高校サッカー選手権で目についた、将来が楽しみな「8人の選手」。198cmの二刀流、左利きCB、ハイボール処理が巧みな2年生GK…
{by} sportiva.shueisha.co.jp


先々が楽しみな神村学園の名和田我空


岡山県勢初となる岡山学芸館の優勝で幕を閉じた、今年度の全国高校サッカー選手権大会。岡山学芸館と東山の対戦となった決勝には、実に5万人を超える観衆が詰めかけ、この大会に対するサッカーファンの関心の高さをうかがわせた。

どこが優勝するのかという興味もさることながら、「コイツはスゴい!」と評判になっている選手を生で見てみたい。そんな関心が、この大会に注目を集める大きな要素となっているのは確かだろう。実際、今大会を取材するなかで、これは面白いと思う選手に出くわすことが少なくなかった。

そこで、今大会で活躍した選手のなかから、個人的に気になったタレントを何人かピックアップしてみたい。あくまでも"生で見た選手"を対象としているため、所属する高校に多少の偏りがあることは事前にお断りしておく。

まずは、卒業後のJリーグ入りが内定している選手たちである。

神村学園のMF大迫塁(→セレッソ大阪)、FW福田師王(→ボルシアMG)、東山のMF阪田澪哉(→セレッソ大阪)、履正社のDF西坂斗和(→徳島ヴォルティス)、MF名願斗哉(→川崎フロンターレ)を実際に見る機会があったが、それぞれ異なる特長を備えており、なるほどJクラブが目をつけるのも納得のタレントたちだ。

大迫のように、プロ1年目からのレギュラー獲得を目標として口にする選手もおり、強気な姿勢もまた頼もしい。

そんななか、プロ内定組で最も面白そうな選手だと感じたのは、日大藤沢のFW森重陽介(→清水エスパルス)である。

まだまだ粗削りな面は多いものの、打点の高いヘディングを生かした得点力もさることながら、足元での落ち着いたボール扱いが目を引いた。FWだけでなくセンターバックとしてもプレーし、そこで見せるフィードはかなり精度の高いものだった。198cmという長身はFWとしてだけでなく、センターバックとしても非常に魅力的であり、これからどう育っていくのか、未完ゆえの楽しみがある素材だ。

続いては決勝まで勝ち上がった2校だが、優勝した岡山学芸館からはFW今井拓人とGK平塚仁、準優勝の東山からはMF松橋啓太を挙げたい。

1トップを務めた今井は身長176cmとそれほどサイズに恵まれているわけではないが、フィジカルコンタクトの際の体の使い方がうまく、キープ力に長けていた。今大会では劣勢の試合が少なくなかった岡山学芸館だったが、そんななかでも最前線に彼がいることで、常にカウンターの恐怖を相手に抱かせることができた。

トラップからターン、シュートという一連のフィニッシュワークも素早く、点取り屋としての仕事もできる。今大会屈指のストライカーだったことは間違いないだろう。

一方、最後尾からチームを支えたのは2年生GKの平塚。PK戦での好セーブが注目を集めたが、それ以上にハイボール処理の正確性が光っていた。

判断よく相手選手と競り合い、しっかりとボールをキャッチ。小柄な選手が多いチームにあって、特にCKなどのセットプレー時に平塚がことごとくハイボールをさばくことで、失点の可能性を減らしていた。全国制覇の原動力となった2年生が、来年度はどれだけパワーアップし、全国の舞台で活躍するのか楽しみだ。

東山の松橋は、ボール保持時のピンと伸びた背筋が印象的なボランチだ。前にスペースがあれば自らボールを持ち出すこともでき、パスをサイドに散らしながらも常に縦パスのチャンスを狙う。そんな崩しのセンスを感じさせた。

ややクラシカルな印象はあったものの、前を向いたときの雰囲気は実力者ならではのものだった。

ベスト4進出の神村学園で目を引いたのは、2年生のFW西丸道人と1年生のMF名和田我空の下級生コンビ。福田と2トップを組んだ西丸は、落ちてよし、サイドに流れてよしの多芸ぶりを見せ、しかも左右両足でパワフルにシュートまで持ち込む馬力を備えていた。どちらかというと点をとることに特化していた福田にとっては、非常に心強い相棒だったに違いない。

名和田は今大会で先発出場こそなかったものの、すべての試合に途中出場し、スーパーサブとして確実にチャンスメイク。ドリブルとパスを巧みに操る優れた技術を持っており、これから先が楽しみな存在である。

また、来年度以降が楽しみな選手という意味では、残念ながらベスト8を前に敗退してしまった高校からも目に留まった選手を挙げておきたい。

國學院久我山の1年生、MF近藤侑璃と、日大藤沢の2年生、DF宮崎達也である。

近藤はアンカーとして中盤での組み立て役を担いながら、機を見てバイタルエリアへと進入し、フィニッシュにも絡んでいくMF。1年生ということもあり、まだ線は細かったが、ボール保持時の姿勢のよさや、落ち着いたボール扱いにセンスのよさを感じさせた。

一方の宮崎は左利きのセンターバック。落ち着いたカバーリングもさることながら、とりわけ目についたのは、フィード能力の高さ。左利きのセンターバックは日本サッカー界全体で見ても貴重な存在であり、ボール奪取時の強さがさらに増せば、大きく伸びる可能性を秘めているのではないだろうか。

近藤、宮崎ともに、さらなる成長を遂げ、再びこの舞台に戻ってくることを楽しみにしている。

関連ニュース
全国の強豪24チームが参戦!第13回PUMA CUP U-17 in SAKAIが開幕

前回大会を制した京都サンガF.C.U-18や101回選手権王者の岡山学芸館などが参加(写真=会田健司) 3月25日、第13回PUMA CUP U-17 in SAKAIが開幕を迎えている。 今大会は全国の強豪24チームが参戦。各チーム3日間で、ランダムに組まれた3試合ずつの予選リーグを行う。その3試合での結果をもとに、1~24位の仮順位を出し、その順位に基づき2チームづつによる決勝&順位決定戦を行う。 出場チームは以下のとおり。【出場チーム】前橋育英(群馬)西武台(埼玉)三浦学苑(神奈川)浜松開誠館(静岡)藤枝東(静岡)中京大中京(愛知)丸岡(福井)星稜(石川)近大附(大阪)履正社(大阪)関大北陽(大阪)セレッソ大阪U-18(大阪)京都サンガF.C. U-18(京都)草津東(滋賀)立正大淞南(島根)岡山学芸館(岡山)米子北(鳥取)高川学園(山口)瀬戸内(広島)徳島市立(徳島)大津(熊...

高校サッカー
{by} koko-soccer
ユース取材ライター・森田将義記者が選ぶ「中国新人11傑」

第15回中国高校サッカー新人大会(広島)は19日に決勝と3位決定戦を行い、高川学園高(山口)が19、21、22年大会に続く4大会連続4回目(20年大会は中止)の優勝を飾りました。準優勝・玉野光南高(岡山)と3位・大社高(島根)の公立勢の健闘も光った「中国新人」は、印象的な選手も多い大会に。関西を中心にジュニアから大学生、Jリーグまで精力的に取材し、今大会も全3日間取材した森田将義記者に「中国新人11傑」として、印象的なプレーを見せた11人を紹介してもらいます。森田将義記者「高川学園の4大会連続優勝で終わった今年の中国新人は例年以上に各チームに特徴を持った選手がいました。高さのある選手がいれば、スピードのある選手、賢くプレーできる選手、上手い選手もいるなどタイプも様々で、今年の中国地方は多くの人を楽しませてくれそうな予感が漂います。今回は目を惹いた選手の中から、各ポジションで推したいと思えた...

高校サッカー
{by} web.gekisaka.jp
高川学園のエースFW山本吟侍。理想像は大迫勇也、高校トップレベルの力を持つストライカーの“進化”が止まらない

高校最後の1年をスタートさせた高川学園のエースFW山本。写真:安藤隆人 日本列島を駆け抜けた忙しい春 福岡から広島、広島から福島へ。これは筆者がフェスティバル取材の流れで辿ったルートだが、これと全く同じルートを辿った選手が高川学園のエースストライカー・山本吟侍だ。 山本は「大迫勇也選手は、背負いながらも前を向いていくプレーができるフォワード。そういったフォワードは日本ではあまり少ないと思うので、僕はそこを狙っています」と相手を背負ってでも、間合いを開けられてでも、前を向いて打開し、ゴールを決め切るストライカーになるという理想像を持っている。 その理想像に近づけるだけの能力を持っている。180センチのサイズを持つ山本の特徴は、その長い手足にある。股関節と肩甲骨の可動域が広く、長い手足を苦なく操作できる。だからこそ、ボールを受ける際に勢いのあるボールをDFを背負いながらでも身体で吸収して足も...

高川学園
高校サッカー
{by} soccerdigestweb
高校サッカー選手権道大会決勝 札幌ドームで開催…道勢全国4年連続初戦敗退の現状打破へ

全国高校サッカー選手権道大会の決勝戦が、今年、札幌ドームで初開催されることが22日、分かった。例年は札幌厚別公園競技場で行われていたが、選手により良い条件でプレーさせるべく会場を変更する。開催日も10月下旬から11月中旬に変え、年末から行われる全国大会までの日程を短縮。道代表は4年連続で初戦敗退という現状からの脱却へ、他都府県同様の日程で決勝を行い、試合勘を維持しやすいようにする。 高校サッカーの最高峰にあたる選手権で結果を残すべく、札幌ドームで道代表を決する。高校年代を管轄する道協会の勘七誠2種委員長(44)は「W杯やコンサドーレも使うピッチで高校生にも試合を経験させたかった」と決断への第一要因を口にした。 道代表は降雪などが考慮され、例年、10月下旬に準決勝と決勝を2日連続で行ってきた。それでも雪に見舞われるなど、悪いピッチ状況で行わざるを得ない年もあった。屋根付きの札幌ドームでは当然...

全国高校サッカー選手権道大会
{by} hochi.news
第11回国際ユースサッカー大会 知事杯 ガバナーカップがあす開幕

前回大会準優勝の青森山田も参加(写真=会田健司) 第11回国際ユースサッカー大会 知事杯 ガバナーカップHyogo Youth Soccer2023が、あす3月23日に開幕する。 今大会は招待チームとして、チョンブリU-18(タイ)や青森山田(青森)、V・ファーレン長崎U-18(長崎)が参加。前回大会を制したヴィッセル神戸U-18をはじめ、兵庫県選抜U-18、神戸市選抜U-18の地元3チームを加えた6チームが、2つのグループに分かれて試合を行う。【出場チーム】▽グループAチョンブリU-18(タイ)ヴィッセル神戸U-18(兵庫)兵庫県選抜U-18(兵庫)▽グループB青森山田(青森)V・ファーレン長崎U-18(長崎)神戸市選抜U-18(兵庫)...

第11回国際ユースサッカー大会
知事杯
{by} koko-soccer
青森山田が新たな船出、“190センチ”大型CB小泉佳絃が抱く強烈な責任感。求める理想はマンチェスター・Cの…

青森山田の長身CB小泉(左)。空中戦で圧倒的な強さを誇る。写真:安藤隆人 昨年の1年間で得たある気づきとは? 屈強なフィジカルを誇る青森山田において、一際目立つのが190センチの長身を誇るCB小泉佳絃だ。 タイミングの良いジャンプと空中での当たりの強さを駆使し、空中戦で圧倒的な強さを見せる小泉は、昨年のプレミアリーグEASTで、得点王になった横浜F・マリノスユースの内野航太郎、得点ランキング3位だった柏レイソルU-18の山本桜大という世代トップクラスの大型ストライカーと真っ向から立ち向かった。 また、攻撃面でも得意のヘッドで3ゴールを挙げるなど、大きな経験を積んだ。「どのフォワードも強烈でしたが、プレミアで自分の前への強さは通用すると思ったので、もっと予測、動き出し、身体の使い方などを学んで、今年はどのフォワードでも抑えられるようなセンターバックになりたいと思っています」 選手権では...

青森山田
{by} soccerdigestweb
高校サッカードットコム杯 in SORA RINKUがあす開幕 【第1回高校サッカードットコム杯 in SORA RINKU】

強豪6校が出場する第1回高校サッカードットコム杯 in SORA RINKUが3月22日に開幕を迎える。同大会は24日まで大阪府のSORA FIELD1(人工芝)となみはやグラウンド(天然芝)で開催される。出場校は以下の通り。【出場校】上田西(長野)三重(三重)長崎日大(長崎)柳ケ浦(大分)大阪学院大高(大阪) 芦屋学園(兵庫)...

第1回高校サッカードットコム杯
{by} koko-soccer
JFAナショナルGKキャンプのメンバーが発表!! 夢フィールドに20人の守護神が集結

日本サッカー協会(JFA)は17日、JFAナショナルGKキャンプのメンバーを発表した。同キャンプは、24日から26日にかけて千葉県のJFA夢フィールドで開催。日本各地から20人のゴールキーパーを招集した。■スタッフ▽コーチフランス・フック(JFA GKプロジェクトテクニカルアドバイザー)川俣則幸(JFAコーチ)加藤好男(JFAコーチ)大橋昭好(JFAコーチ)井出大志(ナショナルコーチングスタッフ)高原寿康(ナショナルコーチングスタッフ)岡本理生(JFAコーチ/JFAアカデミー熊本宇城)楠本晃義(JFAコーチ/栃木県FAコーチ)阿部陽輔(JFAアカデミー福島EAST U-15)■選手▽GK佐々木翔大(秋田U-15)廣谷謙真(柏U-15)岡部怜士(山形Jrユース庄内)天堵笙太(讃岐U-15)宮本有慈主(武生FC Jrユース)坂田康祐(C大阪U-15)高橋響(AOBA FOOTBALL CLUB...

JFA
JFAナショナルGKキャンプ
{by} web.gekisaka.jp
声とプレーで表現。鳥栖U-18の新主将、MF先田颯成「もっともっと引っ張っていけたら」

[3.15 サニックス杯予選リーグ 鳥栖U-18 4-0 U17マレーシア代表 グローバルアリーナ]「色々難しいことはあるんですけれども、自分たちが落ちている暇はないですし、落ちている暇があるならばチームのことを考えていれば良いと思っているんで、そこは自分が中心になって声を掛けてやっていきたい」 MF先田颯成主将(2年=鳥栖U-15出身)は昨年のプレミアリーグ王者・サガン鳥栖U-18の新主将に就任。この日は試合を通してチームメートに細かな声掛けを続けていた。加えて、「キャプテンとして一番やんなきゃいけない立場というのは分かっていますし、まずはチームの勝利というのを一番に考えて、自分のできるプレーに責任を持って、この試合はチームの力になることを意識してやっていました」という言葉どおりのプレー。守備時のセットプレーでは誰より先にボールに触ってクリアし、一際切り替え速くカウンター攻撃を阻止してい...

鳥栖U-18
{by} web.gekisaka.jp
U-17日本代表、アルジェリア遠征メンバーを発表

日本サッカー協会(JFA)は、3月18日から30日で行われるアルジェリア遠征のU-17日本代表メンバーを発表した。【スタッフ】▽監督森山佳郎(日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ)▽コーチ廣山望(日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ/JFAアカデミー福島)▽GKコーチ高橋範夫(日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ)▽フィジカルコーチ村岡誠(日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ)▽テクニカルスタッフ片桐央視(日本サッカー協会テクニカルハウス)【選手】▽GK雨野颯真(前橋育英)後藤亘(FC東京U-18)▽DF吉永夢希(神村学園)小杉啓太(湘南ベルマーレU-18)永野修都(FC東京U-18)柴田翔太郎(川崎フロンターレU-18)土屋櫂大(川崎フロンターレU-18)本多康太郎(湘南ベルマーレU-18)大石優生(三菱養和SCユース)▽MF高崎天史郎(QUON FD)高...

U-17日本代表
アルジェリア遠征
{by} koko-soccer