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青山敏弘と考えるサッカーのポジショニング[後編]
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どのポジションであれ、優れたプレーを可能にする上で欠かせないのがポジショニングだ。サンフレッチェ広島在籍17年目、日本代表として2014年のワールドカップを経験した国内有数のボランチである青山敏弘に、ポジショニングについて聞く。

 

出典:『サッカークリニック』2020年9月号

 

体の向きや受ける角度

 

――過去の話で言えば、佐藤寿人選手や浅野拓磨選手へのロングパスも、ディフェンスラインからボールを受けて素早く縦に蹴り込むパターンが多かったです。最前線の選手がつくった最適なポジショニングをうしろのラインから最速でリンクさせる、レベルの高いプレーでした。

 

青山 パスをもらう前から最前線に蹴る準備をしています。ただ狙って蹴るのではなく、そこに出すためには自分がいいポジションでボールを受けなければなりません。味方のディフェンダーやキーパーがパッと顔を上げたときに、僕のそばに相手選手がいたら出しづらいと思うので、ボールを引き出すためにはフリーになっておかなければいけません。うしろからゆっくりポゼッションをしているときにフリーになるのは難しいので、そう考えると、ボールを奪った瞬間こそがフリーになる絶好のチャンスなんです。

 

 守勢のときに、ボールをどこで奪って、奪ったあとにどうするかを考えておかなければいけません。そのときは準備してくれているフォワードの動きを把握しながら動くのですが、その場所は1カ所でも構いません。僕の場合はワントップの動きを把握しておけば、その動きに周りが連動するので、ほかのポジションの位置もイメージできます。例えば、ワントップの寿人さんや拓磨が自分からのパスを狙って動き出すじゃないですか。それに対して相手ディフェンダーが警戒してラインを下げれば、逆にワントップのうしろのツーシャドーがフリーになるので、ロングパスを無理に通すのではなく、ツーシャドーに縦パスを入れて仕掛けることもあります。でも、それができるのは、僕がワントップの動きを把握して常に狙っているからこそだと思うんです。それを相手に意識させれば、最初に話したように、自分だけでなく、相手の選択肢も増えると思います。そうなると、相手に迷いが生じるので、守備の揺さぶりにつながります。

 

 ボールを奪ってから(ボランチの)自分のところにパスが来るときは、前向きではなく、うしろ向きの場面がどうしても多くなります。その場合、ワンタッチでターンしなければなりません。ターンして狙い通りのパスを素早く出すためには、先ほども言ったように、体の向きや受ける角度の要素も考えてポジションをとらなければいけません。そのすべてはやはり、日々の練習から生まれます。

 

――守備の時点から攻撃は始まっているイメージですね。守備のポジションをとりながらも、守備に忙殺されるのではなく、前線の情報収集をしっかりと行なう必要があります。

 

青山 仮に最初のイメージでボールを奪えなくても、予測をまた立てればいいだけの話です。状況が常に変化するからこそ、一度立てた予測に固執するのではなく、情報をまた入れて予測するのです。その繰り返しも、普段の練習から習慣づけておかなければいけないと思います。

 

「前」を意識したプレーを怖れない

 

――予測の連続と判断を変えることの重要性をあらためて感じました。ポジショニングは自己満足ではいけないということもあらためて思いました。

 

青山 手段が目的になってしまうことがよくありますが、いいポジションをとることは目的ではありません。あくまでもゴールを奪うための手段でなければいけません。

 

――自分ではいいポジションだと思っていても、それがチームにとって有益でなければ、いいポジショニングにはなりません。

 

青山 チームとしての意図が反映されていればいいですよね。本当にポジショニング一つでゲームのコントロールはできてしまいます。全体のスピードを落とすためのポジショニング、全体のスピードを上げるためのポジショニングがありますが、僕は後者を得意とします。遠藤保仁さん(ジュビロ磐田)のように前者ができる選手はかなりハイレベルだと思います。時間もスペースもない中でゆっくりとプレーするんですが、全体がゆっくりだからそうするのではなく、ハイペースの中で、あえてそういう時間をつくり出すわけです。裏を返せば、どこかでスイッチを押せるものを持っているからこそできるんだと思います。自分がペースを落とすのだけれど、ペースを上げることも自分でできるんです。その領域まで行くと、チームにとって有益なポジショニングが本当にできていると思います。

 

――最後に育成年代の選手たちに一言お願いします。

 

青山 ポジショニングで大切なのはやはり、目的を達成するための手段であることです。「もらう前に考えておこう」とよく言われますが、その「考え」は漠然としたものではいけません。戦術や味方と相手の特性などを含め、きちんとイメージして、日々の練習に落とし込んでいくことが大切です。それができるようになれば、成長の階段をまた一段上がることができます。この一段はただの一段ではなく、自分をより高みへと導いてくれる大きな武器になると思います。

 

 それはどのポジションの選手でも一緒です。もらう前に考えて、その考えたものが前への選択肢だったらなお良いでしょう。前を選んでそれが点につながれば、そのプレーは「スーパープレー」になります。それを実際の試合で表現するためのポジショニングであってほしいと思います。ミスを怖れずに、どんどんトライしてください。

 

プロフィール
1986年2月22日生まれ、岡山県出身。岡山県作陽高校から2004年にサンフレッチェ広島入り。ボランチとして、12年、13年、15年とJリーグ優勝に貢献した。15年にはJリーグ最優秀選手賞(MVP)を受賞。11年、日本代表に初めて招集され、14年のブラジル・ワールドカップに出場。今年はクラブ生え抜きとして17年目のシーズンを戦っている。174cm、73kg

 

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