14番を2年生ながら継承。5月下旬に行なわれたインターハイ・鹿児島予選では目覚ましいプレーを披露し、県下最大のライバルである鹿児島城西との決勝では鮮やかなループショットを決め、チームを6年連続の全国舞台に導く活躍を見せた(スコアは2-0)。
最大の武器は正確なキックと創造性に富んだプレー。最前線で自由に動きながら、最終ラインとボランチの間で上手くボールを受け、正確なシュートやラストパスで決定的な仕事を果たす。FWだけではなく、サイドハーフやトップ下でもプレーできる戦術眼の高さも持ち合わせ、高校2年生ながら複数のJクラブから動向を注視されている。
各年代の世代別代表にも継続して招集され、昨年10月にはU-17アジアカップの予選に出場。2ゴールをマークし、本大会の出場權獲得に大きく貢献した。U-17ワールドカップの最終予選を兼ねた本大会のメンバーにも名を連ねており、主軸としてプレーすることが見込まれている。
6月17日の初戦が迫るなか、大会前の直前合宿でも攻撃の要として森山佳郎監督の期待に応えた。11日に行なわれた筑波大とのトレーニングマッチ(40分ハーフ×2試合/結果は1本目が1-2、2本目が2-1)では、レギュラー組が顔を揃えた1試合目に2トップの一角で出場。年上の相手に対し、開始早々の4分にいきなり見せ場を作る。最終ラインの背後でボールを受けると、相手GKの動きを見極めてループシュートを選択。技ありの先制点を決め、以降も切れのある動きで状態の良さを窺わせた。
昨季は好不調の波が激しく、状態が良い時は手が付けられないほどのパフォーマンスを見せた一方で、調子が悪ければ試合から消えてしまうケースもしばしば。球離れが悪く、シュートを打てる場面でも仲間にボールを渡す場面が目立った。
そういう姿を見ていた大迫が「もっと遠慮せずにプレーすればいい」と名和田に注文を付けていたが、今季はその悪癖がすっかり鳴りを潜めている。
改善された理由として、今季は主軸としての責任感が生まれたのもあるが、一番は成功体験を積み重ねている点が大きい。継続的にゴールを奪うことで自信が深まり、プレーにも余裕が生まれている。その積み重ねが好循環を生み、試合によって出来が左右されなくなった。
名和田は言う。
「相手がよく見えていて、最近はプレースピードも上がった。相手を見て、判断を変えられるようになったし、一つひとつのパススピードも高まっている。本当にコンディションが良い」
先輩・福田のU-20W杯出場に大いなる刺激を受けて
また、今回の代表活動で元日本代表の大黒将志ストライカーコーチから指導を受けたのもプラスに働いている。
今までは狙い済ましてシュートを打つ場面が多かったが、感覚で打つアドバイスを大黒コーチから受けたという。
「動き出しやシュートバリエーションの重要性も学んだけど、キーパーを見ないで、テンポ良く打つことを一番伝えてもらったんです。GKのポジションやゴールの位置を頭に入れて打つような練習をしてきた。そういうアドバイスを大黒さんが頻繁にしてくれて、相手の足に当たらずにシュートを打てると教えてくれたんです」
その成果が筑波大戦のゴールとして表われた。
右肩上がりで成長を続ける俊英はこれからアジアの戦いに挑む。U-17アジアカップで4位以内に入ればワールドカップの出場権を手に入れられるだけに、モチベーションは高い。昨季までチームメイトだった福田が5月下旬にU-20ワールドカップに出場した点も、国際舞台への想いをより強くさせる要因になっている。
「U-20ワールドカップを見ていて、やっぱり自分もそういう大会に出たいと思った。自分もU-17の年代で大舞台に出たいという気持ちが強い。やっぱり、ワールドカップは特別なモノ」
神村学園の14番は心身ともに充実している。世界の舞台で戦う権利を得るべく、最高の状態で決戦の地・タイに乗り込む。
取材・文●松尾祐希
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
[4.14 プレミアリーグWEST第2節 静岡学園高 0-3 神戸U-18 時之栖スポーツセンター 時之栖Aグラウンド(人工芝)] 相手が素晴らしいチームなのはわかっている。間違いなく攻撃的に来るであろうことも、容易に想像が付く。だからこそ、自分たちも引くつもりなんて毛頭ない。アグレッシブに打ち合って、その上で勝ち切ってやる。クリムゾンレッドの若武者たちは、勇敢な決意をハッキリと携えていたのだ。 「本当にこのリーグは難しいリーグなので、正直勝ててホッとしています。それも『こういうサッカーをしようよ』ということを、自分たちがある程度しっかり出した上で結果も付いてきたので、そこが凄く喜ばしいかなと思っています」(神戸U-18・安部雄大監督)。 真っ向からぶつかって3発を叩き込み、2試合目で掴んだ初白星。14日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST第2...
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※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
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高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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