サッカー留学生のサポートなどを行っている株式会社「WithYou」の代表取締役である中村亮さん。現在は兵庫県神戸市の本社や東京都渋谷区の支社、そしてアメリカを忙しく飛び回る日々を送っている。
じつは中村さんは、名門チームのFC東京でプレーしていたという元Jリーガー。現役引退から8年後に現在の会社を起業するが、その時に役に立ったのが高校時代やプロ生活で得たものだったという。そんな中村さんの高校時代やプロでの生活など、いろいろと話をうかがった。
――ちなみにブラジル留学から日本に戻って進学された滝川第二時代の思い出、3年間というのは中村さんにとってどんな時間だったのでしょうか?
じつは滝川第二への進学もすんなりいった感じではなくて。強豪校なので、夏の時点でもうセレクションは終わっていて。何とか入れてもらえたんですけれども、やっぱり他に上手い選手がたくさんいたので、まずいちばん下のチームからスタート。スポーツ推薦で入った選手がほとんどの中、自分は一般で入ったようなものだったので、ボールなんて蹴らせてもらえなかったですね。もう走るだけ。ただそこで目立たないと競争を勝ち抜けませんから、全部1位になっていたら上のチームに上がれるようになったりしました。ただそこからは本当に努力して、高校2年生の時にはレギュラーを獲りました。
今でも覚えているんですけれども、初めて出場した公式戦が選手権兵庫予選の決勝で。監督曰く「お前は隠し球だ」ということだったそうで(笑)。家に帰って録画していたテレビを見たら、実況の方が「中村という2年生の選手は初のスタメン。監督に話を伺ったら“中村はタキニの隠し球です”とおっしゃっていました」とアナウンスされていて。それも驚きましたし、チャンスを与えてくれた監督にも感謝の気持ちでいっぱいですね。
父に勧められたサッカー留学も同じかもしれないんですけれども、何かきっかけを与えられて、それを上手く活かすことができたという高校時代でしたね。その試合で掴んだ自信というのが自分の中ではすごく大きかったんです。それまではどこか自分に自信が持てなかったんですけれども、そんな大きな試合を経験して「俺は行ける!」という風に思えるようになって。
結局兵庫予選で優勝して、選手権の本大会でも勝ち抜いて国立競技場でのゲームまで行けたんです。準決勝では優勝した東福岡に敗れてしまったんですけれども、全国で3位になることができて。そのゲームでもスタメンで起用されましたし、高校3年間で自信を付けて、本気でプロを目指すようになったんです。そこで身に付けた自信は社会に出てからも役に立っていると思います。「俺は行ける!」って。
――高校卒業後、すぐにプロを目指さず、鹿屋体育大学に進学されたのはどんな理由からでしょうか?
じつは両親が教師だったこともあって、その背中を見ていた自分も、教師になることには興味を持っていたんです。なので教員免許が取れて、しかも国立で学費も安い鹿屋体育大学に進みました。プロになれたとしても、いつかは現役を引退するわけだから、であれば教員免許は持っておきたいなと。
ここで自分にとってラッキーだったのは、当時九州のサッカーが「フィジカル重視」だったということ。体が大きくてスピードもあった自分にはフィットしたのかなと思っていますね。
しかも身長が大きくて左利きで左サイドバックというのが珍しかったと思うんです。そこで注目してもらえるようになって、大学2年の終わり頃にデンソーカップの日韓戦にも呼んでもらえて。そういう巡り合わせもあってJのチームからいくつか声を掛けていただけるようになって。最終的にはJ1のチームで、地元のヴィッセル神戸かFC東京で悩みつつ、最終的にはFC東京を選んだという形ですね。
――FC東京を選んだ大きな理由というのはどんなものだったのでしょうか?
当時のFC東京の監督が原博実(現大宮アルディージャ フットボール本部長)さんで、原さんのサイドのスピードを活かしたダイナミックなサッカーが好きで。それと「地元に帰る」という環境よりも、自分の中でもっと「攻めたいな」と、チャレンジしたい気持ちが強くあったのでFC東京を選びましたね。
――2年間のプロ生活の中でケガも多かったようですが、起業など将来のビジョンは見えていたのでしょうか?
いえ、全然無かったです。1ミリも。将来のことをしっかり考えているJリーガーではありませんでした。ただ、プロとしての生活の中で好奇心を持ってやっていたことは役に立ちました。ケガをしているので、普通の選手よりは時間があるというか、自分を見つめ直すことはできました。
例えば知り合いの企業の社長など、第一線で活躍されていて、普通では話を聞くようなことができない人から自分がJリーガーという肩書きを持っていたために食事に誘って頂けたり。そこでいろいろな話を聞くことができたのは経験値として抜群に大きかったと思いますし、後々に役に立ちました。
プロ生活は2年と短く、選手としてはダメだったかもしれませんが、プロになれたということと、ここで構築できたコネクションは財産ですね。起業して経営者になってからは本当にそう思うようになりました。今でもこうしてメディアの方に取材をしていただいたりすると、連絡が来たりしますね。「よく頑張っているな」と。そういった声をかけていただけたりして本当にうれしいです。
――引退後は、興味を持っていたという教員もされていたんですよね?
そうなんです。引退すると決めた時に、FC東京さんが次のチームを探してくれていたんです。「ここが一年契約してくれるよ」って。ただ膝のケガが治っていなくて、悩みながらもそのオファーをお断りして。1年後にまた同じようになっているだろうなというのがハッキリ見えていましたし、サッカーが楽しめなくなっていた自分もいたため、引退することにしたんです。
とは言え当然生活していかなければならないので、取得した教員免許を活かせないかと考えていたところ、当時Jリーグのセカンドキャリアサポートセンターというのがあって、そこに高校、大学の先輩の方がいらっしゃって。そこで横浜の公立中学校を紹介されて、面倒を見てもらえることになったんです。
ただ実際に教師をやってみると、もちろんつまらないというわけでは無かったのですが、一生続けていくという気になれなかったというか。もともと教師になることには興味があったんですけれども、プロを経験して、いろいろな世界を知った後では自分の目標が変わっていた、教師とは違う方向を向いていたということだと思うんです。そこで教師という道から、新たな他の道を探すことにしたんです。その中の1つに海外留学という選択肢もあったんです。
次回ではその後の道を激変させたアメリカでの大学生活などについての話を紹介する。
森田記者が推薦するMF長田叶羽(ガンバ大阪ユース、3年) 7月22日に開幕する夏のクラブユースチーム日本一を懸けた戦い、第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の注目プレーヤーを大特集!「クラセン注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター各氏に紹介してもらいます。第1回は関西の高校生を中心に各カテゴリーを精力的に取材する森田将義記者による11名です。 森田記者「すでにトップチームに欠かせない戦力になりつつある広島ユースのMF中島洋太朗。6月の新潟戦でJ1デビューを果たした鹿島ユースのFW徳田誉。高3ながらもこの夏、海外に渡る熊本のFW道脇豊。今年はアカデミー出身の若い選手の飛躍が目を惹きますが、クラブユース選手権(U-18)には彼らに続く可能性を秘めた選手がまだまだ存在します。今回は夏の祭典を機にブレークを果たしてくれると期待し、見た試合でのインパクトが...
[4.14 プレミアリーグWEST第2節 静岡学園高 0-3 神戸U-18 時之栖スポーツセンター 時之栖Aグラウンド(人工芝)] 相手が素晴らしいチームなのはわかっている。間違いなく攻撃的に来るであろうことも、容易に想像が付く。だからこそ、自分たちも引くつもりなんて毛頭ない。アグレッシブに打ち合って、その上で勝ち切ってやる。クリムゾンレッドの若武者たちは、勇敢な決意をハッキリと携えていたのだ。 「本当にこのリーグは難しいリーグなので、正直勝ててホッとしています。それも『こういうサッカーをしようよ』ということを、自分たちがある程度しっかり出した上で結果も付いてきたので、そこが凄く喜ばしいかなと思っています」(神戸U-18・安部雄大監督)。 真っ向からぶつかって3発を叩き込み、2試合目で掴んだ初白星。14日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST第2...
[10.12 国体少年男子1回戦 東京都 1-1(PK4-2)鹿児島県 OSAKO YUYA stadium] 東京都が“決勝戦”と位置づけていた一戦を突破した。対戦した鹿児島県はともにU-16日本代表のMF福島和毅(神村学園高1年)やFW大石脩斗(鹿児島城西高1年)を擁し、地元国体のために準備してきた注目チーム。この日は、800人の観衆が地元チームを後押ししていた。 だが、石川創人監督(東京農大一高)が「僕らは『ここが決勝戦だ』と言ってチームを作ってきた」という東京都が、強敵を上回る。技術力の高い選手の多い鹿児島県に対し、MF仲山獅恩(東京Vユース、1年)とMF鈴木楓(FC東京U-18、1年)中心にコミュニケーションを取って準備してきた守備で対抗。相手にバックパスを選択させたり、奪い取る回数を増やしていく。 鹿児島県の巧さの前に迫力のあるショートカウンターへ持ち込む回数は少な...
※2023年10月12日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽市立船橋FW郡司璃来(→清水エスパルス) ▽桐光学園MF齋藤俊輔(→水戸ホーリーホック) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド...
10番・長のゴールを称えるチームメイトたち。昌平は尚志を相手に逆転負けを喫した。写真:河野正 村松コーチが監督代行として指揮 埼玉・昌平高校サッカー部を全国屈指の強豪へ育て上げた藤島崇之監督が10月3日付で退任し、新体制に移行して最初の公式戦、高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEASTが7日に行なわれ、昌平は尚志(福島)に1-2で逆転負けし、3連敗を喫した。村松明人コーチが監督代行として指揮を執った。 今季プレミアリーグに昇格したチーム同士の対戦。4-2-3-1の昌平は前半6分あたりからペースを握り出し、ボランチの土谷飛雅とトップ下の長準喜(ともに3年)を経由してリズミカルな攻撃を展開。13分、MF大谷湊斗(2年)が右から鋭く切れ込んでからの最終パスが尚志DFに当たり、そのこぼれ球を長が蹴り込んで先制した。 前節まで6試合連続無失点の尚志の堅陣をこじ開けたことで、昌平...
■代表決定日一覧 ▽北海道・東北北海道予選:11月12日青森県予選:11月5日岩手県予選:11月5日宮城県予選:11月5日秋田県予選:10月21日山形県予選:10月21日福島県予選:11月5日 ▽関東茨城県予選:11月12日栃木県予選:11月11日群馬県予選:11月12日埼玉県予選:11月14日千葉県予選:11月11日東京都A予選:11月11日東京都B予選:11月11日神奈川県予選:11月12日山梨県予選:11月11日 ▽北信越・東海長野県予選:11月11日新潟県予選:11月12日富山県予選:11月11日石川県予選:11月5日福井県予選:11月5日静岡県予選:11月11日愛知県予選:11月11日岐阜県予選:11月11日三重県予選:11月11日 ▽関西滋賀県予選:11月11日京都府予選:11月12日大阪府予選:11月11日兵庫県予選:11月12日奈良県予選:11月12日和歌山県...
※2023年10月5日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽東京ヴェルディ...
高校サッカーの強豪、昌平高(埼玉)の藤島崇之監督が退任することが分かった。習志野高(千葉)、順天堂大出身の藤島監督は、07年に昌平の監督に就任。当時無名の私立校を短期間で3度のインターハイ3位、全国高校選手権8強、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST昇格など、全国有数の強豪校へ成長させた。 判断力、技術力の質の高い選手たちが繰り出す攻撃的なサッカーが話題となり、また、12年に創設した育成組織、FC LAVIDAとの中高一貫6年指導によって、選手育成でも注目される高校に。現在、7年連続でJリーガーを輩出中で、U-22日本代表FW小見洋太(新潟)やU-17日本代表MF山口豪太(1年)ら多数の年代別日本代表選手も育てている。また、藤島監督は日本高校選抜やU-18日本代表のコーチも務めた。 昌平は近年、男子サッカー部の活躍に続く形で他の運動部も相次いで全国大会出場を果たしてい...
※2023年10月2日時点 【高体連】▽帝京DF梅木怜(→FC今治)MF横山夢樹(→FC今治) ▽興國MF國武勇斗(→奈良クラブ)MF宮原勇太(→グールニクザブジェ) ▽飯塚DF藤井葉大(→ファジアーノ岡山) ▽大津MF碇明日麻(→水戸ホーリーホック) ▽宮崎日大DF松下衣舞希(→横浜FC) ▽神村学園FW西丸道人(→ベガルタ仙台) ▽鹿児島城西MF芹生海翔(→藤枝MYFC) 【Jクラブユース】▽北海道コンサドーレ札幌U-18FW出間思努(→北海道コンサドーレ札幌) ▽モンテディオ山形ユースGK上林大誠(→モンテディオ山形)DF千葉虎士(→モンテディオ山形)▽浦和レッドダイヤモンズユースMF早川隼平(→浦和レッドダイヤモンズ)▽ジェフユナイテッド千葉U-18DF谷田壮志朗(→ジェフユナイテッド千葉)▽FC東京U-18MF佐藤龍之介(→FC東京)GK小林将天(→FC東京)▽湘南ベルマーレ...
鹿児島城西のMF芹生は、身体の使い方が上手く、パスセンスも高い司令塔だ。写真:松尾祐希 今年のチームは攻撃陣にタレントが揃う “半端ない”FW大迫勇也(神戸)を擁して選手権で準優勝を果たしてから15年。鹿児島城西が虎視眈々と復権の機会を狙っている。 鹿児島の高校サッカーと言えば――。2000年代の前半までMF遠藤保仁(磐田)やMF松井大輔(YS横浜)らを輩出した鹿児島実がその名を轟かせた。 近年は神村学園が躍進し、昨年度は福田師王(ボルシアMG)やMF大迫塁(C大阪)を擁してベスト4まで勝ち上がったのは記憶に新しい。インターハイは6年連続、冬の選手権も昨年度まで6年連続で出場しており、今季から2種年代最高峰のU-18プレミアリーグ高円宮杯に参戦するまでになっている。 一方で鹿児島城西は前述の通り、2008年度の選手権で日本一にあと一歩まで迫り、以降も神村学園と切磋琢磨し...
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