昌平高が玉田圭司氏のスペシャルコーチ就任を発表!アジア、世界で活躍したFWが注目校の個性強化を後押し
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13日、元日本代表FWの玉田圭司スペシャルコーチがU-17日本高校選抜MF長準喜らを指導した


日本、世界で活躍したストライカーが、注目校の育成、個性強化を後押しする。今年から“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEASTに参戦している昌平高(埼玉)が14日、元日本代表FW玉田圭司氏のスペシャルコーチ就任を発表した。


玉田氏は柏、名古屋、C大阪、長崎でプレーし、J1通算99得点、J2通算34得点。日本代表として06、10年のワールドカップに出場し、06年大会のブラジル戦では前回王者相手に鮮烈な先制ゴールを決めた。また、04年のアジアカップでは準決勝の劇的な延長V弾など計3得点。レフティーのストライカーは、日本代表のアジア制覇に貢献するなど国際大会でも活躍してきた。

21年シーズン限りで現役引退。昨年はJFA A級コーチングライセンスを取得した傍ら、JFAストライカーキャンプやサッカースクールなどで育成年代の選手たちにアドバイスしてきた。また、現在は長崎のアンバサダーやスペシャルオリンピックス日本(SON)ドリームサポーターとして活動をしている。

昌平は近年、高校サッカー界で台頭を続けている注目校。系列のU-15チーム、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によってテクニックや賢さを持つ個性的な選手たちを育成し、7年連続でJリーガーを輩出している。また、16、18、22年のインターハイで3位に入り、19、20年度の全国高校選手権で2年連続8強。昨年はプリンスリーグ関東1部で初優勝し、プレミアリーグ初昇格を果たしている。

その昌平・藤島崇之監督と玉田氏は、習志野高(千葉)時代の同期。また、FC LAVIDAの村松明人監督(昌平コーチ)、関隆倫コーチ(元札幌)、菅野拓真コーチ(元千葉)、宮島慶太郎ヘッドオブスカウト(前千葉スカウト)も習志野時代の同期だ。高校卒業後も交流を続け、玉田氏は、旧友たちが指導する昌平とFC LAVIDAの活躍をチェックしていた。

「面白いサッカーをしている」「他のチームに比べたら個性がある」という目で見ていた昌平。また、以前から藤島監督と会った際、いずれ昌平で一緒に育成することの話題が出ていたという。そして今年、将来的にS級ライセンス取得を目指す玉田氏は、昌平のコーチングスタッフに加わることを決断。指導者として高校サッカーに携わることになった。
「僕的には一人一人個性みたいなのがあって、それが輪になって強いチームになって欲しいというのがあります。昌平高校としてやっていきたい形があると思うんですけれども、それを僕が変えたいとなるとおかしくなる。一人一人の個性を出すとか、一つのプレーに対してアドバイスするとかして、チームにとってプラスになっていけば良いなと思っています」(玉田氏)

藤島監督も期待するのは、「僕らでは伝えきれない」特別なテクニックやアイディア、経験を持つ彼だからこそ伝えられるスペシャリティの部分。「選手たちも学びたいという気持ちがあるだろうし。玉田の感性を伝えてくれるのはありがたいですね」

それに対して、玉田氏は「(高校サッカーは)ステップアップのための成長の段階だと思っている。試合などを見て、昌平に何が足りないか見ていきたい。点を取るとかチャンスをつくるという部分に関してはできることがあると思います。他のところでも気がついたところがあれば、アドバイスしていくと思います」。昌平が大事にしている育成と結果の両立。“プロ予備軍”の将来有望な選手たちの後押しをする考えだ。

13日、玉田氏は昌平グラウンドでAチームの練習をフルメニューチェック。全体練習後には、実演しながらシュートトレーニングを行った。当初はアタッカー陣だけの予定だったが、貴重な機会にAチームの全選手が興味。玉田氏のシュートする際の駆け引きやシュートの高さについてのアドバイスに耳を傾け、コースへ蹴り分ける左足シュートに刺激を受けていた。

その後、アドバイスを聞いた選手たちが実践。玉田氏は同じ左利きのU-16日本代表MF山口豪太(1年)やMF本田健晋(2年)のDF役を務めて声がけしたほか、高校生たちのシュート1本1本を見て、動きを交えながら気になったことを伝えたり、質問に応えたりしていた。

U-17日本高校選抜のFW小田晄平(3年)は「最初見た時は本当、凄かったです。めっちゃ格好良かったです」と微笑み、「日本を代表する選手がスタッフに入ってくれることはチームにとってプラスですし、得点パターンが増えるので嬉しいですね。相手の外し方とか学べているので、ここからコツだったり聞いて成長していきたい」と力を込めた。

サッカーの楽しむことが玉田氏のモットー。「楽しむって難しいですよね。楽しんでいるだけじゃ全然勝てないじゃないかという人もいると思うんですけれども、僕はそれがあって、サッカーって成り立っていると思っていて。サッカーの楽しみ方って一人一人あると思うので、その楽しみ方を一人一人見つけてもらえれば、楽しみながら結果を出せるような仕組みができると僕は思っているんですよね。見ている人が楽しくないとサッカー文化も発展しないと思う。見ている人が楽しむイコール、やっている選手たちがそういう気持ちでやっていないと伝わらないと思う。それが今は(日本全体でまだ)足りないなと思っているんで」と語る。選手一人一人がより楽しむ手段を一緒に探していく。

今回のコーチ就任は自身の将来のためでもある。「ここは僕の学ぶ場でもあると思う。指導の方法だったり、伝え方であったり、そういうところは(一つのチームの)指導者としてやったことがないので、それは学びになるんじゃないかなと思っています」。高校年代で台頭を続ける昌平で自身が指導者として学ぶ、成長することも大きな目的。藤島監督も「僕らも高校サッカーの中で良い方向性を見出だしていければ」と語ったように、昌平のコーチングスタッフも世界を知る玉田氏から刺激を受け、選手育成、組織の向上に繋げていく考えだ。

「やるからにはしっかり携わっていきたい」と語る玉田氏は毎月一週間程度、指導に加わり、公式戦のベンチに入る機会もありそう。またFC LAVIDAのトレーニングを見るプランもある。玉田氏にとっても、昌平にとっても新たなチャレンジ。いずれも高校選抜クラスのCB石川穂高主将(3年)や10番MF長準喜(3年)、MF土谷飛雅(3年)、小田、ともにU-16日本代表の山口、MF長璃喜(1年)といったタレントたちが、スペシャルコーチの言葉でより個性を伸ばし、目標を実現するための力をつける。

(取材・文 吉田太郎)
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