[8.8 J1第9節 横浜FM1-1柏 日産ス]
横浜F・マリノスのルーキーFW松田詠太郎が後半15分、展開を変える“3枚替え”の一員として右ウイングのポジションで投入された。ユース出身の19歳にとってはこれがJ1デビュー戦。それでも「緊張より楽しもうと思ってプレーした」との言葉どおり、高校年代でも見せていた自らの武器をいかんなく発揮した。
松田はトップチーム昇格1年目の今季、開幕前からJ3リーグのSC相模原に育成型期限付き移籍をしており、本来であれば武者修行の一年となるはずだった。ところが新型コロナウイルスによる過密日程を受け、横浜FMに負傷者が続出。さらにユースの先輩にあたるFW遠藤渓太の海外移籍も決まったことで、移籍期間満了を前倒ししての復帰となった。
相模原では開幕から全7試合に出場し、第2節の藤枝戦ではドリブルからニアを抜くシュートでJリーグ初ゴールも記録。また「プロの環境に慣れさせてもらった。いろんな先輩方に話をしていただいて、選手として自覚を持つことができて、プロの厳しさを教えてもらった」とも語っており、ピッチ内外で充実した日々を過ごしていたという。
それでも目線は常に上を向いていた。「相模原にいても常にマリノスのことは意識していたし、早く戻りたいという気持ちがあったので、やっと来たなと」。昨年はトップチームの遠藤と同じ11番を背負い、愛するクラブを日本クラブユース選手権ベスト4、高円宮杯プレミアリーグ復帰に導いたアタッカーは、半年ぶりにトリコロールのユニフォームに身を包むことになった。
今月3日に復帰が発表され、同7日には同じく加入が決まったU-23日本代表FW前田大然とともに登録されたばかりだが、この日は早くもベンチ入り。そして0-0で迎えた後半15分、アンジェ・ポステコグルー監督が講じた“3枚替え”の一角としてMF扇原貴宏、FWオナイウ阿道とともにピッチに送り込まれた。
ゴール裏にはサポーターによる「WELCOME BACK MATSUDA 43」という横断幕。投入直後には味方のミスから失点を喫したが、「早くチャンスが巡ってきたのでビックリしたけど、チャンスを掴むという強い気持ちを持って臨んだ」という松田はそこからは反撃の突破口を立て続けにつくり出した。
まずは後半20分、ドリブルで右サイドをえぐって鋭いクロスを供給。これは少し浮き上がって味方に合わなかったが、対面のDF三丸拡を振り切っていた。さらに22分、今度はMF喜田拓也とのワンツーでライン際まで侵入すると、マイナス方向への折り返しをMF天野純のもとへ。天野のスライディングシュートがミートしていれば、アシストとなっていたであろう場面だった。
また後半33分の同点ゴールも松田が裏に走り出したところでオナイウが引いて受け、ハーフスペースを天野のワンツーで打開した形だった。試合後、そんな松田に対してオナイウは「まだ時間が経っていないし、戦術もみんなほど理解できていなくても、積極的に仕掛けてチャンスを作るシーンがあった。ああいう選手がいると勢いが出るし、続けてほしい」と称え、「中がもっと決め切らないといけなかった」と振り返った。
試合後、オンライン取材に出席した松田は「目に見える結果が出せなかったので60点とか70点くらい」と控えめに自己評価しつつも「自分の特長を生かせるサッカーだと思うので、特長である縦にどんどんドリブルで行く姿勢を見せて結果につなげられたら」と手応えも語った。「J1でもトップレベルの選手と日々練習できて、今までとは違ったレベルでプレーできている。いろんな選手からいろんなことを盗んで成長していきたい」。強力な横浜FMの攻撃陣に心強いルーキーが加わった。
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