青森山田の長身CB小泉(左)。空中戦で圧倒的な強さを誇る。写真:安藤隆人
昨年の1年間で得たある気づきとは?
屈強なフィジカルを誇る青森山田において、一際目立つのが190センチの長身を誇るCB小泉佳絃だ。
タイミングの良いジャンプと空中での当たりの強さを駆使し、空中戦で圧倒的な強さを見せる小泉は、昨年のプレミアリーグEASTで、得点王になった横浜F・マリノスユースの内野航太郎、得点ランキング3位だった柏レイソルU-18の山本桜大という世代トップクラスの大型ストライカーと真っ向から立ち向かった。
また、攻撃面でも得意のヘッドで3ゴールを挙げるなど、大きな経験を積んだ。
「どのフォワードも強烈でしたが、プレミアで自分の前への強さは通用すると思ったので、もっと予測、動き出し、身体の使い方などを学んで、今年はどのフォワードでも抑えられるようなセンターバックになりたいと思っています」
選手権では、中学時代にメインとしていたポジション、アンカーとしてプレー。昨年はプレミアでボランチを経験したため、「より首を振る回数を増やすことを意識した」と身体の向きや立ち位置を工夫してしっかりと順応して見せた。
「ボランチをやったことでボールを持った時の落ち着きや、試合中により考えるようになったことで、プレーの幅が広がったのは間違いありません」
最高学年を迎えた今年は、キャプテンの山本虎とともに強固なCBコンビとしてシーズンを迎えた。そのなかで、昨年の1年間である気づきを得たことで、新たな気持ちで今年に臨もうとしている。
「2年生の秋までは自分が(青森山田OBである)菊池流帆さんのようなファイター系センターバックだと思っていたのですが、ボランチを久しぶりに経験し、ハイプレッシャーのなかでも足もとの技術を出せる自分に気づいた。持ち出したり、ボールを落ち着かせたりすることができるセンターバックになりたいと思うようになりました」
この気づき以降、小泉はマンチェスター・シティの足もとの技術に秀でた188センチのCBジョン・ストーンズのプレーを食い入るように見るようになった。ストーンズのターン、ボールのいなし方を学び、強さと上手さを持って攻撃に絡めるCBを目ざすようになった。その観点で自分のプレーを分析すればするほど、足りない部分が浮かび上がってきた。
「判断の部分が足りていない、間に合っていない。身体操作の難しさはあるのですが、これをもっと追求してやっていかないとなりたい自分にはなれないと思う」
求める理想は高い。同時に足もとをしっかりと見つめて謙虚な姿勢を持ち、ひとつずつ積み上げていかないと砂上の楼閣になるのを小泉はきちんと理解している。
昨年、チームを全国トップクラスの強豪校に仕立て上げた黒田剛監督が、J2・FC町田ゼルビアの監督に就任したため、長年ヘッドコーチを務めていた正木昌宣氏が新監督に就任。チームとしても新たな船出となる重要な1年だ。
小泉はその重要性を理解しているからこそ、強烈な責任感を口にする。
「1年生の時に3冠を獲った代をスタンドから見て、2年生の時は3冠を獲れなかった代をピッチで経験したからこそ、ここは真似しないといけない、ここは是正しないといけないということを整理して今年に挑みたい。
『球際、切り替え、ハードワーク』というチームとしてやらなければならないことを90分間やりつつ、今年はサイドアタッカーが強烈で、前線は収められて、中盤にはパサーがいるという『なんでもできる』チームだからこそ、後はセンターバックがしっかりしないといけない。自分が鍵を握っているつもりでやっています」
王者奪還に向けて、そして目標である高卒プロに向けて。190センチの柔と剛を兼ね揃えた大型CBはここから右肩上がりの成長曲線を描いてくれるはずだ。
取材・文●安藤隆人
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■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
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鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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